最高位戦フェス2024【後編】
道場での2半荘目
インターバルを挟み、僕らにとっては2半荘目、道場としては4半荘目の卓抽選が行われた。僕が引いたのは、萱場貞二プロ卓。息子が引いたのは有賀一宏プロ卓だった。正直言って、萱場プロのお名前を聞くのは、今回が初めてだった。ドラフトで小林剛プロから指名されるくらいなので、実力者であることは間違いない。
僕は起家を引き、萱場はラス親で僕の上家だった。萱場プロはとても寡黙な方だった。会話も全く無く淡々と対局が進んでいった。
オーラスの点棒状況は、下家が34,000点持ちのトップ目。萱場プロが31,500点持ちの2着目。対家が29,500点持ちの3着目、僕は25,000持ちのラス目で、この半荘ノー和了だった。役牌の対子が入った二向聴のの配牌を貰った。有効牌を順調にを引き、5巡目で聴牌しリーチを打った。
2巡目後、あっさり萱場プロから和了牌の中が出た。裏が乗って5,200点。この和了で萱場プロとの着順が、入れ替わった。ラスに落ちた萱場プロに、後輩らしきプロが、萱場さん相変わらずですね・・と声を掛けていた。雀力はあっても運量が少ないのかなぁと、勝手な想像をした。
息子に今までの戦績を尋ねたら、3−3と答えた。プロとリアルで対局するのは初めてなので、かなり緊張したらしい。僕が初めて対局した麻雀プロは、二階堂瑠美プロだった。今から15年以上前のことである。やはり緊張して思うような麻雀が打てなかった記憶がある。
それより、いよいよ本日のメインイベントである!次回の対局は、親子共に抽選する必要がない。既に同卓プロが確定している。
園田賢プロとの親子同卓
いよいよ、園田プロとの対局が始まった。起家 僕、南家 園田プロ、西家 息子、北家 高身長の若者という並びで、ゲームは始まった。実は息子とリアルで卓を囲むのは、これが初めである。ネット麻雀では、数回対局したことはある。この記念すべき対戦に園田プロと同卓とは、正に最高のメモリアル対局である。
東1局、園田プロが、5巡目からいきなり得意の仕掛けを入れた。カンチャン塔子を捌く三萬のチーからである。園田プロの上家は不利である。仕掛けを多用するので、他の二家より捨て牌にケアしなくてはならない。この局は、園田プロを警戒した打牌を強いられ、園田プロの一人聴牌で流局した。
東2局一本場、上家の若者が6巡目に先制リーチを掛けた。その3巡目後、親の園田プロが追いかけリーチ!場は一気に沸騰した。園田プロは、ファンサービスで、Mリーグでよく見せるリーチ後のツモ モーションを披露してくれた。若者がそのモーションを真似する。彼も園田プロのファンらしい。「まだまだ甘い!」園田プロは、彼のモーションに駄目出しをした(笑)。
14巡目、園田プロは、若者が切った六萬に対して、「ロン」と力強く発声した。
裏ドラは乗らず9,600は9,900の和了である。ドラ色である萬子は場に高く、六萬が良いという情報は特にない。しかし、勝負強さは流石プロである。
東3局 息子の親番。僕は早い巡目で平和のみのリーチを掛けた。リーチを掛けた僕は、考えることが減ったので、園田プロに質問をした。『2019年のMリーグの勝利者インタビューで、麻雀の起こり得る現象の確率を、園田プロが魔神斬り(ドラクエの斧の技)に例えていましたけど、何でしたったけ?』
[そんな昔の事言われても、覚えとらんわ]と、回答に窮している園田プロに代わって、息子が応えた。『トップを獲る確率ですよね。魔神斬りの成功確率は30%ですが、ゲームで中々はぐれメタルを倒せないでいて、これがMリーグのトップ獲りに似ていると言ってました』これをきっかけに、息子も園田プロに話し掛けた。「今日、鈴木さんは来てますか?」園田プロ「来てますよ。YouTubeの撮影してるからね」鈴木さんとは、園田プロのYouTubeチャンネル「その研」のスタッフらしい。雑談しているうちに、この局は僕の1人聴牌で流れた。
東4局1本場、上家の若者の反撃が始まった。まずは、ヤミテンで園田プロから、5,800は6,100(タンピン ドラ1)を直撃すると、次局下記の満貫手をツモリ、一気にトップへ浮上。
この対局の開始とほぼ同時に、チームの監督達が道場に現れていた。浅見プロ、小林プロ、醍醐プロ、日向プロの4名である。スタジオでのエキシビションマッチを終え、道場の様子を視察に来たらしい。
こんな重要な事にも気付かず、親の連荘を止めるべく、息子がこの半荘 初リーチ!その同巡、僕も追いかけリーチ!リーチ者二人の安全牌が切れた園田プロは、自己都合で4索を河に放った。
「ロン」『ロン!』父子でハモった。。
ここで、対局を観戦していた醍醐プロから特別裁定が入った。「記念の親子対局だから、タブロンありでいいよ」スタッフさんから、僕達が親子参加であることを聞いたのであろう。勿論そんな裁定は無効である(笑)。
和了した息子はリーチのみの1,300点。頭ハネされた父もリーチのみの1,600点。「同じリーチのみでも、テンパネで父親の貫禄を示したね」と醍醐プロからの面映ゆいフォローがあった。醍醐プロは、リーチのみの形になる手牌組みをしないことで、有名な打ち手である。
この放銃で、ツキを落とした園田プロは、ズルズルと後退して行った。そしてオーラス、微差であるが、いつの間にかラス目に落ちていた。しかし、ここで終わる園田プロではない。着順アップを目指し、園田プロは12巡目、声高らかにリーチを宣言した。
ここでアクシデントが生じた。リーチを掛けた直後、トイレを我慢できなくなった園田プロが、なんと日向プロにリーチ代走を依頼したのである。日向プロが卓に入り、一気に場が華やかになった(笑)。僕は諮らずも、推しである日向プロとの初同卓を、思わぬ形で果たしたのである。☺️
誰もが期待した『ちゅも』の発声は訪れることもなく、園田プロの渾身のリーチ・平和・三色は惜しくも流局した。フェスのシステム的にあり得ない監督である日向プロとの同卓は、至福の数分間であった。
対局終了後、再びアクシデントが発生した。点数の合計が500点合わないのである。原因は間を置かず判明した。500点棒が、園田プロと息子の丁度中間の、床の上に落ちていたのである。息子は現状 園田プロより400点上の3着。もし、この500点棒が、園田プロのものだったら、着順が入れ替わる。
園田プロが少考後、裁定を下した。「この500点棒は、オーラスのリーチ棒と共に供託扱いにしましょう」
Mリーグを始め、多くの雀荘ではオーラスに残った供託のリーチ棒は、トップ獲りというルールが多い。しかし、最高位戦では、供託された点棒は、その時点で誰のものでもなくなり、和了った者だけが獲得できるという考え方を40年以上も踏襲し、団体のルールに盛り込んでいる。
こうして、メインイベントの対局は終わった。1位 長身の若者、2位 僕、3位 息子、4位 園田プロ という結果だった。
対局終了後、親子共々、園田プロからサインを戴き、写真撮影にも応じてもらった。
実をいうと、このサインのお願いは、フェスのガイドラインに反していた。最高位戦プロからのサインは、チェキもしくはフェスの物販品に限定されていた。しかし、先程 別卓で丸山奏子プロの書籍にサインを貰っていた女性がいた。最近(当時)出版されたばかりの、自身のエッセイ本へのサイン依頼に、丸山プロは嬉しそうだった。スタッフはそのガイドラインを知っており、サインしているところを見ていたはずだが、特にお咎めはなかった。
というわけで、浅井プロ、ゴメン!m(_ _)m 僕達はフェスのガイドライン違反をしてしまいました。😅 ちなみに、選手達はこのガイドラインを知らない方が、大半だったようだ。
フィナーレ
道場でのプログラムは全て完了し、僕達は再び最高位戦スタジオに戻った。寒空の中、15分も歩いて辛かった。😓
時間は若干押しており、プログラムの最後を飾る閉会式が始まった。まずはチーム戦の順位発表があった。
優勝は浅見ヤンキース。圧勝だった。大会運営に生命を削って尽力した、浅井祐介プロが所属しているチームである。きっと神様のご褒美であろう。我が日向アイコスは、物議を醸した最終戦の特別ポイント加算ルールで、2着カら4着へ落ちてしまった。アイコス推しのフェス参加者が、道場でのフリー対局で頑張って、チームポイントにかなり貢献したが、最終戦の理不尽な特別ルールにより、灰燼と化してしまった。
道場フリー対局で、最もポイントを獲得したフェス参加者も、表彰対象であることがこの時判明した。初めから知っていたとしても、受賞は難しかったと思うが。来年なフェスで、この賞があるなら、ダメ元で狙ってみようと思う。
そして、監督・選手達のサイン入りユニフォームの当選者が発表された。勿論 我々父子は順当に当たらなかった(笑)。
最後に重大発表があった。最高位戦フェス2025の開催と、即売り切れとなった最高位戦プロのトレーディングカードの再販の決定である。この発表に会場は大きく沸いた。
その後、監督を含む全チー厶の集合記念写真撮影が行われ、お開きとなった。帰りのエレベーターの前では、最高位戦のプロの方々が見送ってくれた。
僕が普段参加している麻雀イベントは、プロとファンの比率が2対62、もしくは、6対58である。
一方、最高戦フェス2024は、スタッフのプロを含めると、体感で40対60である。これは凄いことである。
イベントにおけるプロ率が異常に高い。この状況はファンにとっては喜ばしいことであり、この入場チケット代は、安すぎると思う。おそらく人件費は出ていない。
最後に御礼の言葉を述べて、締めようと思う。
フェスの運営責任者の浅井祐介プロ、親切に接してくれた運営スタッフの若手プロの方々、監督および選手の皆様、楽しい一日をありがとうございました。
(了)
【オマケ映像】