吉村知事のポビドンヨード発言が『半沢直樹』とそっくりなので、吉村知事が主人公だったらコロナ問題はスカッと解決するのに
『半沢直樹』がおもしろい。ここまで展開がデタラメで空疎なのに、おもしろいのだ。なぜだ。
タイムリミットや大逆転などのスカッとする演出を、強いワードと、強い演技で、「見栄をきって」押し通す。主人公が勝つという前提で物語が構築されていて、そこまでの手続きは、デタラメだったり、偶然でしかなかったとしても、信じる力や挑戦するパワーを主張する主人公を応援したくなって、ついつい物語に乗ってしまうのだ。
現実的な手続きや、事実の積み重ねよりも、強い言葉や強い逆転劇に惹かれてしまうのだろう。
で、吉村知事のポビドンヨード発言である。
吉村知事のツイートが興味深い。
ちなみに、また吉村がおかしなこと言い出してるとネット上の大批判がありますが、構いません。
最初の文は、大批判があるが「構わない」と。もちろん理不尽な批判もあるだろうから、まあ、それを「構わない」のはいいだろう。ところが、こう続く。
松山先生の研究成果を信じて頂かなくても構いません。
うーむ。研究成果といいうのは「信じる/信じない」ではない。科学的に検証を重ねるものだ。
しかも吉村知事は会見で、「ポビドンヨードのうがい」を「重症化予防への活用を視野に、患者受け入れ医療機関に研究成果を情報提供」すると発言している。
重症化予防効果の検証は、まだされてないにもかかわらずだ。
吉村知事は、次のようなツイートもしている。
「重症化を防ぐ効果の検証はこれからです」とわかっているにもかかわらず、「重症化予防への活用を視野に、患者受け入れ医療機関に研究成果を情報提供」すると会見で発言したのだ。
この矛盾は、どこからきているか。科学的検証を積み重ねるのではなく、「信じる信じない」の世界で、「松山先生の研究成果を信じ」ているからだろう(松山先生も科学者として困惑しているのではないか)。
「科学的検証をしていきましょう」の世界と、「信じる信じない」の世界で、対話しているので、ずっとすれ違う。
しかも、ツイートの「判明したのは、唾液中のコロナウイルスを減少させ、唾液PCRの陰性化を加速させること。」という部分は、PCR検査をだますチートの方法だったという告白にも読める。
「PCR検査の陰性」と「感染しているしていない」はイクオールではない。
そのような意図はないのだろうが、ちょっとうかつすぎないかなー。
引用した2つのツイートのしめかたも興味深い。「府民の健康と命の脅威となってるコロナから、なんとか府民を守るべく、今後もありとあらゆる努力をします。」と「感染拡大防止への挑戦。」。
この部分は、誰もが賛同する当然のことを、強いワードを使って、書く。当たり前のことだからわざわざ書かなくてもいいことなのだが、書く。
「半沢直樹」のやり方だ。コロナをなんとか撃退したいという人が望む欲望を使って、検証前の何かを持ち出してきて、強いワードで押し通す。
「半沢直樹」はフィクションだから、主人公が勝ち、スカッとできるように作られている。この現実の世界も、吉村知事が主人公で、ポビドンヨードでスカッと解決できるといいなー、と、夢想。
*ポピドンヨードではなく「ポビドンヨード」Povidone-iodineでした。修正しました。
*追加。
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