4歩目 * いいんだ、辞めても
それからの日々はしばらく変わらず、忙しなく過ぎた。
月1の講座も4回目で初めてリアル受講が出来たし、
それ以外でも動画や本で勉強するのが楽しかった。
けれど目指してるところの『占い師になる』という事に関しては
正直、霞をつかむようでなかなか進まない。
実際鑑定したり活動しないと駄目だとわかっていたけど
毎日をこなすのでいっぱいいっぱいだった。
そもそもぐうたらなわたしが、このままで何とも出来るはずもない。
けれど金銭的に考えても会社を辞めるのはもう少し先かな
と悠長に構えていた頃、それは起きた。
ある朝いつも通り始業より1時間遅い時間に出社すると
皆変わらず仕事をしているけれど、なんとなく雰囲気がおかしな感じがした。
『なんだろう』
違和感を持ちつつ、自分の机に向かうと上司から呼ばれた。
「〇〇さんと●●さんがコロナに罹った」
休み明けだったこともあって、幸い社内に濃厚接触者はほとんどいなかった。
2、3人自宅待機になって、その穴埋めで忙しくなったくらい。
あとは変わらず過ぎて行くんだろうと思っていた。
「明日から在宅でお願いします」
出社する人間を半分に減らせというお達しがあったらしい。
昨年も帰省後、県外に行ったからと
1週間在宅勤務にさせられていたから
初めてではないしまあ仕方ない、とすぐに承諾した。
「いつまでですか?」
「さあ、、、まだわからない」
一日中パソコンに向かう仕事だから、
在宅といっても変わりないようだけど
案件の内容の説明を聞くのに
いちいち担当者に電話しなきゃだし(自腹)
データのやりとりにはひと手間かかる。
そんな状態なので毎日23時くらいまで仕事が終わらない。
そうやってやることが倍増しているのに
仕事は案件の予想時間分しかやった事にしてもらえず
残業も禁止だといわれた。
どんなに遅くまで働いてもなかった事?
当然、不満はつのる。
見えないからってサボってると言う?
いやいやサボってこなせる量じゃないでしょう。
上司にかけあうか?
、、、、、
あー
ここらが潮時ということか。
そう思えた。
だっていずれ辞めようと思っているんだもの。
もう、いいんだ。辞めても。
そっか、いいんだよね。