見出し画像

一般人が獣になるために -自分の試合に向けた考え方とその原理-

総文字数:約2,500文字 想定閲覧時間:約4~5分

noteを見てくださった方、こんにちは。
前に自分のnoteを見たことあるレアな方、お久しぶりです。
pro esports team 思考行結のHADO部門に所属している「よね」です。

今回は、自分の試合に対する「考える方法」とその理由について書いていきます。主な読者として「ROOKIES CUPでは通用する実力になってきた」「ただしADVANCE CUPでなかなか勝てない」という方を想定しています。

そもそもHADOって何よ?って方は、下の動画を見てみてください。

なんでこんなことを言い出したのか

わちゃわちゃ☆ピーポーのぶちょう。選手が、自身のツイキャス(※)でこんなことを言っていたようです。
※リンク先は書きおこしの方のnoteです

小脳は「運動の自動化」という重要な役割を担っており、要するに大脳ではなく小脳を使ってプレーしているというのは俗に言う『身体が覚えている』状態であると言える。(中略)
見慣れない盤面をくらった時、大脳で悠長に考えている暇はない。あらゆる盤面、戦況を想定し、常に小脳で自動的に対応できるのが理想だ。

この考え方、非常に大事なので、ぜひ皆さんに理解してほしいんです。

加えて、ちょっとだけ脳科学やら認知科学やらを大学院でかじっていた自分にとって、これはぜひ自分が深堀りしたい内容だ!と勝手に思って書き出したわけですね。

小脳って何?

そもそも小脳ってなんやねん、というお話から始めます。
(ちょっと人を選ぶ画像が出ます、ごめんなさい!)

脳、と言われると、大体の人があのうねうねした丸い物体をイメージすると思います。下みたいなやつですね。

画像2

でも、この脳みそを真ん中からぶった切ると、ちょっと構造が違うようなものが出てきます。この中の下の方にあるのが「小脳」です。
対して、よく見るうねうねしたやつはざっくり「大脳」と呼ばれているものです。

画像2

大脳と小脳の違い、そして運動には小脳が向く理由

大脳より小脳の方が向いている!と断言できるのは、以下の3つの理由からです。

① 小脳は「身体に染み着いた」「動作の」記憶を多く持っている
② 反応速度は「大脳を使う<小脳まで<<脊髄反射」
③ 小脳は感情の源泉

3つについて詳しい話をしだすと専門的かつネムイ話になってしまうので、ここでは割愛します。興味ある人はnoteのコメントなりTwitterなりで連絡ください。

超ざっくり書くと、大脳と小脳、それから五感の関係ってこんな感じです。
(正確には色々端折っていますが、気にしないで頂けると嬉しいです)

画像3

自分が研究していた時は、小脳での判断は概ね0.2~0.5秒、大脳での判断は早くても1秒程度かかると言われていました。
HADOは1試合80秒。一瞬で戦局が大きく変わります。だから、1秒も思考に使って出る行動の結果は、1秒後には無駄な情報である可能性が高いです。
だから、HADOは大脳で悠長に考えている暇はない」のです。

自分が「考える」方法

お前、「試合中にいろんなこと考える」ってよく言うやん。
自分とよく話す人であれば、おそらくこういう人が多いんじゃないかなと思います。一見すると、今までの話と相反しているように感じるでしょう。
特に、自分は今チームの中で試合運びをスムーズにする役割をしていることが多いです。そんな人が「深い思考をするな」なんて言うのは、ちょっと変に感じるでしょう。でも、実は自分は試合中に思考しないんです。

試合前に思考するんです。試合中は小脳でできるレベルでいいのです。そうすれば試合中、自分が思考した結果をもとに対応することが出来ます。実際、自分も試合前に思考し続けることで、試合中には思考せず、素早い反応が。

どうすれば「考える」ことができるのか

では、自分はどのように試合中に「考える」のでしょうか。

自分の「思考/考える」方法は大きく2つです。

1. 試合前 :感情を活用して各選手の癖を思考し小脳に叩き込む
2. 試合中 :叩き込んだ癖を使い快くなるように小脳で考える

以降で各段階でどんなことを意識しているのかを書きます。

1. 試合前の思考
いつもは、大会動画や練習相手の動画、動画を見られない時は脳内でロールプレイをするなど、あらゆる方法を使って、その人が特定の時にどんな動きをしがちなのかなどを大脳を使って思考して把握し、小脳に溜めます。この時、自分は『強引に言葉にしない』『見てて少し快くなるまで見る』と決めています。

なぜ強引に言葉にしないのか。それは情報を有効活用するためです。
自分は、知識を言葉にすることで、以下の弊害が出ると感じています。
① 一度大脳に入ると、最悪小脳が忘れる
② 記憶が固定化されるため、ひらめきや既視感が少なくなる

なぜ何も感じなくなるまで見るのか。それは小脳の特性上、少し快い状態は学習を完了させた合図になるからです。
先ほど小脳は感情の源泉だ、と触れました。小脳が源泉である感情の根本にあるのは、今の状態が「快か、それとも不快か」だ、と言われています。そして人間は何も変化がない時、本能的に弱い快の状態になります。この弱い快の状態をもって、学習を完了したか、まだ学習が足りていないかを判断します。

2.  試合中の考え
試合中は、試合前に小脳に入れた情報を使って、ほぼ反応に近い速度で考えます。相手がこの場面でこれをした、であればこう動こう、結果どう動いたかな、といった流れで小脳に溜めた情報を使い行動し、外界からフィードバックを得て、より違和感を感じず、快く感じる方向に動きます

まとめ

長々と語ってきたので、ここらでまとめます。とりあえず、これを意識しましょう。

① 小脳は軽く考え行動に繋げフィードバックを得るもの。試合で使おう。
② 深く思考するのは試合前まで
③ 試合中は小脳に溜まった情報を使う

具体例を挙げようとしたのですが、お相手の癖を露呈することになってしまうので、今回は見送ります。気になる人はお会いした時にでも聞いてください。

以上です。読んでいただきありがとうございました。

======================
SK/あひる組 | よね
Twitter : @yonex_1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?