埼玉県出身Mリーガーの増加
応援する理由
プロスポーツ選手や、プロスポーツチームを、応援する理由として、自分の出身地との関連性があることは、個人差はあるとしても、大なり小なり影響はあると思う。
相撲取りが、その代表例の一つに該当する。僕が子供の頃は、郷土力士である群馬県出身の相撲取りを、大人たちが応援する姿を見て、自然とそれに倣った。栃赤城、琴稲妻、琴錦が昔の有名どころである。
最も顕著なのが、プロ野球であろう。大阪を中心とする関西では、阪神タイガースの、名古屋周辺では中日ドラゴンズの熱狂的なファンが多い。
群馬県にはプロ野球チームが無いので、僕は自然の流れで東京読売ジャイアンツのファンになったが、大学に入った頃からアンチ巨人に転じた。理由は僕のヒネクレ者気質が、この頃から発現し始めたからである。
プロスポーツチームとしては、最近ではBリーグの「群馬クレインサンダーズ」を応援している。隣の太田市にある「オープンハウス アリーナ 太田」でのホームの試合は、何度か足を運んでいる。推しの選手のレプリカユニフォームや、チームのグッズも購入した。まだ、俄かファン状態ではあるが、サンダーズには、今年こそプレーオフに進出して欲しいものだ。
群馬県出身のMリーガーがいなくなった
というわけで、Mリーガーの中では、個人選手としては沢崎 誠プロ(元KADOKAWAサクラナイツ)を応援していた。理由は言うまでもない。沢崎プロが、群馬県安中市の出身だからである。
のみならず、沢崎プロは打ち手としても素晴らしかった。60歳代半ば(サクラナイツ在籍時)という年齢にも関わらず、打牌選択や押しの強さ、引きの的確さは秀逸で、強者の麻雀をMリーグという舞台においても、如何なく発揮していた。沢崎プロの麻雀は、観ていて非常に勉強になった。
2021-2022シーズンを以って、沢崎プロが病によりサクラナイツの退団を余儀なくされたのは、僕にとっても、沢崎ファンにとっても、返す返すも残念な出来事であった。
都道府県別Mリーガー
そろそろ本題に入る。
以下がMリーガー及び元Mリーガーの出身地の一覧である。
中田プロだけが、出身の市町村を非公開としているが、人気アイドルグループの元メンバーであったということを勘案すれば、仕方のないことだろう。
藤崎プロと寿人プロが同じ高校の先輩・後輩であることは有名なので、藤崎プロも宮城県出身と思いきや、意外にも秋田県出身であった。
上記の表を出身都道府県別に纏めると、以下の表になる。
東京出身のMリーガーが多いのは、人口の多さや麻雀環境を考えると、ある程度予想はついた。ただ、大介さんを東京でカウントすべきか、神奈川でカウントすべきかは、ウヒョ助先生のマンガが頭に残っていたので、一瞬だけ迷った(笑)。
上記の表を見ると、偏りがあることが解る。47都道府県のうち、実に29府県でMリーガーが生まれてないのだ。
一方、埼玉県出身のMリーガーは5人いて、一見順当な数字に見えるが、実はそうではない。菅原千瑛プロ、中田花奈プロ、浅見真紀プロ、渡辺太プロは、2023-2024シーズンから、浅井堂岐プロは、2024−2025シーズンからMリーガーの選手になった。つまりは、2年前までは埼玉県出身のMリーガーは、ゼロだったのである。
埼玉県出身のМリーガーが増えた理由
何故(なにゆえ)に、この2年間で埼玉県出身のMリーガーが増えたのか、その理由を考えてみた。
まずは、都道府県別の人口ベスト10をご覧いただきたい。
人口が多いにも関わらず、Mリーガーを1人も輩出していない府県が2つある。大阪府と福岡県である。ひとつだけ言えることは、現役、元を合わせてМリーガーの人数は僅か47名しかいないということである。サンプル数が少なすぎて、統計的に適正な数値を導き出せないのではないかという疑念が、まず初めにある。ただ、人口の多い10都道府県のうち、8都道県からMリーガーが出ていることに着眼すれば、少ないサンプルの中でも、確率への信頼性はそこまで低くない。
次に下記の表をご覧いただきたい。人口100万人当たりで、最もMリーガー(元含む)が多いのは、意外にも秋田県である。ではこの数字を以って、秋田県民はMリーガーになる確率が高いと考える方は、まずいないだろう。秋田県の人口と、Mリーグが発足してからの7年間の秋田出身Mリーガーの選出数、この2つの偶然の重なりにより、秋田県がこの数値分析において、たまたま最上位になったと考えるのが妥当である。
このMリーガーの地域分布は、麻雀における「ツキ」に似ている。
麻雀における「ツキ」とは、運や偶然性が有利に働く状態や状況を指す。具体的には、プレイヤーがゲーム中に良い巡り合わせや偶然を多く得て、結果的に有利な展開になることを指している。そして、ツキは理論や技術では説明しきれない部分が多い。麻雀対局をする上で、最も悩ましい存在である。
長いスパンで考えると、一方的に「ツいている」状態を維持することは困難である。必ずマイナス方向、すなわち「不ツキ」への揺り返しがある。為替や株が上がったり下がったりするのと同じ理屈だ。
「ツキ」の最大の特性は、偏りがあるということである。その偏りは、確率という絶対的なロジックを、一時的に無効にしている。ただし、最終的に、もしくは長期的に、フラットな状態に戻ることは、紛うことのない事実である。
参考までに、偏りと確率の関連性を述べる。これは片山まさゆき先生の「ノーマーク爆牌党」のワンシーンから引用している。
ルーレットで、5回連続で「赤」が出たという状況で、次に「赤」が出る確率は?と問われた鬼押出氏は、二分の一だと答える。ゼロ(緑)を除外して考えると、ルーレットは赤か黒しかないのだから、正答のように思える。しかし、鉄壁保は5回連続「赤」が出た後は「黒」が出る確率の方が高いと持論を述べて反論する。つまり、赤と黒が出る確率は、前提条件が無い場合は、確実に二分の一であるが、既に「赤」が出続けている状況下では、偏りへの揺り返しが発生し、「黒」の出現確率が「赤」のそれを上回るということである。
100万回ルーレットを回したら、間違いなく「赤」と「黒」は誤差の範囲内で、間違いなく半々となる。しかし、切り取られた特殊な局面では、その確率は当てにはならないのだ。
核心から話が遠ざかってしまったので、ここで唐突に結論を述べる。
埼玉県の人口を考えると、Mリーグ発足から、5年間も埼玉出身のMリーガーが存在しなかったこと自体が、確率的な観点で考えると不自然であった。そこで、前季から自然の摂理による確率是正が入った。そして、今現在5人の埼玉県出身Mリーガーが存在している。
この仮説の是非は、当記事を読んで下さっている皆様方に委ねようと思う。
いつになるか断言できないが、大阪府と福岡県出身のMリーガーが誕生するのは、時間の問題である。
(了)