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2020年私的ベストアルバム!

2020年12月末に選んだ6作品です。当時の興奮を思い出しながら書きます。今聴いても間違いないです。

音楽と密談 / 浦上想起

膨大な情報量を軽やかに聴かせてしまうアクロバティック・ポップス。精緻な設計の中にグニャリとねじ曲がった箇所がところどころあって、その溶けるような感覚がたまらない。騒がしいのに静か、楽しげなのに寂しい。音楽のイリュージョン性というかファンタジー性というかそういう作りものに乗っかる楽しさと切なさを同時に味わせてくれる。「とぼけた顔」は個人的に20年代ベストソングのひとつ。夕暮れの日比谷野音で聴きたい。

About An Album / Pinhas and Sons

このアルバムは衝撃だった。イスラエルのフュージョンバンドが見事なテクニックで複雑ながら歌心たっぷりの楽曲を演奏する、本物のミクスチャー音楽。お気に入りは5曲目。『Flood ⚡︎ 洪水』のハービー・ハンコック楽団が謎の進化をとげて歌ものに目覚めたかのようで、興奮を禁じ得なかった。
※正確には2018年リリース。こちらの記事がたいへん参考になりました。

Comfort Zone / Prophecy Playground

穏やかな室内楽に導かれたフォークサウンドをバックに、優しい歌曲が唄われるとても心地よいアルバム。新鮮な生野菜、焼きたてのパン、淹れたての紅茶…高原のホテルの朝食のようなすがすがしいサウンドで心が洗われる。4曲目ケヴィン・エアーズのカバーも素晴らしい。

Lucky For Voyage /  suppa micro panchop

朝、どこかの小さなお店か工房がその日の活動を始め出した音のような1曲目。ぶっきらぼうだが人懐こくもあるビートと電子音が、昔気質の職人のルーティンの作業音みたい。2曲目以降を聴いてもそんな感じで、つまりこのアルバムはいろんな職人さんの作業風景を音にしたような作品だと思った。こんな職人になりたい。

Untitled (Black Is) / SAULT

SAULTの最近のリリースラッシュには全く追いつけていないが、このころは熱心に聴いた。当時よく想起したのがズボンズ。ファンクの凶暴性と可愛さを兼ね備えているところに共通するものをみた。ズボンズといえばスタイルではなく概念としてのローリング・ストーンズをリメイク・リモデルしようとしていたが、SAULTにもそれを感じた。

through love / HYUKOH

この覇気のなさが最高にクール。確かにブラジル風も感じるが、なぜか連想するのはさらにねじれてCANだった。ささやきボーカルに無国籍バンドサウンド。実はよそ者ロックの正統後継者だったという見方である。4曲目はビートルズ「Come Together」オマージュでもあるか。

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