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ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム

 さらりとネタばらしありです。

 単純に凄いゲームです。面白いか、というのは個人の感覚によりますし、私自身もそこまで徹底して持ち上げる気はないんですが、作りのすごさ、真似できなさは最高峰といっていいでしょう。
 オープンワールドで空が飛べる。オープンワールドで屋根の上に移動できる。これがいかにやばいのか。飛ばれたり屋根に回り込まれたりしてもゲームとして破綻させない、というのはなかなかすごいことだ。
 オープンワールドでアイテムを組み合わせて動力が作れる。簡単には持ち出せなさそうなパーツもスクラビルド→分解という抜け道がある。

 もともとゼルダの伝説シリーズというのはパズルよりのゲームで、「こうやってクリアしてほしい」という方法を探すタイプのゲームだった。ひとつの正解を見つけ出す。そういうゲームはそれはそれで面白いが、ティアーズオブキングダムはちょいと違う。従来のゼルダやゲームでは抜け道は基本つぶされる。しかしティアーズオブキングダムでは「抜け道はそれはそれでよし」という考え方だ。落ちてきたものをモドレコで戻せばエレベータだし、壁をよじよじ登ってあちこちでトーレルーフして抜け道を探してもよい。

 このへん、前作のブレスオブザワイルドはここまで徹底していなかった。パラセールでの滑空、どこでもできる壁登りはそれだけでも十分オープンワールドではチャレンジングだが、謎解きはわりと一つの解法を探すタイプのままの傾向があった。

 で、ティアーズオブキングダムの恐ろしいところは、そうやって用意した遊び道具を放棄してすら面白い。別に飛行機を作る気がなければ作らなくても良いし、作者の想定解を追い求めるならそれもまたよし、という考え方だ。
 普通のゲームは作ったパーツでできるだけ余さず遊んでもらおうとする。ウルトラハンドで工作ができるなら工作をしないとクリアできないようにするし、スクラビルドで武器などの合成ができるなら合成しないといけないようにする。トーレルーフで壁抜けができるのは、あ、これはちょっと必須かも。モドレコで時を戻せるのははまると馬鹿みたいに強いが、無理に戻さなくても良い。
 で、ティアーズオブキングダムは基本的に「君たちは用意したこれらでどう遊んでも良い」という方針で作られている。せっかく用意されたウルトラハンドも、スクラビルドもろくに使わなくても構わない。それでもクリアできるし、十分に面白い。
 パズルパズルしたステージであるところの祠ですら、抜け道はなにかしらある。的に球をあててね、というステージは別に爆弾矢でどかん、とやっつけても良い、とか。
 っていうか普通だったらウルトラハンドだけでそれをメインとしたゲームになる。ところがそうなっていない。あくまでウルトラハンドはティアーズオブキングダムの一要素でしかない。この贅沢さはなかなかない。

 豊富に用意されたマップギミックもそうだ。祠、洞窟、井戸、コログ。好きなだけ探索しても良いし、しなくても良い。まあこのへんはブレスオブザワイルドでも達成していた。

 言いたいこととしては以上になるけれど、もはやゲーム的にはおまけと言ってもいいメインシナリオもなかなか良かったです。最後ご都合主義的展開はあるけれどまあ仕方ない。本気でバッドエンドなら良かった、というわけでもないけれど。
 ゲーム的に皮肉がきいているのは、別にメインシナリオのアクションは必須ではなかった、というオチですね。弓はすべてを解決する。

 あと蛇足として、前作より序盤の誘導がうまく出来ていると思います。前作は割りと迷いやすかったり、とりあえずどこに行っていいか分からなくなるタイミングがあり、それは私はちょいと苦手でありました。というか一度投げて今遊んでいます。
 今作では割りと導線が素直で、最初のエリアも詰まることはなかったし、最初のエリアから出てからも「どこに行くか」はわりと方針を立てやすかったです。「どこに行くかは選択肢があるが、どこに行っても楽しそうだ」という構造は進化していると言っていいでしょう。

 この記事を読んでいる人には今更ですが、体験する価値はあります。おすすめ。

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