「くじらのぷうぷう」 はらまさかず
くじらのぷうぷうは、お母さんとはなれ、ひとりで暮らしはじめました。とっても寂しくて、いつも友達を探しながら海を泳いでいます。でも、みんな、ぷうぷうを見るとにげていきます。ぷうぷうは子どもといっても、くじらですから、とっても大きいのです。ぷうぷうは、だんだん、海の深いところを泳ぐようになりました。
そんなある日、ぷうぷうはやっと、お友達を見つけました。それは、暗い海で青く光る小さな男の子でした。
「いっしょに遊ぼう」
ぷうぷうはいいました。
でも、男の子は何にも言いません。
「ねえ」
男の子はだまって、ぷうぷうを見つめるだけです。男の子は、プラスチックのおもちゃなのでした。
ぷうぷうには、男の子が、とっても悲しそうに見えました。それで、せっかくできた友達だけど、陸に返してやろうと思いました。ぷうぷうは、男の子をくわえると、陸に向かって泳いでいきました。
(絵・カワダミドリ)