「うさぎのメイ(5)」 はらまさかず

「『大福』が書けたら、『メイ』が書けるよ!」
じゃがいもが、いいました。
「ほんとか!」
「うん」
「よし!」
大福は、筆ペンを出しました。
そして、『大』の字を書きます、すると、
「ストップ!」
じゃがいもが、いいました。
「まだ、ぜんぶ書いてないぞ」
「いいから、次」
大福が、『福』の字の『ネ』を書こうとします。
すると、じゃがいもが、
「ストップ、はい、次の次から書いて、はいストップ。ほら」
といいました。
みんなの目の前には、
『メイ』と書かれた段ボールがありました。
大福はそれを見て、
ニャーーーーーーーーオ
と大きな声でなきました。
じゃがいもとメイも、
ニャーーーーーーーーオ
と、まねしてなきました。

みなさんもわかりましたか。
『大』の字のなかに『メ』、『福』の『ネ』のなかに『イ』の文字がかくれているんですよ。
「おれは『大福』って書けただけだと思ってた。だけど、知らぬ間に『メイ』っていう字も書けるようになってたんだ」
大福がおどろいていいました。
「うん。きっと、ほかにもいろいろ書けるよ」
と、じゃがいも。
「一つ覚えただけなのに、いくつもできるようになってる。勉強ってすごいなあ」
大福が、しみじみいいました。

『メイ』
自分の名前が書かれた段ボールを前にして、メイは不安と希望が入りまじった気持ちを感じていました。
「おれたちも協力するから、がんばれよ」
大福がいいました。
「メイちゃん、がんばってね」
じゃがいもがいいました。
「うん。ありがとう、ぼく、がんばる!」
メイがいいました。
(おしまい)

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