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名探偵よんしかの新たなる期待

岡田優希選手、後半のあのチャンスは決めて欲しかった。
相手GKの吉丸選手を褒めるべき?
いいえ、吉丸選手は確かに素晴らしかったが、それでも決めて欲しかった。

なぜなら、彼は奈良クラブのエースだからだ。
今季の奈良クラブの躍進は彼の活躍抜きにはありえない。
それくらい、大きな存在だ。
当たっているGKも絶好調のディフェンダーも関係のない、誰も止められないような活躍を期待している。

こんな風に熱くなるくらい、熱くなるあまりに悪態をついてしまうくらい、奈良クラブは期待感あふれるスタートを切ったと思う。

新たなるシーズン。新たなる挑戦。

開幕戦となった福島戦は、新スローガン通りのチャレンジに満ちていた。


【新たなる戦い方】


チャレンジの最たるものはボランチの人選だろう。都並選手と山本選手。スタメン発表時にこの二人がボランチを務めると確信できた人はほとんどいないに違いない。僕もいろんな組み合わせを考えては首をかしげていた。
なぜこの二人だったのか。
それは新たなるビルドアップ構築というチャレンジのためだ。

特に、都並選手。
ボール奪取力に目がいきがちだが、彼のボランチとしての特筆すべき資質は、味方のパスを引き出すポジショニングのうまさだ。
福島戦でのビルドアップ。都並選手は四方を囲む相手選手の動きを常に把握し、フリーのポジションを確保していた。そんな都並選手へCBからのパスが何度も通った。
相手プレスはボールを持った都並選手の360度を意識しなければならなくなる。それをいつでも完ぺきにこなせるほど人間は器用にできていないから、当然プレスにズレが生じる。そして、そのズレをついたパスを都並選手から受けた選手には、次のプレイを選択するためのスペースと時間がより多く生まれる。
前半37分の得点シーンはまさにこの形から生まれた。川谷選手から岡田選手へのスルーパスの精度は、都並選手を経由したことで生まれた余裕の賜物だろう。最後はエースらしい個人戦術によるフィニッシュ。
ビューティフルゴール、新たなる挑戦の萌芽だった。

ボランチコンビのもう一方をつとめた山本選手。彼の強みは前の位置でボールキープできる技術力と、プレスのうまさだ。2失点の後、ハイプレスのかけ方を修正して以降は、若干の不慣れ感は否めないものの、安定したパフォーマンスを披露してくれていた。

【最高のチャレンジャー監督】


それにしても都並選手と山本選手のダブルボランチには驚かされた。堀内中島神垣森田、4選手が揃っているボランチ。チーム編成を見ながら「ボランチは充実しているなあ」と思っていたのに。
中田一三監督のチャレンジャースピリットは、僕らサポーターの想像よりはるか高みにある(たぶん)。本当にワクワクする開幕戦だった。

【試合のあちこちに新たなる挑戦】
たとえば、CBからのサイドチェンジ。
鈴木選手から逆サイドの岡田優希選手へ、奥田選手から逆サイドの吉村選手へ。これも、昨季までにはなかったビルドアップパターンだ。
もちろんハイラインハイプレスも。特に、前半の間にプレスのかけ方に変化を加えたのには驚かされた。まだまだいろいろなバリエーションへのチャレンジを用意しているに違いない。頼もしい。
都並選手の試合後インタビューでの「今季はセットプレーを強みの一つに」という言葉も期待感を高めさせてくれた。

岡田選手のコメントも欲しかったなあ。

【期待を確信へ】


試合中の選手たちが活発にコミュニケーションをとっていたのも印象的だ。「もっとできる」「もっとうまくやれる」という手応えや、期待感を選手たちも覚えているのだろう。
シーズンを通して結果を出すには、この手応えや期待感を、自信に、そして確信にしていかなければならない。「おれたちはできる」「俺たちは、強い」と。

その確信への道筋をつくるのは、エースの仕事だ。
岡田優希選手への期待は十津川村よりも大きく、彩華ラーメンのニンニクよりも強い。だって、無理かなと思ったらあんな反応速度でゴール決めるんだから。讃岐戦も期待しかない。

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