Y:82 標準の魔力と時間の歪み
2023.4.14
東京に来てから買った掃除機。
機能的には必要十分で良いのだけど、一つ気になっていることがある。それが電源を入れるスイッチの部分だ。
不自然な強弱
写真中央の「強」「パワフル」「標準」と書いてある部分だ。
スイッチを押すと、「強」から始まり、もう一度押すと、「パワフル」になり、さらに押すと「標準」となる。
つまり、「強」→「パワフル」→「標準」と変化する。吸引力の強さは
「パワフル」>「強」>「標準」の順だ。
買った頃は、いつも「標準」にして使っていた。私の部屋はフローリングなので、「強」にする必要はないと感じたからだ。大した動作ではないものの、毎回、2回スイッチを押して「標準」にするのは面倒に感じた。
しばらく、使っているうちに、「標準」では吸い残しが多いと感じるようになった。ノズルに手を当てて見ても、あまり手が吸い込まれない。
今は「強」で使っている。説明書には「標準」だと1回の充電で25分使えると書いているが、「強」だと約12分だ。わりと頻繁に充電が必要になってくる。
それにしても「強」→「パワフル」→「標準」という強弱の段階は、どうも直感的に理解しにくい。まず、「強」と「パワフル」というのは、どっちが強いのか、わかりにくい。
そして、もう一つイマイチなのは「標準」の存在だ。標準だというなら、スイッチを押して最初に出てきてほしい。どうして標準なのに、3番手に位置しているのか。そもそも、フローリングの掃除程度で吸引力が物足りない「標準」というのは、何を持って標準なのかと言いたくなる。
そこで、私は一つの仮説に辿り着いた(笑)実はこれって元々は
だったんじゃないかと。
そうであれば「標準」の吸引力が弱いのも納得がいくし、スイッチの順番も納得がいく。本来の弱を「標準」とラベル付けすることで、カタログ上の標準的な使用可能時間を25分にしたかったのではないだろうか。12分だと、一般的に物足りない印象を与えそうだ。それで、この不自然な強弱の表示になったんじゃないだろうか。
私は自分のことを一般的なユーザーと思っているけれど、「標準」と書かれると、それを使いたいと思ってしまう。自分の用途に合わせ、強でもパワフルでも使えばいいのに、なんとか「標準」で済ませたくなってしまう。自分(の使用環境)は標準的だろうと。
標準という言葉には、人を吸い寄せる力がある。
歪む時間
お次は電子レンジだ。こちらは家具のレンタルで借りている。私の生活はよく電子レンジを使う。
以下が主な使用用途とあたため時間
冷凍さつまいも=1分
冷凍今川焼き=1分
オートミールあたため=1分
冷凍ブロッコリー=3分
冷凍ご飯=3分30秒
あずきのチカラ=30秒(非食品)
食生活がパッとしてないのは、見て見ぬふりをしてもらいたい。
最近、ますます冷凍食品をいろいろ食べるようになって、冷凍の麺類を食べるようになった。
この日清の「台湾まぜそば」非常においしい。
冷凍麺類とか、冷凍お好み焼きになってくると、チンする時間が5分を超えてくる。
先日、なんとなく、冷凍ご飯をチンする時の感覚で5分30秒を設定しようとしたら、8分ぐらいまで目盛りが行くことに気がついた。(下の写真参照)
かれこれ、10ヶ月くらい使っていたのに、この電子レンジの目盛りが均等でないことに初めて気がついた。
この電子レンジはダイヤル式で時間は自由に設定できる。
見ての通り、0〜5分までは、細かな調節がしやすいのだが、5分を超えると30秒の刻みがなくなる。写真を見るかぎり「4分から5分」と「5分から10分」の目盛りの長さはほぼ同じだ。時間が圧縮されている。
この意図はなんとなくわかる。標準的なユーザーにとって平均的な温め時間は5分以内で、5分ぐらいの温めまでは、30秒単位の違いが重要なのだろう。上にあげた私の好物の「冷凍今川焼き」も1分ならちょうど良いが、1分30秒チンしてしまうと、あんこの水分が抜けてパサパサになってしまう。
一方で5分を過ぎる温め(加熱)は、利用回数としては多くないのかもしれないし、6分30秒と7分の違いは、決定的な違いにはならないのかもしれない。
均等に時間を刻めば、この電子レンジの加熱時間は7分が最大だっただろうが、5分以降の時間を圧縮することで、最大15分の温めが可能になっている。おそらく、こちらの方がより多くのユーザーの用途を満たすことができるというメーカーの判断なのだろう。
それにしても、このダイヤルって内部でどういう仕組みになっているのだろう。
毎日、何気なく使っている電化製品、ちょっとした違和感が便利と不便の分かれ道になる。
いつもより、ちょっとよい茶葉や甘味をいただくのに使わせていただきます。よいインプットのおかげで、よいアウトプットができるはずです!