「夢の木」 はらまさかず
神社の境内に、みんなから「夢の木」と呼ばれている大きなクスノキがあります。
「お母さん、どうして夢の木っていうの?」
なっちゃんがききました。
「それはね、夢のなかにこのクスノキが出てきたら、会いたい人にあえるからだよ」
お母さんがそういって、やさしくほほえみました。
二人は手をつないで、神社の森を歩きました。いっぱい、おはなしをしました。そして、また、大きなクスノキのところへもどってきたところで、、、
「はっ」と、なっちゃんは目を覚ましました。
なっちゃんは、もう大人で、しかもお母さんなのでした。夢を見ていたのです。
「お母さん、若かったな」
なっちゃんは、ふふふとわらいました。