その愛を以て
今世で幸せになってほしい人がいる。傷付くことは避けられないとしても、どうかその笑顔を無くさないで欲しいと思う人がいる。
これは身勝手な祈りだ。その人は神様でも仏様でもない、私と同じ人間だ。一方的に私が相手に幸せになって欲しいと望んでいるだけなのだ。
振り返ると、出会いは唐突だったと思う。機会がなければ触れることのなかった音楽と動画サイトで出会い、直近にあったライブにふと足を運んだ。学生時代に通っていた、潰れた回転寿司屋を改装して作ったライブハウスに少しだけ空気感が似ていたのを覚えている。EDMを知りたくて、お酒が飲めてタバコが吸えるからとクラブに通い始めた、あの時の気持ちを思い出した。
奥から照らすライト。それを背にして歌う姿。ステージから降りて、お客さんの顔を見ながら愉しげに歌っていたのを今でも覚えている。
「惹かれる」という言葉が似合う人。纏った雰囲気のまろやかさが不思議だった。歳はそんな変わらないのに、一体どんな半生を過ごせばそうなるのか。
彼の楽曲のひとつに「namida」という曲がある。彼の過去の話で、母親を題材にした曲だという。その中でも、私が特に響くバースだ。
私自身、地元を捨てて関東に来ている。私の現状を知っている同級生はほぼいないし、最早連絡すら取っていない。地元は私が私をたらしめることが出来なかった、そんな場所だった。
その環境を変えたくて、20歳の時に就職という名目で地元を飛び出した。それから8年の月日が流れ、私は今も関東で生きていて、有難いことに周りに恵まれて楽しく過ごすことが出来ている。
そのきっかけとして大きくあったのは、一つに彼の音楽と出会って、私の世界に彩りを与えてくれたからだと思う。こんな表現はあまり適切ではないかもしれないが、彼に出会ってなかったら今の私はないような気もする。
音楽で売れることより、音楽と生きること。音楽を愛すること。過去なんていくらでも美談に出来てしまうこの世の中で、自らと向き合ってありのままでいてくれること。ありのままでいいと言ってくれること。
彼の生き様が好きだ。自分の弱さも怖さも向き合った上で、ありのままでいてくれるその強さが好きだ。それがどれだけ難しいことかを知っているからこそ、より感銘を受けてしまう部分があるのかもしれない。
だからこそ冒頭のツイートにあるように、与えてもらった分、何があっても幸せになって欲しいと願わずにはいられない。これは祈りに近しいものなのだ。そこに私がいなくても、それでいい。ただ、純粋に彼が笑顔で過ごせる、穏やかな日々が訪れてくれるのであれば、それだけで私も幸せになる。たったそれだけのことなのに、どうしてこんなにも世の中は世知辛いのだろう。
あなたが1人じゃないこと。あなたが植えてくれた愛の種は、とても綺麗な花を咲かせ続けていることをどうか知っていてほしい。これに関しては、単なる私のわがままかもしれない。ただの一端のファンが、烏滸がましいことをしているのは重々承知だ。
だって、あなたが一番解ってる。
それでも私は私なりの愛を以て、あなたの生き様と音楽に敬意を払って、今日もあなたの音楽と共に生きて、笑って歩いていきたいと思う。
最後に 愛と敬意を込めて。
舟平さんは、私にとってヒーローであり最高に格好良いラッパーです。
あなたに出会えたことが、私の誇りです。本当にありがとうございます。
追伸 舟平さんのおかげで、目標が出来ました。それを達成した時、どんな景色が待っているのか、今からとても楽しみです。
※2023.8.16 加筆修正