「沼水さん」 はらまさかず
ぼくは、沼水さんと友達になりました。
彼の研究室は丘の上にあって、そこからの眺めはとてもすばらしいです。
研究室、といっても普通の家ですが、家の中ではいろいろなクラゲが空中をゆらゆらとただよっています。
人懐っこいクラゲもいます。
ただ、どのクラゲも透明なので、よーく見ないと、いるのかいないのか分かりません。
「どうしてクラゲの研究をしているの?」
ぼくが聞くと、彼は、
「見ていると、心がゆったりするんです。みんなも、そんな気持ちになるかなあと思って」
と言いました。
ぼくらはテラスに座り、夕空をただようクラゲを、ゆったりとながめました。