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【弁護士が解説】中小企業経営者の相続対策 #2
株式を譲渡する場合には、将来、他の相続人から遺留分に関する権利行使がなされることへの対策が必要です。
遺留分とは?
遺留分とは、相続人(兄弟姉妹は除く)に認められるもので、相続財産に2分の1〜3分の1を乗じた額のことです。
※遺留分の詳細については、別記事に譲ります。
平成30年の相続法の改正により、遺留分に関する権利行使によっても、株式譲渡が無効になることはありませんが、後継者が相続人に対し相当額を支払う必要があることは変わりません。
経営承継円滑化の遺留分に関する民法の特例
後継者及び現在の経営者の推定相続人の全員が合意することで、後継者に贈与される株式から遺留分算定基礎財産を除外する(除外同意)、または慰留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定する(固定同意)ことができます。
この特例制度を利用するためには、
・中小企業であること
・合意時点において3年以上継続して事業を行なっている非上場会社であること
・被相続人であるオーナーが過去又は同意時点において会社の代表者であること
・後継者が合意時点において、会社の代表者であること
・被相続人であるオーナーからの贈与によって株式を取得したことにより、会社の議決権の過半数を保有していること
などが要件となっています。
株式信託
財産の管理や承継を目的として、委託者がその死後の財産の承継方法を定めることができます。
もっとも、遺贈や死因贈与と類似する機能を有することになるため、株式信託の場合も慰留分の規律を受けると解されています。
なお、議決権行使の指図権は財産的な価値が乏しいため、慰留分算定基礎財産に算入されないと解されているため、配当を受領する権限を、後継者と非後継者が有することで非後継者の慰留分を侵害しない信託とする方法が考えられます。
慰留分の放棄
相続開始前であっても慰留分の放棄をすることは可能であり(家庭裁判所の許可が必要です)、非後継者との事前合意に基づき、事前に慰留分放棄の手続を行っておく方法も考えられます。
その他にも、種々の注意が必要ですので、予め専門家にご相談しておくことをおすすめします。