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「心配いらない」 はらまさかず

 うさぎが、そろそろ、ねようかとおもっていると、ころがるように、ハリネズミが入ってきました。
 「ねむれないときは、どうすればいい?」
 ハリネズミがうつむいたまま、いいました。
 
 うさぎは、そっと、ハリネズミにお水をだしました。
 「わるいけど、ねるまえは、のまないんだ」
 ハリネズミがいいました。
 
 うさぎは、すこしかんがえました。
 「ねえ、ハリネズミ、そっと目をとじてごらん」
 ハリネズミは、そっと目をとじます。
 「それから、いきをゆっくりすって」
 ハリネズミは、ゆっくり、いきをすいました。
 「はいて」
 はきます。
 「すって」
 すいました。
 「ふわふわ、からだがかるくなるよ」
 
 ハリネズミは、ふわふわと、からだがかるくなるようにおもいました。
 まるでふうせんのように、うかんでいる気がします。とてもいいきもち。
 きもちよくて、ねむくなってきました。
 ハリネズミは、うとうとしてきました。そして、、、
 ねむってしまったのです。

 すると、たいへんなことがおこりました。
 「あっ」
と、うさぎがおもったときには、ハリネズミは、ほんとうにふうせんのようにふくらんで、ふわふわとうかんでいました。
 ふわふわただよい、ドアからそとへ。
 「たいへんだ!」
 うさぎは、おいかけていきました。
 
 夜の森は、しずかに、月にてらされています。
 ハリネズミは、ふわふわうかんで、とんでいきます。
 うさぎはおいかけて、つかまえようとしますが、もうすこしのところで、できません。
 やがて、ハリネズミは高くとんで、そのまま、木のえだに、ひっかかってしまったのです。
 
 いつ、ハリネズミの空気がぬけて、おっこちてしまうかわかりません。
 あんなに高いところから、ねたままおちたらたいへんです。
 うさぎは心配で、ずっと木の下で、ハリネズミをみはることにしました。

 うさぎは、ふわふわうかび、気持ちよさそうにねているハリネズミをみながら、よかったなあとおもいました。
 うさぎは、いつでもねれるので、ひるまにねればいいとおもいました。
 月とハリネズミをみながら、うさぎはたのしくなりました。

 でも、心配はいりませんでした。
 ハリネズミは、少しずつ空気がぬけて、ゆっくりゆっくり地上におりてきました。
 そして、うさぎのとなりにおりてきたので、うさぎはいっしょにねむりました。
 

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