「うさぎのメイ(1)」 はらまさかず
うさぎのメイは、マンションで、おねえさんと二人で暮らしています。
メイはとても器用なうさぎで、鼻の先でなんでもできます。また、驚くほど高くジャンプすることができます。
メイは朝、おねえさんがエアコンを消して会社へ行くと、鼻先でケージのカギをあけて外へ出ます。そして、ジャンプしてリモコンのボタンを押すのです。おねえさんが帰ってくる前に、メイはエアコンを消し、ケージに戻ります。
ある日、メイは家出をすることにしました。
おねえさんがスマホで、
「うちのマンション、ペット禁止だけど、こっそり、うさぎ飼ってるんだ」
と、言っているのを、聞いてしまったからです。
まさか、自分がこっそり飼われていたなんて。
次の日、おねえさんが会社に行った後、メイはケージを抜け出しました。
別れのしるしに、太いヒゲを一本、テーブルにおきました。
そして、一日分のペレットを小さなふろしきに包むと、ジャンプして鼻先でドアのカギをあけ、初めて一人で外の世界へと出て行ったのです。