「たのしい未来」 はらまさかず
その夜、結子(ゆうこ)さんは、なんとなく、これから先の自分の未来が分かるような気がしました。それもなんとなく、かなしい未来があるような気がして、このままではダメだと思ったわけです。
何か違うことをしよう。
いつもならしないことをしよう。
それで、明け方、雨の中、外に出たわけです。
いつもなら行かない道へ行こうと歩いているうち、知らない街に。
ふと見ると、一軒の店に明かりがともっていました。
いつもならしないこと。
結子さんは中に入ったのです。
そこには、本が置いてありました。
一冊だけ。
その一冊の本を、結子さんは、中も見ずに買ったのです。
結子さんは家に帰ると、本を開きました。
その本は、手書きの文字で書かれていました。
お話のようです。
タイトルは「雨くらげ」。
結子さんは、そのお話を読んだ後、なんとなく、これから先の自分の未来が分かるような気がしました。
なんとなく、たのしい未来が、あるような気がしました。