「パグのじゃがいも」 はらまさかず
パグ犬のじゃがいもは、じゃがいもそっくりです。
まるで、じゃがいもが歩いているみたい。
じゃがいもは、おじいさんと二人ぐらしです。
じゃがいもは、物知りです。
たいていのニュースのことは知っています。
おじいさんが、毎日、新聞を読んで聞かせてくれるからです。
おじいさんは、じゃがいもにいろいろなことを教えてくれます。
このまえの夜、おじいさんと散歩をしている時に、じゃがいもは道に変な虫をみつけました。
のっそり、のっそり、動いています。
じゃがいもがさわろうとすると、
「だめだよ。その虫はね、これから、セミになるんだよ。今さわると、うまくセミになれないかもしれないからね。」
と、おじいさんがいいました。
じゃがいもは、おじいさんとしばらく、セミの幼虫を見ていました。
幼虫は、いっしょうけんめい歩いて、壁によじのぼっていきました。
じゃがいもは、家に帰ってからも、幼虫のことが気になってしかたありませんでした。幼虫はちゃんと、セミになれただろうか。
じゃがいもは、これまでセミのことがきらいでした。セミは、道でひっくりかえっていたかと思うと、急に鳴き出したりするからです。でも、その日から、セミのことがきらいではなくなりました。
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