その、ほそくて短いストロ-は
「言葉ってストローみたいだなあ」
125mlのちいさなオレンジジュースを飲みながら、よながは思った。
よながの言葉は
この125mlのオレンジジュースに付属している
ほそくて短いストローのようだ。
ストローを通して流れる液体は
まるで、情報や人のきもちみたい。
プラスチックのストローも言葉も、
基本的に、使われるのは1回きりだし。
2回目はない。
一度 口から出た言葉は、
取り返しがつかないから。
言葉は情報を伝えるための手段。
そして道具。
……のようなものだ。
と、よながは思っている。
重要なのは、言葉ではない。
言葉を使って伝えようとしている
その中身。
けれど、伝えるための手段(道具)であるストローが
欠陥品だった場合はどうだろう。
重要な中身が、ちっとも伝わらない。
吸い上げてくれるひとがいるのに、終点までは届かない。
ほそくて短いこのストローは、
よながの口から放たれる言葉のようだ。
言葉を使うことが下手ぴな、よながの。
深すぎるカップだと、奥まで届かず溺れてしまう。
果肉入りなら吸いきれない。
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