2024年JAMコンベンションに自由環状線として参戦しました(4)
JAMコンベンション参戦記の続きです。
前回はこちら。
https://note.com/yoneden/n/n3cb3a040a454
JAMコンに向けて新モジュールを作る!
弊社展示と言えば自由形車両とモジュールであると思う。とくに弊社のコンセプトには「公民館などでの持ちより運転会をちょい足しで楽しく!」というのもある。
世間的には鉄道模型はお金がかかる、金を失う道だと言われているし、事実そういう面があることは承知している。
鉄道模型には模型いじりのための多くの時間(T)模型購入の資金(M)、走らせる場所を広く取るための大きな家(S)、タイムマネースペースでTMS、鉄道模型趣味等と言われたりする。
事実、完成品の新製品を追いかけてホイホイ買っていてはお金がいくらあっても足りません。家もそうそう大きくはできないし、かといってレンタルレイアウトに通い詰めるとやはりお金が不足する。そして模型を楽しくいじるはずの時間も資金不足で金策を寝る時間に圧迫されてしまう。……それは楽しい鉄道模型ライフと言えるのでしょうか、
グリーンマックスのカタログにもこういう趣旨のコラムが載っていました。
そこで、お金をそれほどかけずにサスティナブルに鉄道模型を楽しむ道はないのか、と思ったのが弊社JAMコン出展のコンセプトであります。
弊社のコンセプト
完成品新製品の購入は程々にしながらその購入した車両を存分にいじって楽しむことを優先。そして家が大きくできなくてレンタルレイアウトも遠かったり高ければ自分で小さなモジュールレイアウトを作って楽しんでは?そして地域の同好の士を募って公民館など公共施設で持ち寄り運転会をしてみては?というのが提案なのです。
小さなモジュールレイアウト、これは弊社では線路の両側に6センチだけ地面や地形を作る6センチマイクロモジュールを提唱してきました。これだと18センチ*28センチ程度のモジュールなのでしまうのも作るのも簡易だし、それでいて繋いで遊ぶのも楽。モジュール1個で車両をスマホで撮ってもSNS映えするし、いくつも繋げばストレートエンド方向から除けば迫力と密度のある風景が楽しめる、というものです。
後にこれは6センチマイクロモジュール拡張としてKATO高架橋と高さを合わせたものに発展しますが、基本コンセプトは変わりません。
これなら簡単に気楽に作って持ちより運転会が楽しくなります。特に公共施設は借りるためには在勤在住の住民でサークル作らないと申し込めないとかの制約はありますが、借りれれば驚くほど安い!1日存分に遊んで千円ちょっと、それも一人千円ではなく一部屋千円だったり、場合によっては無料だったりします。
お財布に優しい上に、地域の子供や家族連れにも見てもらえて、その中から新たな仲間ができたり、地域の小さな活性化や文化交流にもつながる。持ちより運転会は実にいいことが多いのです。
そのためのアイディアを提案するのも弊社のコンセプトであります。
といいつつ、最近は大ネタ、小田急新宿駅とか上野駅、新幹線小田原駅などに手を出しているのですが、基本的なフィロソフィーは同じなのです。
そうしてモジュールを作ってきました。
今年のモジュール
今年は弊社チームのみづかぜ号くんがミラービルを使ったモジュールを作りたい、と着想したので、それを作ることにしました。
しかしみづかぜくんは既製品のラウンドビルのミラーを使うつもりでした。でもそれはあまり美味しくないと判断。
これは私が口を酸っぱくして言ってることなんですが、蒸機から最新の列車まで何にでもあう風景を!と作ってしまう人が多いのですが、それは楽しくないぞ、ということです。
車両を映えさせるように風景の主張を弱めに、ってのはほんとみんな考えます。でもそれがほんとに模型の風景として成功した例を私は知りません。長く語り継がれることもないと思います。
なぜなら、そういう風景は主張も弱いけど魅力もとても弱いのです。記憶に残ってくれない。そんな物作るのは正直、お金と人生の時間の無駄だと思います。そういうものは妥協に妥協を重ねることに陥りやすい。
それならちゃんと実際の風景に寄せたほうが主張も魅力も強まるし、そういう中に車両を置くと、時代や地域があっても合わなくても楽しく見えるのです。「合わない車両を置いたら違和感が」などと思うでしょうが、実際やると違和感は違和感ではなく斬新さ、新鮮さ、楽しさになるのです。魅力のある実景に寄せれば寄せるほどそうなります。
そして実景によせればSNSでも喜ばれます。「あ、あそこだ!」と。展示しててもそうです。中には「見た後でその現地に行ってみたらホントその通りで模型の中に入ったみたいで楽しかった」なんて言葉をくれることもあります。
実景に寄せるのは簡単ではないですが、でも工夫次第で楽はできます。それでいてツカミはばっちりなのです。そして走らせればリアルにもファンタジーにもなってくれて面白いのです。
それに実景というお手本があれば、それを題材にすることで工作のネタを拾いやすくなります。処理に困る空き地なども実景があればそれを再現すればいいのでやりやすい。ゼロから何かを作らなくていいのは本当に楽だし、成功しやすいのです。だいいちそうやって作れば飽きも来なくて長く楽しめます。
というわけで話を元に戻します。
千歳船橋を作る!
ミラービルのある風景、ということでみづかぜ君は既製品ラウンドビルを使おうとしました。
でもそれは私は反対でした。
なぜなら小田急線にはとても有名なミラービルのある風景が実在するのです。
それが千歳船橋駅の新宿寄りにある立石建設ビルなのです。
これは小田急を扱ったビデオやテレビでもよく登場するランドマークです。つくれば「あ、あそこだ!」と思ってもらえるのは間違いない。
問題は建物の自作ですが、ここで自作しないのはとてももったいないのです。現実に寄せるには建物のフルスクラッチは必須ですが、それはやれば必ずいつかできます。ここで妥協するのはもったいない。
ということで建物を作ります。みづかぜ君はその同じモジュールの中にコメダ珈琲と鉄道模型運転会をしてる体育館を置きたいといいます。
どちらも私にはめちゃ高くて簡単に手が出ません。みづかぜくんはそのぶん仕事で稼いでいるのですが、そういう買い方は私としてはあまり推奨できません。
工夫をすることで自分だけの模型にしてもっと楽しんでほしい。いつもそう思っているのですが、彼にどれだけ伝わってるか、私にがわからないところが正直あります。
ともあれミラービルの建物を設計します。使うのはAdobe Illustrator。でもフリーのInkscapeでもできます。
ミラーはやや青みがかかっていて、なおかつ窓の枠がきっちり並んでいます。こういうのを再現するにはOHPシートが最適です。
プリンタは正確に印刷してくれるので作図をちゃんとすれば正確できれいな窓のディテールが作れます。また窓の色もカラーLEDプリンタを使えばいれることは容易です。カラーLEDプリンタは今値段が安いのでインクジェットプリンタよりおすすめです。OHPシートはカラーLEDプリンタを使うならカラーレーザー対応用を買うべきです。インクジェット用のOHPシートもありますが透明度に難があります。
同クラス同価格帯の機械が多数あります。トナーは互換品でも困ったことないです。
設置するモジュールは、YouTuberのやすきちさんが展開する「みんモジュ」の規格に合わせることにしました。ベースはそのためにトミックスコンビネーションボードAを使います。
千歳船橋付近は複々線高架のため、高さを稼ぐ必要があります。ただし今回はまだ「みんモジュ」の規格に高さを追加したものがなかったため、ベースを裏返しにして稼ぐことにしました。高架としてはたった2センチ程度の高架になりますが、それでも立体感がえられるのは大きいです。
そして制作には拙宅で合宿を行うことにしました。やってみたらちょうどロマンスカーVSE車引退と重なってしまい、その引退お見送りに時間を使いましたが、その後は予定通りの工作を実施。
去っていくVSEに寂しさを感じながらの工作です。
はじめミラーをどうするか考えて普通のミラーを使ったのですが、普通のミラーはカットすると破損してしまうんですよね…。そのことを思い知らされました。
結局これを使ったのですが、
これの方が良かったのかもしれません。
前展望動画をYouTubeで探して研究します。
このビルの前に千歳船橋駅の場内信号があることが判明。
センサー式の信号を置くのはしんどいので、点灯だけするダミー信号を置きます。
その信号機、弊社で設計してDMMで売ってるんですが、DMMの出力価格が上がってしまったんですよね…。だからオススメしづらくなってしまった。弊社の取り分は変わらないのに価格上昇だもの。仕方ないんだけども。
ビルの展開図はこんな感じ。例によってディテールにはグラデーション印刷を多用しています。そうすると正確かつ簡易に作ることが出来ます。
実際の風景とは違いますが、なんか雰囲気出てきました。
鏡に映る列車が楽しい。
ダミー信号のLEDは青緑と黄色を使い、片方は進行、片方は抑速現示にして変化をつけます。しかし青緑と黄色のLEDは同じ電流値だと光り方が極端に違うので、電流制限の抵抗を調整して明るさを揃えます。
他の建物も電飾して雰囲気を作ります。
線路にバラストを少し撒いて固定、ダークアースをエアブラシで拭いてウェザリングします。
なぜか小田急線なのにEF81日本海ですが、でもそれほど違和感が無いのではと思います。そう、切り取り方によってはリアルだし、全体で見ても違和感が楽しめるのです。やはりモジュールは実景に寄せた方が楽しいのです。
最後にネームプレートを入れます。
そして合宿の打ち上げは拙宅近所のコスパ中華で。
こうして楽しい冬合宿が終わりました。
そして年が変わると、JAMコンの出展説明会があります。そこで2024年の出展が具体的に始まるのです。