見出し画像

「ほどけないとき」 はらまさかず

 夜おそく、もぐらがうさぎの家をたずねてきました。
 もぐらは元気がありません。
 うさぎは、もぐらに温かいお茶をいれて、
 「どうしたの?」
と、ききました。
 「実はね、心のなかに、すごくもつれた結び目をみつけてね、
  ぜんぜんほどけないの」
 もぐらは、つらそうです。
 うさぎは、なんとかしなくてはと思いました。
 「じゃあ、」
と、うさぎは考えて、
 「はさみを想像してみて」
と、いいました。
 「うん」
 「そのはさみで、結び目ごと切っちゃって」
 チョッキン
と、もぐらには音がきこえました。
 「あ、なんだかすっきりした。
  うさぎ、ありがとう」

 もぐら、みんなに優しくしなくていいんだよ。
 でも…
 うさぎは、そんなもぐらのことが、大好きです。

151話「どこかにある結び目」の続きです。あわせてお読みください。


いいなと思ったら応援しよう!