「どうぶつたちのひそひそ話」 はらまさかず

マンションのかべに段ボールをたてかけただけの小屋のなかから、小さな声がきこえてきます。
なかにいるのは、うさぎのメイ、パグ犬のじゃがいも、ねこの大福です。どうぶつたちは体をくっつけ、せまい小屋のなかにぎゅうぎゅうに入っています。
「あのね、おじいさんに聞いたんだけどね」
じゃがいもがいいました。
メイも大福も、じっと耳をかたむけます。
「マスクをした女の人が、
『わたし、きれい?』って聞いてくるんだって」
大福がごくりと、つばをのみこみました。
どうぶつたちは、ここでいったい何をしているのでしょう。
実は、怪談話をしているのです。
夜、こわい話を持ち寄って、こうして集まっては、くらい小屋のなかで怪談会を開いているのです。
このなかで一番、怪談話がうまいのは、じゃがいも。
字が読めるのと、おじいさんから毎日、いろいろな話を聞かされているので、話をするのがうまいのです。
「その女の人がマスクをとったらね。口が耳までさけていて、、、」
メイは手で耳をおおい、大福は目をつぶりました。

今日も、どうぶつたちは段ボール小屋のなかで、ひそひそ話を楽しんでいます。

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