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米光講座リポート(S12-2)

宣伝会議の編集ライター養成講座即戦力コース、通称米光講座の課題のひとつに「講座リポート」がある。
受講した講座の内容をリポートする原稿を書くというストレートな課題だ。

1回目の講座リポートは、課題の多くがインチキくさい宣伝文みたいになっていた。赤入れして、どうしてインチキ宣伝文になるか解析して原稿を返却。
講座では、全員の赤入れを全員が見ることができるので、多角的に改善すべきポイントが伝わったはずだ。

2回目の講座リポートは、内容やスタイルが多様になってきた。1回目のリポートより読みやすく、読み甲斐もあるモノに(すこしずつだけど)なってきた。

赤入れをちょっとだけ反映して再提出してもらった原稿をいくつか掲載する。

ライター講座に出たら「オフ会をしろ」と言われた ~米光講座第2回レポート 

渋澤怜(@RayShibusawa

ZOOM上でライター講座に出たはずなのだが、オフ会のプレゼンを聞かされている。それも受講生23人分を、2時間近く。どうして? ここはライター講座ではなく、オフ会の開き方講座なのだろうか……?

■オフ会をすると、原稿が良くなる
「編集・ライター養成講座 即戦力コース 米光一成クラス」。2020年9月24日から隔週土曜に全10回行われる、通称米光講座だ。
この講座の第1回では、自分がその分野では一番になれる「プチ専門」を決めた。第2回の今回は、プチ専門に関するオフ会のチラシを作り、内容を1~5分でプレゼンする。例えば、プチ専門が「南インド料理のミールス」なら「ミールスを食べる会」などだ。

オフ会をすると、自分のプチ専門の潜在読者や同業者に会うことができる。
そうすると、原稿の精度が上がる。オフ会に来てくれた人をターゲットとして具体的に思い浮かべられながら書けるからだ。ぼんやり「この話題を好きそうな人」へ向けて書くより、はるかに原稿が良くなるのだ。

更に、ひとりよがりであることを避けられる。オフ会で会った潜在読者や同業者を思い出せば、原稿を多角的な視点から眺められる。そして、「もっと調べて書こう」「あの人の意見も聞いてみよう」と思えるのだ。
この点は、まさにひとりよがりな原稿を書こうとしていた私にとって目から鱗だった。

■オフ会めんどいvs炎上こわい
私のプチ専門は「2010年代の恋愛感情を売る場所で働く人と、買う人の心理」だ。例えば、水商売、レンタル彼女、出会い系サクラ等のことだ。
私は数年前にこれらで働いたことがある。そして、数年前にレポの出版話がもちあがり、すでに数万字の原稿を書いた。結局頓挫したのだが、米光講座を機にこの原稿をパワーアップして世に出したいと考えていた。

しかし、出版企画中も、編集者や友人以外に相談するという発想が全くなかった。「自分は、他の人が体験していないことを体験している!」という驕りがあった。そして、かなりひとりよがりな原稿を書いていたのだ。そのことに気付き、愕然とした。
もしこのまま原稿が世に出ていたら、同業者やお客さんたちに必ず読まれる。そして、ネタがネタだけに炎上する可能性も大いにあった。危なかった!

……しかし、「恋愛感情を売る場所で働いたことがある人」を集めてオフ会なんて、正直やりたくない。ネタがネタだけに、変な人が来るかもしれない。初対面の人とプライベートすぎる話や生々しすぎる話をすることは不安でもある。
それでも、私はどうしても自分以外の体験談を聞かなければならないのだ。炎上したら、もっともっと変な人に絡まれるのだから……。

■オフ会のタイトルづけも、ライターの勉強になる
冒頭で「23人のオフ会プレゼンを聞かされた」と書いたが、実はこれもすごく役に立った。米光先生によるかなり細かいアドバイスが入るからだ。
「オフ会のテーマがぼんやりしている。もっとよく説明して」「『おいしい話』ってどんな話? 金儲けの話だと誤解されちゃうよ」「『語る会』というけど、誰が語るの? あなたが語るの? それとも来た人に語ってほしいの?」など。
これは、言葉の勉強そのものだ。だから、ライターとしてパワーアップしたい人は、安心して受講してみてほしい。

ソリューション・ジャーナリズムの第一歩

岸 志帆莉(@shiori_kishi
宣伝会議「編集・ライター養成講座 即戦力コース」、第2回目。
冒頭で我々は講師の米光氏に対し、必死にイベント企画をプレゼンしていた。
「社交ダンス恋バナ会を開催します」
「子どもの習い事についてゆるく語る会を実施します。対象は……」
文章を志して同講座の門を叩いたはずだった。何の因果で私は、子どもの習い事に関するオフ会を企画しているのだろうか。

背景はこうだ。
米光講座では、各々が自身の「プチ専門」を決める。以降5ヶ月間かけて、自身のプチ専門に関する記事をひたすら執筆する。同時に、プチ専門に関連したイベントを主催することまでが課題に含まれている。

米光氏曰く、この企画には大切な意図が込められている。イベントを開催することは、すなわち読者に直接会いに行くことである。そこで読者と接し、彼らの視点を内に取り込む。すると著者の意識が変わり、本当に読者を意識した文章を書くようになる。米光氏によれば、イベントを開催した時点から受講者達は「覚醒する」。

斬新な手法に驚いたが、とても理にかなっていると思った。
同時に、まさしくこれはソリューションジャーナリズムの手法と思い至った。

ソリューションジャーナリズムとは、課題解決型の報道の一種である。社会の問題を明らかにするという旧来のジャーナリズムの役割を超え、課題解決に向けた道筋までを報じていく動きを指す。日本では西日本新聞や、同紙から派生した「ジャーナリズム・オンデマンド」(JOD)などの取り組みが知られる。SNSや問い合わせフォームを活用し、市民から直接疑問や要望を受け付ける。それに基づき取材を行い、報道という形で還元する。

この報道のあり方を知ったのは、緊急事態宣言のさなかだった。
全国の学校に休校が要請され、教育現場を伝える報道はおしなべて暗いトーンになった。ジャーナリズムの役割は社会の問題点を明らかにすることだ、という旧来からの考え方がある。この信念は、報道関係者の中にこそ根強い。それゆえコロナ禍のような特殊状況下では、ネガティブな報道が社会を席巻しがちになる。私は教育ライターとして目指すべき方向性に迷いを感じていた。そんな中で出会ったのが、ソリューションジャーナリズムだった。

調べる中で米国の「ソリューションジャーナリズム・ネットワーク」という団体と出会った。ソリューションジャーナリズムを世界的に牽引する団体だ。同団体が主催する初級者向けの研修を受講した。そこで得た最も重要な教訓の一つが、読者に会いに行くということだった。取材対象はもちろんだが、まず何よりも読者に会いに行く。彼らの声を吸収する。そこがスタート地点となる。

読者向けのイベントを企画する。これはまさしくソリューションジャーナリズムの実践である。編集ライティング講座の門を叩いたら、思わぬ形でソリューションジャーナリストとしての一歩を踏み出すこととなった。

何よりもまず先に読者の元へ飛んでいく。それが私の目指すライター像だ。

すべきことが少し見えてきた

細川 真由美

 まだどういう展開になるのかわかっていない。今のところ、目の前の課題をこなすのに精一杯だ。毎回課題を提出していたら必ず成長するという言葉を信じているから頑張れる。

 10月10日、「編集・ライター養成講座(通称、米光講座 )第12期」第2回を受講した。
 まず、課題だったプチ専門に関するオフ会のチラシについてプレゼン。「zoomで画面共有してください」と言われて焦ったが、無事成功した。今回もこんなところで一つ新たな体験ができた。
 私のオフ会のタイトルは、「これからどうなる?! コロナ禍の省エネを語ろう!」だ。プチ専門は「おもしろおかしくマニアックな電気設備を語る」にしたいと報告した。これに対して、先生から「この冬の省エネにしたらどうか」とアドバイスがあった。すごく納得できた。オフ会で語る予定の内容とピッタリだったので、アドバイスに従うことにした。
 私は、電気設備の保安サービスの組織で広報を担当している。現在、2年目だ。プチ専門は、本業とは別に活動している省エネ関係の仕事に関連づけた。この分野では、これまで雑誌や広報誌にトータル131回原稿を書いてきた。書いた量だけは自信があるし、私はやっぱり省エネから抜け出せない。
 オフ会は11月9日(月)に実施することにして、会場も予約を済ませた。参加者はコロナの関係から人数制限し、私を含めて4人。同じ活動をしている仲間が身近にいるので心強い。真面目に仕事をして真面目に遊ぶ仲間たちである。仕事の話もプライベートの話もできる。会うのが楽しみだ。オフ会当日、単なる飲み会にならないようにすることだけは注意したい。
 
 続いて講座では、第1回の課題原稿について講評があった。全員の原稿に赤入れがあって、鋭くて思いやりのある先生のコメントが記入されていた。私の「感想文」にも、良いところを探し出して書いてくださっているのがわかった。他の受講者に対するコメントも納得できるし、勉強になる。
 原稿を書く際には、構成メモを書くクセをつけよう。私の原稿は、ここを省略するからまとまりのない感想文になってしまっているのだ。

 最後は、7つの課題が出された。今回からプチ専門の記事を書く。しかも5回連続。最初に全体の構成を考えておかないと途中でネタ切れになってしまう。ネタづくりのために、関連する本を読んだり、取材してみたり、実地で試したりすること。自分だけの「切り口」を見つけること。いよいよ本格的になってきた。
 ネタの仕込みをきちんとして、読んでもらえる原稿を書きたい。テーマは「この冬の省エネ」。私にしか書けない内容にしたい。
 
 毎日、書く・読む・考える・行動することが、次第に習慣化してきた。第1回から1カ月も経っていないのに、自分の成長を実感している。

【第二週】「今夜も眠らせない米光講座」

美里茉奈(@ManaMisato0707

「課題の講評はあとにしよう。へこんでしまうから」
米光講座の第2回目は、先生の気遣いから始まった。どれだけ厳しい内容がフィードバックされるのだろうかと、皆が息をのんだ。Zoom越しでもわかる。

まずは「自分の『プチ専門』オフ会をするとしたら?」という課題の発表だ。
案内チラシを用意してのプレゼンがおこなわれた。
ライター講座でオフ会とは……?と首をひねってしまう課題だ。
プチ専門に取り組むにあたり、想定読者と話す事でブレを防ぐのが目的だという。突飛に思えるが筋は通っている。

私が発表した内容では、議題の範囲が広すぎると指摘を受ける。
確かに、目的を考えると、まとまりのない会で終わってしまっては意味がない。
どう実現したものか……と考えながら皆の発表を聞く。
案内チラシの作り込みや「そう来たか」と思わせる開催趣旨などに感心。
皆の発表を聞いていると、自分もやれそうな気がしてくるから不思議だ。

気がつけば、講座の時間が半分以上過ぎていた。
次の課題についての解説が行われる。とりあえず未来の私に頑張ってもらおう。

さてお待ちかね?前回の文章課題の返却タイムだ。
全体講評では、課題を出した意図が語られた。プロのライターとして、事前準備と関連知識を押さえることの大切さについて。
全体に向けての講評なのに、思い当たる節が多すぎてドキドキする。

「自分の原稿はもちろん他の人の原稿もしっかり読みましょう。赤入れしている指摘は、その人だけではなく全員に向けて書いています。」

全体講評が終わると、全員の課題原稿が1つのPDFファイルにまとめられて戻された。
自分の原稿を見る。
「ああ……」と思った。

自分の中で「これでいいや」と思って切り上げたところに的確に赤が入っている。
されるべき場所に、されるべき指摘があったのだった。これが本当のプロか……
.
ショックとか、凹むとかの感情はまるでなく「ですよね」と思った。
はじめて納得感のある赤入れをされたことに、どこか嬉しさも感じている。

皆の原稿も見てみた。
事前準備の大切さを説くだけあり、丁寧な赤入れだった。ダメ出しだけではない。必ず良い点も指摘されている。

画面越しに皆のあれこれの感情が入り交じるなか、講座は修了。
また、想定した時間を超過していた。いつものことである。
(宣伝会議の事務局の方も、土曜の夕方お疲れ様である)

講座後はそのまま恒例のアフターだ。
米光講座は、2時間という、所定の時間内で終わらない講座だと思っておくのが正解。
必ず先生は付き合ってくれるので、講座後に直接質問ができるのもポイントだ。オンラインなので、好きなときにそっと退場できるのも良い。

この日は気がつけば解散したのはシンデレラタイムであった。
これからどうなっちゃうのかな。課題はちゃんと提出できるのかな。いろいろ考え出すと眠れない。

「今夜も眠らせない」そんな米光講座であった……

頭の中にプチ専門の地図をつくろう        

世良胡桃

「読書感想文になってるねー」。第一回目の課題講評の中で、先生にご指摘を受けた。でも、どうやったらいい記事が書けるようになるのかわからなかった。
その後、米光先生の話を聞いて知った。いい記事を書くライターはリサーチを欠かさない。先生は「プロの原稿には、洞察や意義づけが必要だ」という。原稿を書く前に、できるだけ多くの関連書籍に目を通す、人に会ってみるなどして、できる限り多くの情報を集める。そうすると頭の中に、調べているテーマにかかわる地図ができるそうだ。書く原稿のテーマが脳内地図上のどこに位置するのかがわかれば、原稿の切り口を定めやすくなる。苦労して情報集めをし、やっと人に読んでもらうための記事が書ける。土台作りが何より大切なのだと知った米光講座第二回目だった。
ライターとして面白い原稿を書けるようになるには、日々出会う情報とのかかわり方も変えなければいけない。今までは好きなものが目の前にあっても、消費する。楽しむ。それだけで満足していたし、それでよかった。でも、ライターとして活動していくには、好きなものをただ好きなだけじゃやっていけない。好きなものはプチ専門として、育てていかなければならない。おもしろいこと、気づいたことがあったら、忘れないうちにメモに書き残す。自分の中で問いが生まれたら、答えを探してみる。積み重ねがきっと大切なのだ。
第二回講座後、神保町の中国・アジア専門書店に足を運んだ。講座用Twitterでフォローしているカレー界の大御所が、同書店で「カレーとコーヒーフェア」が開催されていると紹介していたのだ。私のプチ専門である「南インド料理 ミールス」は結構ニッチなテーマなのか関連本が限られている。図書館を探しても関連書籍が見つからないし、Amazonで中身が見られない商品を買うのもなんだか気が進まなかった。(結局勢いで数冊買った)「あわよくば、気になっていた書籍を発見して実際に手に取ってみたい」という思いを持って、フェアにお邪魔することにした。
専門書店には、一般の書店では確実に売っていなさそうな書籍が、棚中に並んでいる。圧巻だった。「カレーとコーヒーフェア」のコーナーらしきものを発見した。小さなワゴンの中に、関連本やカレー(スーパーとかには絶対置いていないニッチな感じのもの)、ミックススパイス、インド食器がぎっちり詰まっている!ワゴンごと買い占めたい欲求をなんとかおさえた。何冊かプチ専門関連本を発見し、レジに並ぶ。すると店員さんがレジ打ちをしながら、近所に美味しいミールス屋があることを教えてくれる。その後、腹ペコだった私はミールス屋に走った。
出てきたミールスを食べながらオフ会のことを考える。11月上旬までに開催するのがベストだと考えると、意外と時間がない。オンライン開催にする?「行ってみよう」と思ってもらえるような会にするには?どういうコンセプトを打ち出せばいいのか?考えることは盛りだくさんだけれど、さまざまな人と話をして視野を広げることは、いい原稿を書くのに必要なことだと先生に教えてもらった。頑張りたい。

初対面の人と

松村紀花(島亜紀子)(@DYuming

第二回目は更に内容が具体的になった。
課題図書「悪童日記」、「講座レポート」について、赤を入れたものが全員分見ることができるように返却された。初めての提出

「悪童日記」のレポートを書く課題。これは子どものころの「読書感想文」のトラウマがよみがえった。小説を読まないので、何を書いていいのか全く分からなかった。初めての課題であり何をどう書けばよいかわからないまま提出した。

「ただ課題だけを読んで書いてはいけない」と。この小説は一冊で完結していなかった。自分に全く余裕がなかったことをここで痛感。プロとして書くのであれば作者に関して調べることが大切であるということ。現職で制作するとき、お会いする方のプロフィールや出版物など一通り目を通すのと同じだ。この課題を提出するのは、「プロとして提出する」意識が必要だった。だから、単にこの1冊だけを読了し書いてはいけなかった。

課題図書だけを読み進めて書けば内容は薄いものになる。この1冊か関連本を読んだかでは内容にも違いが出る。視点や切り口さえも違ってくることもある。この作品は関連本が少ないが、有名な作品になればなるほど関連本は増える。著作に関して著作者、関連本を探し、調べ、読むこと。自分に落とし込んでから書くことがプロとしてのレビューの書き方だということだ。

そして切り口の設定。プロなのだから、この作品の良さを伝え、読者の心を動かさなければいけない。楽曲でいうところの「サビ」の設定のようなものだ。それは関連本や時代背景、情勢を踏まえて表現することが必要である。ただ指示された課題図書だけを読み書くのは素人であり、人に読ませるものではない。きちんと裏付けも大切である。

このレポートを書くことは、自分にとっての課題を明確にできる。振り返りをすることでこれからの取り組み方を考える機会を持つためでもある。自分のレポートの赤入れだけでも学びがある。今回は、他の受講生のレポートを読むことができる。同じ講義を受けたレポートを読むことで着眼点であり文章の書き方を学べる。それぞれのレポートへの赤入れを見て、新たな学びを得られる。隔週の2時間で10回しかないのか10回もあるのか。このレポートでの振り返りは重要な意味を成している。

二つの道場(米光講座第2回レポート)

津山 雄輔

 米光氏は講座のかたわら、noteで表現道場というシリーズの記事を書いている。
 現在、私は他にも「道場」という名前がついたコミュニティに所属中だ。カメラマン伴貞良氏の「おっさん写真道場スタジオ」。伴氏は当スタジオでアマチュアを相手に講座を開き、オンラインで写真の添削を行う(以下、「伴写真サロン」と呼ぶ。)。
 どちらも講師が課題を出し、受講生が作品を仕上げる。その過程が似ていたため、二つの道場の共通点を整理してみた。

1 課題
【米光講座】(2週間ごとに出題) 
例:A・クリストフの「悪童日記」を読んで原稿を書きなさい。
【伴写真サロン】(どちらも2週間ごとに出題)

例:焦点距離28mmのパースを生かした写真を撮りなさい。
 どちらも易しい課題ではない。講師が最初からお手本を示して、受講生にマネをさせるようなこともしない。まずは自分の頭で考え、間違っていてもいいから作品を提出するよう求められる。
 私は悪童日記を読んだとき、大学で学んだ心理学を切り口として使おうと思いついた。その点、「感想文にならないように書こうとしている」と良い評価を貰う。しかし、心理学の入門書をサッと復習した程度で執筆したのがいけなかった。付け焼き刃で書いたのがバレてしまう。百戦錬磨の講師は全てお見通しだった。

2  公開添削
【米光講座】
全員分の赤入れ原稿を受講生に公開。他人の原稿も読むよう指示される。
【伴写真サロン】
受講生が課題写真を講座内の掲示板に貼り付ける。(その際、他の受講生の写真に対してコメントを2つ付けなければならない。)ZOOMで添削する。
 公開添削を通して、作品を見る能力も試される。米光講座第2回のあと、自主的に原稿を書き直した受講生がいた。それを読んで高評価するコメントがあったり、多くの「いいね」が付けられたりした。作者の意図を汲み取れないと、他人の作品を評価出来ない。分析的に読むためのいい訓練だ。
 伴写真サロンでは、他人の作品を見て「何が伝えてたかったのか」読み取とり、感じたことを言語化するのがルールだ。構図や光の当たり方など、常に全員の写真を観察している。

3 課外活動
【米光講座】
オンラインパーティー部、課題部、書籍部、写真部
【伴写真サロン】
各地で自主勉強会を実施(モデルさんの撮影会など)
 米光講座写真部では、自主的なオンライン会議を実施している。写真部が受講生の皆のために何が出来るのか、深夜まで語り合った。ただでさえ課題で忙しいのに、卒業アルバム作りの計画を立てる。わざわざ自分たちの首を絞めている感がある。でも、受講生が写真も撮れるライターになれれば、重宝されるはず。その特訓として必要な活動だと信じている。

 どちらの道場も、まずは講師がネタを投げ、受講生が何をするかじっと見る。そして、必要があれば軌道修正してやるスタイルだ。そういった上下関係がある一方で、横の繋がり、同志の切磋琢磨も活発だ。プロが育つ場を作りたいとの思いが講師にあり、向上心のある人が集まったからだろう。


米光講座第2回目講義のレポート

グニエ 文 (ぐにえあや)

米光講座とは4ヶ月間で10回開催の編集・ライター養成講座即戦力コースのこと。
今回は12年目にして初めてのオンライン開催。
zoom上に集まったのは講師を入れて24名。
まずはじめに、参加者はそれぞれプチ専門を決める。その事を徹底的に調べ読み書き、自分なりの文章で伝える。書いた文章はプロの講師に添削してもらえるため、具体的に学んでいける。繰り返し読み書きをしていく事で編集力や作文力が高められるのだ。

課題図書がたくさん出る。初回はアゴタ・クリストフ著「悪童日記」。この作品について原稿を書くのが課題。米光講座の受講生が読む想定。しかし私はしっかり読書感想文を書いてしまった。
一度本を読んでいれば分かる事を”もう一度”書いていた。恥ずかしかった。
自分が伝えたい"何か"を文章表現する。その実践は、今までの頭の使い方ではできないと体と脳で学ぶ。

課題の読書量もハンパない。プチ専門の書籍を講座ごとに10冊は手元におくようにと指示。つまり10回講座なら100冊、自分が選んだプチ専門関連の本を読み込め!という事。
この講座の宣伝にあった「実践で鍛える」という言葉に嘘はない。課題に真剣に取り組めば今までとは違う世界の見え方が待っていそうだ。

この講座の大きな特徴は、講師の口から何度も言われる「自分の切り口を持て」。
個性は出すものじゃない、おのずと滲み出るもの。作文の基礎を学び、伝える技術を学び、そして独自の切り口で"何か"を書く。これに集中する事が大事なのだ。目から鱗だった。普段何気なく行う"作文"とは、かなりの技術を必要をする事なのだ。

私のプチ専門は繊維産業の下請け工場である「機屋」。私は10年間生まれ故郷の地場産業、繊維業の工場や職人を写真撮影し続けてきた。しかし長年撮影していても何が表現したいのか分からずにいた。そこで当講座で考えをまとめ分かりやすい文章で伝える技術を学ぶことにした。

第2回目講座は、前回の課題であった「プチ専門のオフ会のチラシ」を見せつつ発表。私の企画したイベントの内容は明確だが、講師からの指摘を受けタイトルを変更した。はじめは「機屋で美味しいご飯とおいしい話」だった。しかし「機屋でお茶会、歴史話付き」にした。

「おいしい話」とは、職人の実体験や産地の歴史の話を指していた。だが「おいしい話」というタイトルは怪しげな印象になってしまうと指摘された。
「美味しいご飯」とは皆でご飯を食べながら交流会をしようとしていた。しかし今コロナの時代に食事は良くないという指摘を受け、お茶会にした。
イベントに欠かせない大事なタイトルは、奇をてらわずに分かりやすく伝える事が大事だと学んだ。

未だに「機屋」についてどう文章表現するか明確でないが、この講座を通じて自分の切り口を見つけたいと思う。

ライター講座で実践! オフ会の企画からチラシづくりで役立つポイント三つ 

深谷幸子

ライター・編集を養成する米光講座。初回授業で「風車専門ライター」のようなニッチな分野の「プチ専門」を考えた。専門を決めたら、次にしたいのは「読者のことを知ること」。専門分野に興味のある人たちはいったいどんな情報を知りたがっているのか……。読者の「生の声」を聞きだすため「オフ会」を企画。授業で学んだチラシづくりまでの工程で押さえたいポイント三つをご紹介する。

1. オフ会の目的を絞ろう
オフ会を開催するときに重要なこと、それはまず目的を明確にすることだ。ボードゲーム好きのオフ会をするなら、具体的になにをするのか決めよう。でなければ同じ趣味の人たちがただ集まる会で終わってしまう可能性がある。ちなみに私のプチ専門は鉱石の「アズライト」だ。オフ会のテーマを「石の魅力を話しあう」「自分の石を見せあう」などと決める。目的が明確ならば「想像と違う…」と参加者が不満を抱くこともないだろう。

2. 誰に来てほしいのか明確にしよう
目的が決まったら、次に誰に集まってほしいのかを明確にしよう。私のオフ会の場合、パワーストーン好きか、アズライトを所有する人か…。とにかくピンポイントでターゲットを設定する。これはオフ会の目的と同様、参加者へ誤解を与えないため。オフ会の目的を達成するのに来てほしいターゲットを呼び集めるのはマストだ。

3.チラシはとにかく分かりやすくしよう
オフ会の詳細が決まったら、いよいよ参加者を集めるためのチラシをつくろう。チラシ製作でもっとも大切なのが、分かりやすいチラシをつくること。当たり前に感じるかもしれないが、これが意外と難しい。私が授業前につくったチラシのタイトルは「アズライト オフ会」。これではアズライトについてなにをするオフ会なのか全く見当がつかない。タイトルを分かりやすく誤解のないように表現する必要がある。では、これならどうだろう。「あなたのアズライトをオフ会で自慢しませんか?」なにをするオフ会か明確にすることでグッと分かりやすくなった。
タイトルをつけるとき注意したいポイントがほかにもあると講師の米光氏はいう。それは「○○を語ろう」というタイトルだ。いったいなにが問題なのか。実はこれは参加者とテーマについて語りあうのを想定したオフ会だった。しかしこれでは主催者側が一方的にトークをする会だと勘違いされる恐れがある。言葉一つひとつを慎重に選ばなければならない。タイトルだけでなくチラシの本文も同じこと。食事会のオフ会で「おいしい話」という文言の入ったチラシがあった。問題なさそうだが、あやしい儲け話だと誤解される可能性があると米光氏は指摘。書き手の意図しない意味が込められてしまった例だ。言葉の選び方一つで読み手の感じ方が変わることに注意しなければならない。
オフ会を企画したりチラシをつくる際はこれらのポイントをぜひ参考にしてほしい。

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