「ほしいもづくり」 はらまさかず

「お父さん、おばあちゃんのおいも作ろうよ」
もっちゃんがいいます。
「よしよし、作ろう」
お部屋のなかで、ストーブがいつもついているようになると、もっちゃんは、おばあちゃんのおいもを食べたくなります。それは、おばあちゃんが買ってくれた大きな蒸し器をつかって、さつまいもをふかしたものです。
お父さんといっしょに、おいもをよく洗います。
「あっ、むらさき色の水だ」
白い服につくと、むらさき色のしみになりますからね。
次に、ストーブの上の蒸し器に入れます。
しばらく待っていると、
少しずつ、少しずつ、あまい匂いがしてきます。
「まだ?」
「まだ」
「まだ?」
「まだ」
そうして、ようやく、できあがり。
でもね、蒸したおいもを、お日さまの光にあてると、もっともっとおいしくなるのです。
「待ち遠しいねえ」
もっちゃんがいいます。
「待ち遠しいねえ。でも、それも、たのしい時間だね」
お父さんがそういって、ゴクリとのどをならしました。
お昼中、ずっとお日さまにあてて、それから、ちょっとだけ味見。
「あ、まーい」
もっちゃんは、ほっぺが落ちないように、下から支えます。
「お母さんなんていうかなあ」
と、もっちゃん。
「たのしみだね」
そうそう、それも、たのしい時間。

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