BEASTスポンサーの日常⑮〜第4回Moトーナメントに出場した(1次予選)
Moトーナメントの追加募集の告知
猿川プロが経営する雀荘「まあじゃんmono」で、開催される第4回Moトーナメント参加者の追加募集に関するポストを見つけてしまった。
猿川プロの「あと3人いると助かります」という謙虚な表現のポストに反応して、先にBEASTの営業を通すという手順を踏んだ後に、Moトーナメントにエントリーしたいと猿川プロにDMを送った。程なく日程は、希望通り12月13日に決まった。
今年の僕はツいていた。8月に開催された第2回BEASTプロアマ大会で優勝。9月開催のひなかよリーグ2024第9節で優勝。10月のベルバードオフ会で3位、11月開催のひなかよリーグ代表者決定戦で4位と、過去には無い麻雀大会での好成績を残していた。
なので、このトーナメントも、ベスト16まで勝ち進んで、Mリーガー達と対局できるかもしれないという、根拠の無い、ほのかな期待を抱いていたことは否めない。
いざ赤羽へ〜まあじゃんmono
遠い昔、埼京線が出来る前、赤羽線という4駅しかない路線があった。赤羽駅発のこの路線の終点は、池袋駅である。新宿、渋谷方面に行く場合、高崎線の上野行きに乗り、赤羽駅で下車し、赤羽線に乗り換える必要があった。今では湘南新宿ライン、上野東京ラインが出来たおかげで、群馬から東京の主要駅、更には神奈川、静岡へのアクセスが、格段に利便性が増した。ありがたい話である。
まあじゃんmonoは、赤羽駅から徒歩20歩の所にある。僕はストライドが狭いので、30歩くらいかかったかもしれない(笑)。駅前の一等地である。固定費としての賃料は、高いに違いない。これから勝負が始まるというのに、つい余計な事を考えてしまうのは、僕の悪い癖である。
試合当日は金曜日だった。20時スタートなので、会社を定時で帰っても間に合うが、電車の事故遅延と乗車する駅までの道路渋滞を考慮して、15時に早退した。
電車事故も道路渋滞も無かったため、順調に18時前にmonoに着いた。取り敢えず、待合カウンターで夕食を注文し、腹ごしらえをした。店内で売っていた日本プロ麻雀連盟の来年のカレンダーを買ったら、オマケが豪華だった。
スタッフの方が、「試合開始まで時間があるので、フリーで打ちますか?」と訊いてきた。今日の調子を確かめるため、打つことにした。さっそくポイントカードを作ってくれた。まぁ、赤羽まではそうそう通えないので、想い出の記念品と化すだろう。
言い訳をするつもりはないが、この日は仕事の疲労が残っていた。JR東日本の在来線に乗る時は、必ずグリーン席に座るのでその点は良いのだが、乗り越しのリスクを考えて、車中で眠ることを抑制してた。麻雀は心・技・体・運が揃ってないと勝てないゲームである。
monoでの初のフリー対局は、17,600点の4着で終わった。和了れず、振り込まず、ツモられ貧乏の地蔵ラスだった。トーナメントの開始まであと25分。このままではマズいと思った僕は、スタッフさんに、Monster EnergyかRedBullを置いてないか訊いた。類似品は店内の自販機にあるが、そのものは置いてないという。仕方なく、店外へ出てコンビニで、Monster Energyを買って来て飲んだ。過去に摂取し過ぎて効能が弱くなっているが、それなりの効果はある。
試合の開始時刻までまだ時間があったので、断りを入れて、店内の写真を撮らせてもらった。
トーナメント1次予選開始
写真を撮りながら店内を見学(ウロウロ)していると、スタッフさんから声が掛かった。全員揃ったので、開始時刻前だが試合を始めるとのこと。
トーナメントルールは食事の後、スタッフさんから聞いていた。一般的な赤入りルールで、半荘2回戦の70分打ち切り。半荘2戦のトータルポイントの上位2名が勝ち上がりとなる。
Mリーグのオフシーズンに行われる「Mトーナメント」は全試合観ていたので、何となく戦い方は理解していた。初戦トップを取れば、通過率は90%以上。たとえ1回戦でラスを引いても、他家との着順差と素点の差という条件をクリアすれば、勝ち上りの可能性は残る。だが、1半荘目でトップを獲ることが、第一目標となる。
1回戦は東家スタートであった。50分打ち切りルールなら、そこそこ有利ではあるが、70分打ち切りルールでは、そこまでのアドバンテージは無い。北家まで2回目の親が回ってくる確率が、格段にアップする。
Monster Energyを飲んだ効果が出たのか、スタートは好調だった。下家から、仕掛けてのタンヤオ赤ドラ5,800を和了ると、次局も7,700は8,000を上家から和了れた。(下図/リーチ・一発・タンヤオ)
しかし、親落ちの時の状況が非常に悪かった。上家が3,000−6,000の和了で跳満の親かぶり。更には東2局で下家の親に2,900(タンヤオ・赤1)の放銃。更には東4局の0本場で上家の親に4,000オールを和了られた後の1本場、發を一鳴きした対家に、一萬を何の気なしにツモ切りしたところ、8,000は8,300と言われた。7巡目のことであった。(下図参照)
完全な交通事故である。東パツの親で稼いだ貯金を使い果たし、早くも借金生活となった。南1の親、南2でも和了れず、他家にツモられて順調に点棒を失い、ラス前ではとうとう持ち点が10,000点を切り、下家と2,600点差の4着まで順位を落としていた。
南3局0本場、手がすっかり落ちた僕は、形式聴牌をによって聴牌料加点を狙うのが精一杯だった。17巡目、ツモ番を1回残した対家の親からリーチが入った。リーチ宣言牌は、ドラ表示牌の八萬だった。同巡は現物を引いて凌げた。ところが海底の自分の最終手番で、ドラの九萬を掴まされた。(下図)
九萬は場に1枚飛びで、自分の目から見ればノーチャンス。なので、あるとすれば単騎待ち。リーチ宣言牌である八萬を関連牌と考えると、七萬も危険牌である。下家はオリ模様なので、ここで聴牌を取りきれば着順アップとなる。3秒ほど考えた結果は打九萬だった。瞬間、親がロンと発声し手牌を倒した。(下図)
オリておけば良いのに、欲を出して箱下に転落した。南3局1本場は、トップ目の上家が、ダマで平和をツモリ、400−700は500−800を和了って次局へ進めた。
そしてオーラス。着順アップ条件は、跳満ツモか、暫定3位の下家から満貫直撃という厳しい状況だった。
条件を満たしていないものの、取り敢えずタンヤオ・平和の聴牌が早い巡目に入った。即リーは打たず、赤引きか三色の手変わりを待っていたところに、3筒をツモってきた。(下図)
ドラ色の索子は場に高い上に、待ちの4−7索は、自分の手牌を含めて4枚見え。一方、筒子は場に激安である。4索を切って3−6筒の延べ単リーチを打った。手変わりと平和を捨てて、ツモって裏1、満貫で素点回復の道を選んだ。5巡後、思惑通り6筒をツモリ、和了ることが出来た。リーチ・ツモ・タンヤオ・裏1の2,000−4,000。点棒は地上に戻ってきたが、ラスであることに変わりない。我ながら、酷い内容の麻雀であった。
それにしても、トップを取った上家の若者は強かった。おそらくフリー雀荘でも勝ち組だろう。
通過条件
1回戦が終わったところで、スタッフの方が、親切にも勝ち上がり条件を教えてくれた。1回戦で2着だった対家の方を3着に沈めてからの、自分がトップ+素点8,400点以上の差をつける・・とのことだった。
Mトーナメントでも、1回戦目4着を引いたプロが、2回戦で挽回して勝ち上がった例は少ないがある。とにかく、ベストを尽くすのみである。
2回戦は南家スタートだった。ターゲットとなる1回戦で2着だった方は対家、1回戦でトップを取った若者は下家だった。
東場を終えた。3,900点を1回和了ったきりだが、悪くない展開だった。前回トップを取った下家が、2連勝するような勢いでトップポジション。僕は暫定2着で、ターゲットとなる対家が3着目だった。所謂 並びが出来ている状態である。これで僕がトップを捲って、対家が順位アップしなければ、素点差の条件もあるが、ほぼ通過となる。
事件が起きたのは、南1局だった。僕は暗刻が一つ、対子が3つという配牌を貰った。(下図参照)
第一打から4索、6索、5萬という派手な捨て牌となった。対子手か国士無双か、変則手がバレバレな捨て牌だが構うことはない。5巡目に白を対子にした。瞬間、対家から白が放たれるが当然の見逃し。10巡目その白を暗刻にして、ツモり四暗刻を聴牌した。(下図)
当然のリーチ。他家を降ろしてツモリに行くという定石である。ところが、上家の親は僕のリーチ後に、果敢に役牌の東を暗槓した。槓ドラは直乗りした東。親のやる気ゲージが一気に上がった。最低で18,000点はありそうな雰囲気だ。下家と対家は降り模様である。場は親と僕の一騎打ちの様相を呈した。
決着がついたのは、14巡目だった。
『ツモ。8,000−16,000』7索をツモった僕は、平静を装って点数申告をした。これでお釣りが出る位の条件を満たした。あとは、この着順の並びを維持するだけである。
場はオーラス。何としても連荘をしたい対家の親を横目に、2着目の下家の若者が、仕掛け&仕掛けのムーブで、最後は裸単騎の3索待ちを聴牌即ツモし、あっさりと決着がついた。ありがとう!若者よ。
若き歴代王位戴冠者
実に4年ぶりに和了った四暗刻だが、こんな大事な場面で出現するとは予想だにしなかった。役満の和了により、奇跡的に通過できた感慨に耽っていると、二次予選の希望日をスタッフさんが訊いてきた。
入店してから、何かと面倒を見てくれる親切なスタッフさんの名札を見ると、「渡辺史哉 日本プロ麻雀連盟」という文字が目に入った。
『あ、プロの方だったんですね。Xでフォローします』とフォローしたら、直ぐ様フォローバックしてくれた。
Xのプロフィールを見ると、「第46期王位」とある。モンド杯にも選出されて出場している。よくよく調べると、渡辺史哉プロがG1タイトルである「王位」を戴冠したのは、プロ1年目ということが判った。王位戦とはプロアマ混合の50年もの歴史があるタイトル戦で、日本プロ麻雀連盟が主催している。
僕も30年以上前に、王位戦に数回エントリーして、いずれもコロッと負けているので、彼の壮挙は理解できる。一発裏ドラなしの競技ルールなので、雀力がより問われるタイトルなのである。
というわけで、若手有望プロの一人である、渡辺史哉プロの活躍を今後も見守ろうと思う。
後日、二次予選の対局表がDMで送られてきた。Mリーガーと対戦するには、あと2回の勝ち上がりが必要であると、渡辺史哉プロは教えてくれた。とにかく無心で戦うのみである。
(2次予選編に続く)