「くものアンダーソン（４）」　はらまさかず

くものアンダーソンは急いで部屋に入り、
「スマホはテーブルの上です！」
と、さけびました。
「オッケー」
メイはテーブルの上にさっと飛び乗り、鼻先を使って、大福にスマホをパスしました。
大福は、日ごろ筆ペンを持ってきたえている肉球で、しっかりとスマホをキャッチ。そのまま、巨体をゆらして、かりんさんのベッドにジャンプ。
「うわあ、あ、あ、あ、ありがとう」
見事、かりんさんにスマホをわたしました。
かりんさんは、早速、119番。
「あ、もしもし、救急車をお願いします。はい、ドアは開いています」
アンダーソンは、かりんさんの枕元にそっといきました。
「あんたがつれてきてくれたの？」
アンダーソンは、こくりとうなずきます。
「ありがとう」
かりんさんは、アンダーソンの小さな頭を指の先で何度もなでました。

幸せそうなアンダーソン。
その様子を見ながら、ベッドの下で、大福とメイはにっこり笑いました。
（おしまい）