「見る」 はらまさかず

 うさぎがもぐらの家にあそびにいくと、そこにはちょうど、もぐらのお母さんがいました。
 ふたりはずっと、おたがいの顔を優しくさわっています。
 うさぎはそっと、外で待ちました。
 そして、もぐらはああやって、お母さんを見ているのだと思いました。
 もぐらのお母さんが帰ってから、うさぎは今来たように、もぐらの家に入りました。
 「やあ」
 うさぎはいいました。
 「やあ」
 もぐらは、そういって、
 「あれっ、なんか今日は声が元気だね」
といいました。
 「なんか今日は、きみを見ているだけでしあわせなんだ」
 うさぎがいいました。

いいなと思ったら応援しよう!