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BEASTスポンサーの日常⑰〜第4回Moトーナメントに出場した(3次予選)
悲報
Moトーナメント3次予選の日が来た。いつものように会社を早退し、monoがある赤羽を目指すべく、高崎線上野東京ラインに乗った。大宮駅を過ぎたところで、スマホに着信後あった。社長(弟)からだった。車内は通話禁止なので、通話を拒否した後、折り返し電話するとLINEで連絡した。
赤羽駅の改札を出て、社長に電話した。その第一声が「残念だったねぇ」だった。何のことか良く分からず、続きに耳を傾けると、BEASTのプロアマ麻雀大会の案内メールが、先程来たとのことだった。その大会の当日は、自分が主催の麻雀大会の日程と重なっているため、プロアマ大会に出場することが出来ない。社長も自主開催の大会のスポンサー兼バックアップ要員として、オブザーブする。㈱OKAYAMAの前回の大会の優勝に次いでの連覇の夢が、潰えたたということだ。
大事なトーナメントの前に、意気消沈する話を聞いてテンションが下がった。しかし、気持ちを切り替えるしか無い。
Mリーグプレミアムナイト
トーナメントの2日前、東京ドームシティで、Mリーグ最大のパブリックビューイングである「プレミアムナイト」が開催された。当社に付与されるチケットは、1枚だと想定していたので、その1枚は社長である弟に充当し、発売日に自分用のチケットを購入した。アリーナ席で、少々高いと思ったが、特製Tシャツが付いてくると当日の受付で知り、その価格に納得した。
当日は終電を気にしなくても良いように、車で現地入りした。チケットを持っている僕は、先に会場入りし、選手自らが売り子を務める物販コーナーで、買い物をした。一方、弟は16:45にBEASTX営業のY氏とチケットの受け渡しの約束をしていたので、入場は出来ないため、近くで時間を潰すと言って一旦別れた。
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(2個めを購入)
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(ランダムキーホルダーを5個購入)
16:40過ぎ、弟とY氏と合流すべく、一旦外に出ようと、人混みを掻き分けて入口に向かった。入口のドアの向こうには、見知った顔の女性が、小さな男の子の手を繋いで立っていた。猿川プロの奥様の石田亜沙己プロと、愛息のしんちゃんだった。僕は石田プロとしんちゃんに挨拶し、明後日monoへ行く旨を伝えた。しかし、石田プロの心はここに在らずだった。その理由はすぐに判った。
「しんちゃん!パパが来たよ!」石田プロの弾んた声が僕の耳に響いた。猿川プロに招き入れられて、二人は関係者入口から、会場に入っていった。パパを目がけて突き進むしんちゃんを見る猿川プロの表情は、今までに見たことがないくらい優しかった。
この日シークレットだったプレミアムナイトの第一試合の登板選手は、猿川プロであることを、この瞬間確信した。その試合で、愛する息子の前で猿川プロはトップを取り零す惜しい2着を取ったものの、チームの連対記録は継続した。
ウォーミングアップ
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いつもの様に、店のカウンターに座り、食事を注文した。ふと、目線を前に向けると、営業許可証が目に入った。猿川真寿という名前が、本名であることを確認した。最近の麻雀プロは、実名を使わない人も少なからずいる。Mリーガーの中では、黒沢咲プロ、醍醐大プロ、渋川難波プロらが自分の知る範囲でそれに当たる。
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不参加が決定的となったBEASTのプロアマ大会のことをモヤモヤと考えていると、食事が運ばれてきた。今日のメニューはトマト味のシチューだった。僕は高速の速さで食べ終え、東1局1本番、持ち24,000点の卓にメンバーさんと入替えで入った。
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結果は東4局の親番でハコを割って、無様なラスに終わった。何もかもが噛み合ってかなかった。
次戦、オーラスの南家でまたもやラス目だった。着順アップには跳満ツモが必要である。満貫手でリーチを掛けた。ツモって裏が乗れば跳満となる。和了れはしたものの、ウォーミングアップの2戦はラス・ラスで終わった。心中には暗雲が漂っていた。
3次予選の闘牌
第一半荘
開始時刻の10分前だったが、3人が揃ったので、場決めをした。南家だった。最後の一人はまだその姿を現さない。隣のB卓でもトーナメントの最終予選が同時に行われる。二次予選で一緒に勝ち上がったRMUの瀧澤プロがその卓におり、アイコンタクトを取った。
最後の一人が来て、東家の席に座った。いよいよ、最終予選がスタートした。東家の親がオタ風から仕掛け、赤1の点パネ1,300オールで幕を開けた。しかし、この半荘の主役は北家スタートのH氏だった。東ラスの親番で4,000オールをツモリ、一気に主導権を握った。一方僕は南3局にようやくチャンスが訪れた。
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北は役牌で満貫確定のリーチを打った。ツモまたは裏ドラで跳満が狙える。中は生牌、東は1枚切れ。セオリー通り東単騎を選択した。すると、下家の親はノータイムで中をツモ切り。対家が捨てた現物の三萬を上家がチーして、打 中。一発を消された僕のリーチ後の第一ツモが中。完全に牌に弄ばれている。予測通り下家の親から追い掛けリーチが掛かった。僕は負けを覚悟した。しかし、和了ったのは予想を反して僕だった。上家が東をツモ切りしロン。裏は乗らず8,000点。しかし、この和了で2着に躍り出て、そのままゴール。次の半荘に勝ち上がりを委ねることとなった。
第二半荘
次の半荘は起家スタートだった。配牌に恵まれた。
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早々にダブ東と8筒を鳴くことができ、ドラの5索が赤5索と入れ替わって、7巡目12,000点の聴牌を果たした。和了を取れれば、勝ち上がりに大きなアドバンテージとなる。
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子方は警戒し甘い牌を打って来ない。捨牌が3段目に入った。和了ったのは対家だった。
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ラス牌の白をツモっての2,000-4,000だった。この半荘は対家が吹くと予想した。しかし、麻雀はそんなに甘いものではなかった。東2局0本番、1回線でトップだったH氏が、仕掛けからの12,000点を対家から直撃し、この半荘もトップに躍り出た。
リーチ合戦の負け、勝負手を一向聴から押しての放銃と、ラス前のスタート時点で僕は13,800点持ちのラスに落ちていた。配牌は悪く4向聴。しかし、ダメ元でホンイツを目指していたら、ツモに恵まれ7巡目に下記の聴牌を果たした。
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僕の河は筒子と萬子の中張牌だらけの派手な捨て牌になっている。リーチを掛けても字牌は出にくい。しかし、ドラ色の索子も場に高い。鈴木大介さんの「七対子は字牌で待つな」というフレーズが脳裏に浮かんだ。待ち牌を選択すべく、一旦闇に構える手もあった。しかし、僕は反射的に2索を切って、リーチを宣言してまった。
その2巡後、盲牌で一番最初に覚えた2索をツモって来た。この局は最後まで和了牌の中はその姿を現さず、僕と上家の2人聴牌で流局した。
そしてオーラス、渡辺史哉プロが「メモは必要ですか?」と対局者に声を掛けた。トーナメントの勝ち抜け条件を書くために用いるものだ。僕は1次予選から終始一貫して、勝ち上がり条件を渡辺史哉プロに教えてもらっていた。今回もそれに甘えた。
「えーと、そうはなさんは跳満ツモ条件が残ってますね」ありがたくその条件を頭に叩き込んだ。ドラは字牌で、赤牌も無い。狙いは234のメンタンピンツモ三色である。対家は赤牌や中張牌を切り出し、配牌オリをしているようだ。
最後を締めたのはトップ目のHさんで、タンヤオのみの1,000点を和了り、オーラスは幕を閉じた。見事な二連勝だった。そして僕の第5回Moトーナメントは、これにて終幕となった。
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帰路
B卓では瀧澤プロがまだ闘牌中だった。対局の邪魔にならないように、小声で『負けました』と告げ、monoを後にした。
帰りの電車の中で、瀧澤プロに今日の麻雀の敗因をDMで報告した。程なくして瀧澤プロから返信が来た。瀧澤プロも3・2で敗退とのことだった。放銃回数0だが、リーチ合戦でことごとく、ツモられ負けする等、展開が向かなかった故の負けだった。同じ敗退でも、麻雀の内容的には瀧澤プロの方が上だと言うことが解った。瀧澤プロは週末にも公式戦が控えているようだ。是非、良い結果を残して頂きたい。
猿川プロは、麻雀の醍醐味はトーナメントにあると、何処かで述べていた記憶がある。リーグ戦と違って負けたら明日が無いという点においては、よりシビアな闘いを強いられる。今回Moトーナメントに参加してみて、猿川プロの言わんとする事が解った様な気がする。
第5回のMoトーナメントが開催されたとして、出場するかどうかは、その時になってみないと分からない。
ただ、最後にひとつだけ。3回の予選を通して、トーナメントに不慣れな僕に、毎回毎回 勝ち上がり条件を計算して教えてくれた渡辺史哉プロに、心から感謝の意を表したい。
(了)
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