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【完全最高版】映画「愛がなんだ」にみる残酷なわたしのテーゼ

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スイスイ
1985年生まれ。元メンヘラ現100%リア充のエッセイスト。
現在cakesで「メンヘラ・ハッピー・ホーム」連載中。

サクちゃん
1978年生まれ。クッキー店 SAC about cookies 経営。noteで『シングルマザーのクッキー屋の話』『夢組と叶え組の話』『月刊 自己肯定感』などを書く。娘のあーちんはほぼ日で連載のイラストレーター。
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スイ:スイスイサクサク!

サク:よむラジオー!!

スイ:久しぶり!嬉しい!

スイ:最近あまりしてなかったよむラジオなんだけど、もう、今回は、やらざるを得ない事態がおきたのですることになりました。それは何かと言うと映画「愛がなんだ」をみた、という事態ですよ。

わたしは昨日のお昼にみて、後半ずっと、noteの構成考えてたねw noteが書きたくなる映画ナンバーワン。

サク:わたしはこの映画を観終わったとき、スイスイに「すぐ観て!」と言いました。「スイスイの感想を聞きたい」という感想。

わたし自身は20代はほとんど恋愛してないのもあって、みんなが悲鳴をあげているような思い当たる節はないんだよね。あーわたしにないものがここにすべて詰まってるわと思った。

スイ:わたしは思い当たる節しか、ないです。

サク:節しか、ない。

※以下の文章には映画のネタバレを含みますのでご了承ください!


「チーム残酷」と「チーム馬鹿」

スイ:まずさ、この映画は「チーム残酷」と「チーム馬鹿」の話だったと思うんです。

チーム残酷とは。ふと気が向いた夜中とかに自分に好意がある相手を呼び出し、気が済んだら、帰ってと伝えるような。いわゆる「振りまわす側」であり「残酷」と捉えられがちなひとのチーム。

チーム馬鹿とは。そんなチーム残酷の人に好意をよせしたがい、都合のいい存在で居座りつづけるいわゆる「振り回される側」であり「馬鹿」と捉えられるひとのチーム。

サク:馬鹿ってまた…。

スイ:で、これでいうと、私は残酷側。マモちゃんは、別の相手の前では馬鹿側になったりもしてたけど、私の場合恋愛においてほとんどが、つねにチーム残酷側だった。この映画では、その、チーム残酷側の心情、苦悩、に思い当たる節がありすぎた。で、あの、実家に住んでる女友達が、わたしですかね?とおもいましたね。

サク:葉子ちゃんね。

スイ:そうそう!

でさ、ここで念のため、わたしの「チーム残酷」歴かくね。
たとえば……私のことを好きである相手にきまぐれに連絡をしたり、脈があるかのように匂わせ鎖をつなぎつづけたり、ひとまず迎えに来てもらったり送ってもらったりプレゼントをもらったり用が済んだら帰ってもらったり。

あと、私のことを好きである元彼に、あたらしい好きな人に贈るプレゼント運搬係やってもらったり、そしてそういう一連の行動、ひとりの相手だけで7.8年つづけたり。

そんな日々の中、その相手の友達に呼び出され、アイツを解放しろだの、ひどいだの最低だの、「残酷」だのと説教されたり。ということのオンパレードだった。葉子でしかない。

サク:ああもうぜったい友達にならないやつだわ…(白目)

スイ:でしょうねw


「ぜんぜんわかんないわ〜〜〜〜」なふたり

スイ:残酷側っていつも「心がない、サイコパスだ」的に決めつけられて、悪者じゃん。なんだけど、なんかそのチーム残酷側の生々しい苦しさも、この映画ではちゃんと描かれていて、それに胸を打たれた。

サク:ふむ…。

スイ:なんだろう、常に鬼畜みたいな。心がないからひどいことができるんだ!みたいな風に思われてるじゃん。

サク:まあ、支配はしてるよね。

スイ:でもさ、支配させてくれるくらいに従順で、全好意を向けてくる、ヤバい「チーム馬鹿」があらわれたら、やはりそれは麻薬みたいで、そこにハマっていってしまうのも、しかたないとおもうんですよ。その麻薬のせいで私たちは、自己嫌悪と、自己陶酔みたいなのの合間で常にゆれてる。

サク:わたしは、それぜんぜんわかんないんだよね。ちょっともたのしくない、支配。相手が自分のことを好きで自分はそう思えないとき、優越感みたいなものはわからなくもないけど、ぜんぜん楽しくない。相手に悪いなっていう良心じゃなくて、自分が楽しくないからしない。

スイ:ここ重要なんだけど、わたしも楽しくないよ全然。

サク:あ、そうなんだ???

スイ:たぶん幼少期かなんかにあいた、もっと「愛されたかった」なのか「寂しかった」のような心の穴を、埋めずにはいられないような感じになって、それでそこにチーム馬鹿の従順さをあてはめようとしてしまってるだけで。実際は楽しくもなんともないから、ずっと、虚しい、でもやめられない、みたいな。漠然とした地獄みたいな気持ちが続く。

サク:自分の好きな人を信用していいかどうか不安で試すような行動とはちがうんだよね?好きじゃない人を振り回してるってこと?

スイ:いや出だしは、好きで、試してるところからはじまるとおもう。マモちゃんも、好きだったと思う。

サク:そうだね、好きだと思う瞬間もあったかもね。

スイ:で、私この映画み終わった瞬間に、フラッシュバックみたいに蘇った、チーム馬鹿への感情は、「ごめんね」と「うっとうしい」がいつもあったな、ということだった。

サク:あ〜〜〜〜〜

スイ:好きだったけどずっと、相手の方が自分をすきで、だからずっと罪悪感があって、それでずっと、うっとうしいなと思ってた。失ったら結局、好きになってひきずるんだけど。

サク:え???いなくなったら引きずるのか。葉子ちゃんもそうだったわ。

スイ:そうです、わたしは葉子です。

サク:ぜんっぜん、ぜんぜんわかんないわ〜〜〜〜

スイ:「うっとうしいけど死ぬまでそこで待機しとけよ」って思ってたんだとおもう。報われなくても。

サク:わたしさ、まず昔からそうそう人を好きにならないんだけど、ひとりに対してそんなふうに好きが出たり消えたりしないんだよね。いなくなったら好きになるとかぜんぜんわかんない。

スイ:たぶん、地層みたいに、一番奥では基本好きなんだけど、いろんな感情が重なりすぎて、すきだということをないがしろにしてひどいことをしてしまったり、それをくりかえしてしまい、自分の好きを、埋もれさせてしまってるときがあるというか。。

支配したいという気持ちというより、、、、支配してほしそうな人が現れてしまったばっかりに、支配せざるをえない。葉子ちゃんが「あいつが最後自分できめたんじゃん」って叫んでたじゃん。まじで激しく同意。馬鹿側だって自分で決めてるじゃん。

サク:あーーー

スイぜんぶそれぞれの責任で、決めてることじゃん、支配されることも、振り回されることも、それ、選んでるじゃん。って。だから、チーム馬鹿本人が、こちらがわに直接怒りを抱いたりぶつけてくることって、ほぼない。今までない。だけどその周りの人たちが勝手に怒ってくる。

これね、知らない人がプロレスのリングに勝手にあがって、「なに攻撃してるの?!ひどいじゃん?!」って説教してくるみたいなかんじかも。

サク:あ、それはそうだわ。完全に成り立ってはいるよね。わたしはどちらの役割もできないし楽しくないからその競技に参加しないってだけで。

スイ:まじでそういう競技。本人たちは本当に、それがたのしくてやってる。うわべでは辛いかんじだけど、結局それってたのしいつらさというか。あ、結局たのしいのかw



突如開花した奇才


サク:さっきのさ、ナカハラが結局ぜんぶ自分で決めたっていう話なんだけど、乗っかるのも降りるのもナカハラ次第だっていうの。

映画観終わってからポスター見たら、マモちゃんがテルコをおんぶしてるんだよね。それ見て、テルコがマモちゃんの言いなりになってるはずが、あ、実はマモちゃんが背負ってるわ!て思ったんだよね。

マモちゃんがテルコを鎖で繋いだり引っ張り回したりはしてないし、テルコがマモちゃんの望みをぜんぶ背負っているように見えて、実はテルコがおんぶされてるんだわ…!って、衝撃だった。




スイ
:え、まって、おんぶってなんのメタファー?

サクおんぶって双方が協力しなきゃ成り立たなくない?力加減。しがみつくだけでもだめだし、着いてこさせようとするだけでもダメ。マモちゃんも葉子もおんぶしたまま自分の行きたい方向に進むことはできるけど、重いし、ナカハラみたいに乗る側の人が降りたらもうそこでおしまいなんだよね。

おんぶは、手を繋いでいっしょにすすんでるわけじゃない恋愛のかたちのメタファー??

スイ:すごい!ピーコ!!!!

サク:わたしは、手を繋いで並んで歩ける恋愛しかしたくないわけですよ。おんぶはイヤなんです。

スイ:え急に!!!!wそんなん、なにがたのしいの暇やん、暇。感情暇地獄。

サク:それ麻痺してるんだっておんぶ筋トレでw 疲れて終わりじゃん。

スイ:でもおんぶの、上側のひとはさ、ただ好きでい続けて、従順でありつづけて、ばかでいつづけるだけでいいんだからやっぱりたのしそうだよね。

サク:うん、テルコ、完全にたのしそうだったもんね。

スイ:で、葉子ちゃんは基本くるしそうだったよね。

サク:あれさ、テルコは相手のためじゃなくて自分のためだよね。葉子ちゃんは苦しそうだった。自分の好きな人とはうまくいかないでイライラしてる感もあったしね。

あの2組がちがうのがさ、マモちゃんとテルコは似た者同士で、ふたりとも「自分系」だし、葉子とナカハラはふたりとも「相手のため」みたいなのあったよね。

スイ:まじ映画評論家になれるよ。そうかも。葉子はどこかで犠牲心があった。

サク:そう、どこか被害者的な、相手の好きなようにさせてあげてるだけみたいな。

スイ:あー、マモちゃんみてもわりとなんともおもわなかったんだけど、葉子ちゃんのくだりだけものすごくヒリついたのはこのためかもしれない。私は意外と相手のため系だった説。

サク:マモちゃんは自分のためだけ。すみれさんも言ってた「自分系」の例え、「わたしがお腹すいたって言ったら”俺はすいてない”って言って、逆の場合は“腹減ったからなんか食おうぜ”ってずんずんお店に入ってく」ってやつ。マモちゃんはマジで自分系、テルコも実はそう。葉子ちゃんは餃子を用意して自分は食べない。

スイ:分析魔やんすごすぎる。かくれたメタファーの仕分け人直子。

サク:いま話しててわかってきたんだよ。

スイ:葉子ちゃん、いつも、根底では相手のことをおもってやってるのに、うまくいかない。

サク:葉子はナカハラがいなくなったあとも相手のことを思って、名前で検索して個展に会いに行ったけど、あれマモちゃんはしないよね。


3人の法則(こわい話)

サク:なんかさ、3人でしかとれないバランスみたいな描写多かったよね。
マモちゃん、テルコ、すみれさんもだし、テルコと葉子とお母さんとか、ナカハラとテルコと葉子ちゃんとか。

スイ:えええええ!観察眼!!!!

サク:どこもふたりきりだとうまくいかない感。

スイ:たしかにやん!!!!

サク:すみれさんもマモちゃんのこといらないなら会わなければいいのに3人で会い続けるし、でもふたりじゃダメなんだよね。葉子ちゃんとお母さんもふたりだとダメなやつだよね。

スイスイ:たしかにすぎる。

サク:スイスイはさ、その支配関係の恋愛の時、誰か第3者が必要だったりした?ふたりきりで成り立った??

スイ:もう、7.8年ふりまわしてたアメフト部の元彼のこと、ナカハラだとすると、こちらのナカハラは、いやややこしいわ。それをC君とするとC君をふりまわしてるときは、常に、他に好きな人がいたわ。

サク:それじゃん!!!

スイ:だから、3人だわ。。好きな人か彼氏が、ぜったいにいたわ。。それだわ、、

サク:わたしは人間関係常にマンツーマン主義だから、3人で成り立つ関係、無理すぎるんだよ…。

スイ:いやほんとだわ彼氏がいるときわたしぜったいに、ナカハラ的な人がいるわwwwwwww

今まできづいてなかった、ふつうの集合写真が、実は心霊写真だったみたいな衝撃!!!!えこわいはなし?!

サク:心霊扱いやめなさいwww

スイ:まじで彼氏がいるとき、ぜったいに、ナカハラ的なひとが、いる。こわ。

サク:こわいこわいこわい。

スイ:3人で成り立つ関係?というか3人でしか成り立たないくらいに、やっぱり、アンバランスなのか。

サク:彼氏が欠けてもナカハラが欠けてもダメな感じのバランスがあるね。そういう競技なのか…。



あれほどのナカハラ

スイ:ねえきいてくれ。そうだ。その、うちのナカハラがある日、突然、結婚するって海辺で報告してきたんだよね。

その日さ、はじめて、彼がさ、完全におんぶからおりてて、「これまでずーーーっと、いつも、ほんとに、全部スイスイのきまぐれで会ってたよね」ってすがすがしく笑ってて。彼が完全に、客観視して笑えてて。

サク:なにそれやだ泣ける。

スイ:それ以降、彼以外にナカハラをつくった。

サク:またつくるんかーい。

スイ:ちょうど○○(本人自粛)の時期で、その頃数人のナカハラをつくったwwww

サク:複数かーい。

スイ:いや、ナカハラオーディションみたいな。

サク:必須じゃん。ナカハラいないとダメなんじゃん!

スイ:そのとき一応ひとりが生き残って、ああ、でも、あれほどのナカハラはもういないとおもう。

サク:あれほどのナカハラwww たしかにその卒業の仕方はナカハラ界のトップだわ。ロールモデルだわ。

スイ:で、その最高峰ナカハラであるアメフト部の彼が、結婚した相手の子がさ、彼にずっと片思いしてた、彼が初めての彼氏、みたいな後輩の子で。その子に振られそうになって、うちのナカハラ、結婚を決意したんだよ。まじ、マトリョーシカじゃない?いろんなとこで「愛がなんだ」起きすぎwwww

サク:おんぶの連鎖じゃん…。その彼、大事なものがわかる男でよかったね。

スイ:いやわたしも大事にしろやwww

サク:大事にされたければ大事にしろやwww

スイ:いや最初の話きいとった?!?!わたしはわたしなりに大事にしていた風だわ!!!!w

でさ、そのふたり、そこではじめて対等になれたみたいで、すごく幸せそうだった。すべてのおんぶから解放された上で、一緒に生きていくことを決めたうちのナカハラ。

サク:完全に地に足ついて歩き出した瞬間だね 祝。

スイ:いいナカハラでした。

サク:ロールモデルでいうとさ、葉子ちゃん界のトップとしてはさ、ナカハラなしで生きていけるようになったのはどうして??

スイ:なくないわw ぜんぜん、いるね。

サク:えっ??今も、ナカハラが??こわいはなし??

スイ:いや厳密にはちがう。あれほど完成されたナカハラはいない。だけど分散させて、何人かでひとりぶんのナカハラをつくろうとしているというか、たとえば連載始めて読者という存在がいるようになってから、まじで解き放たれたところもあるかも。

サク:えっ、こわい話からいい話に??

スイ:さいごにいたのは結婚直前、いや結婚直後、、、

サク:やめなさいwww

スイ:あと、息子たちが実は、絶対的にこちらを好きすぎる存在という点で、ミニナカハラ的ではある。

サク:あ、それ絶対あるわ。リアルおんぶ…!


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スイ:いやなんか今回、大発見だらけだわ。ありがとう。読者の皆さん、わたしたちにラジオしてほしいテーマなど、募集してます。コメントでまってるねー!

サク:ひとりで考えてnote書いてもでてこないやつ出てきたよね。たのしかったー。またねー!



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