「北のホワイトストリート」の感想(時間表示付き)

皆様こんつくに。彼方の泉より以下略、夜泉國一茶です。
空気が冷え、埃が降りた夜空にぽつぽつと星を見ることが出来るようになった昨今、私はいまかいまかと待ち焦がれているものがあります。

雪です。そう、雪。沖縄県出身のわたしにとってはあまりにも馴染みがなく、とんでもなく珍しい雪。夜空を飾る星空とはまた別のイルミネーション、見上げればゆっくりと落ちてくる雨粒のようにも見え、それはまるで周囲の時間が遅くなったかと錯覚するほど。

――というように、雪に関して人一倍の思い入れがある私ですが(それこそ雪だるまを作っては友達にDMで報告するくらいに)、今年度はそれに拍車を大きくかける出来事がありまして。

そう、それが「星のカービィディスカバリー」の発売、そして「北のホワイトストリート」という曲との出会い。



先ず、「北のホワイトストリート」とはなんぞや。大々的にタイトルにまで冠しちゃってと思う方のために簡単に説明しておくと、先述した「星のカービィディスカバリー」というゲーム内で流れるステージBGMなのですが。

とりあえずこちらの動画をすこし見てもらいたい。時間指定部分から数十秒でいいので。ワンループでいいので。

まぁもう見てわかる通り泣いてるんですが。
いやこれは仕方ないと思うんですよね。なんてったって曲が良すぎる。
そんでもってコレを配信していたのは梅雨の入。まったくもってシーズンでもないくせにこの入れ込みよう。
となればこの12月、今聴いたらどうなっちゃうの~?というのが、事の始まり。つい2週間ほど前。



えぇ、もうね。

情緒が粉々に破壊されましたよ。


ということで今回は私がどのように情緒を破壊されたのか、それらをすべて事細やかに書き綴ってみんなも破壊されてくれっていうそういう記事を書いていこうと思います。時刻は既に3時半を回ろうとしておりますが思いは止められないのでよろしくお願いします。

ということで長い前置きは終了です。


ここからは曲開始から秒数を表示しながら記載していきます。是非サウンドテスト等で聞きながら読んでもらえたら。
極力専門的なワードは控えつつ、ゲーム本編の世界観や設定等は拾わない形でイメージを出していきます。もともと曲だけのイメージで考えていたので本編考察はまた別枠です。

*00:00~00:08 イントロ~メロディ入り前まで
まずここ。イントロから既に雰囲気◎。氷を思わせるような淡いピアノの音と、平坦に流れていくベースラインが美しい。若干音質の劣化したようなドラムのサウンドも相まって「おっここからどう展開するんだ?」という期待を掻き立ててくれます。
この時点で薄暗い夕暮れの沈みかけ。朽ちた西洋の街が思い浮かぶ。そこに一人「彼」がいるようなそんな感覚。
そもそもゲーム前提としなくても廃された街を浮かべることが出来るこの曲の恐ろしさよ。

*00:09~00:24 メロディ1フレーズ目
そして初手のフレーズね!まずはコーラスを重ねたビブラフォンみたいなサウンドがメロディを奏でる。いや素晴らしいね!ビブラフォンの余韻をコーラスが引き継いでいくのが冬の空気の冷たさを奏でているように錯覚してしまう。
そこからメインメロディはフルートへバトンをつなぎ、伸びのある音が同じメロディだけれども今度は刺すような冷たい風が頬を撫でる、そんな印象を与えてくれる。
だんだんと沈んでいく夕日、街の輪郭さえぼやけていく中、心細さを感じながら中央へと望む。彼は何のために底へ向かうのか、まだわからない。
そしてここまで、最後の展開以外はベースラインは常に一定を走っている。営みは消え、降り積もった雪だけが彼を出迎える。そんな停滞を表すかのような残酷なまでの無表情が鳴り響く。悲しい。

*00:24~00:41 メロディ1フレーズ目の繰り返し、展開
再び同じフレーズが繰り返される、が個々で選ばれた音色が「クリーンのエレキギター」というオシャレさに打ちのめされる。なんだそれは。なんだその切ないサウンドは。怒るぞ。
他の楽器や音を重ねるわけではなくここはガラっと印象を変える。同じメロディのはずなのにその底抜けに懐かしさを感じるサウンドは、一気に体感を過去へ送り届ける。雪に覆われたレンガを指でなぞれば、人の営みの痕跡があらわになるような、それを道すがら明らかにして、彼は歩みを進めていく。より暗く、光のない道を進んでいく。
それと連動するかのように、ベースラインは少しずつ動き始める。過去を思い起こし、少しずつ街が息づく錯覚をするように。

*00:42~00:53 2つ目のメロディ(多分Bメロかなにか)
ここ分割しようか迷ったけど、感想として地続きなのでまとめちゃいます。
音色は変われど、最初のメロディと同じ印象を与えてくれる。ですが内容は全く違い、躍動しつつあるベースラインは、過去にあった街の賑やかさを、彼が思い浮かべながらゆっくりと暗い道を進んでいく。
そうして最後、一瞬だけ盛り上がる瞬間。彼は狭い道を抜け、一陣の風に見舞われる。地面の雪を巻き上げ――

*00:54~00:57 繰り返し前の展開
ここは分割するんだって思うかもしれないけど、ここはキモなので是非喋らせて欲しい。
一瞬遮られる視界。明ける視界の先に広がるのは――というタイミング、巻き上がる雪に照り返す月明かりに垣間見る過去の幻影、温かい人達がそこに居たかと思える刹那を3回重なるピチカート、グロッケン、フルートのユニゾン(重なり)とクリーンなエレキが奏でている。んじゃないかなぁ(個人の感想です)
そこで彼ははっと顔をあげる。そこに広がる景色は――みたいなところで次。

*00:58~01:09 繰り返し後。展開前まで
広がる景色は大広間。噴水が中央にあり、円形の道とベンチだったもの、そしてそれを取り囲むような建物が並ぶ。
先程感じた原風景(使い方はあっているのだろうか)は空想でもなんでもなく、実際にあったものだと裏付けられた。そんな感じ。
そこで気がついたのは、私がこの曲を聴いている中でクリーンギターは懐かしさの象徴であることに気がついた。刷り込まれた印象がしっかり根付いている。素晴らしい。
音の数が少し増え、肌寒さがより際立ったイメージを感じる。風は通路から吹き込み、雪を宙に巻き上げキラキラと月光を照り返す。

*01:10~01:25 最後のフレーズを繰り返し繰り返し折り重ねていく。
3音の簡単なフレーズを丁寧に丁寧に重ねていく。さらに発展したサブのメロディラインが走ったり、低音が優しく主張を強めたり、ドンドンと音楽の展開を分厚くしていく。
音が重なり合うミルフィーユ。巻き上がった雪は彼を取り囲み、踊るように散りゆく。段々と突き刺す冷たさは強くなり、最後。はっと息を吸うような。

*01:26~01:27 サビ前の落ち着き。
この1秒がありえないほど大事。初めて聴いたとき、私はここで本当に息を呑んだほどに感動してしまった。ここで置くんだ。そのまま盛り上がりきらないんだって。
あたりを囲んでいた雪の粒は地面に落ちている。漆黒と淡い月明かりが街を照らす中、彼はふと空を見上げる。口から一呼吸すると、闇へ白んだ息が消えていく。

*01:28~02:00 サビの大盛りあがり
見上げた空からはちらりちらりと雪が舞い落ちる。地面から巻き上げたものではなく、夜空から産み落とされた結晶が、周りの時間すら狂わせて降り注ぐ。
風や抵抗を受けて不規則に揺れ動くそれに翻弄されていると、刹那に見た「暖かな街の営み」が、月明かりと雪に照らされてはっきりと広がる。朽ち果てたはずの街頭は輝き、人の会話であたりは賑やかに変わっていく。
重厚な弦楽器を主体としたメロディ、それを支える打楽器やサブメロディが折り重なる。ここでやっと「冬の街」の曲は初めて流れたのだと私は思った。これまでは「雪に廃された街並み」であり、「冬の街」ではなかった。
なぜならその音には暖かさや明るさが強く乗っかっていたからで、今までとはいい意味で全く違う曲だと思ったからだ。それこそこういう形でサビに入るとは思っていなかった。こういう形のループなんだなぁと思わされていたのもあるかもしれないけれど。
初めて曲に香りを感じたかもしれない。焼きたてのパン、暖かなシチュー、ろうそくや薪を燃やす、そんな人の営みを象徴するような香り。

*02:01~02:18 サビのおわり。〆へ
ここでまた顔をだすのはクリーンなエレキの音。つまりは今まで見たその景色も、やはり過去のものであり、今は痕跡を残すのみとなってしまったことを表している(勝手な解釈)のだが、彼はその景色を見て満足そうな表情をしている。そんな感じ。
明るかった街頭は、瞬きをすればひしゃげて落ち込んでいる。人々の痕跡は足跡すら残らず、少しずつ耳に届いていた喧騒は鳴りを潜めていく。それでも彼の心の中にはたしかにあの光景は息づいたままで、大事に噛み締めている。

*02:19~02:33 終わったかと思っただろう?あとワンフレーズあるぞ
いや終わるかと思うよね。思ったよ。いや~ここでループかぁいい曲だったなぁって構えてたら突如差し込まれたこのフレーズ。びっくりしたけど、「なるほどこれ以上の回答は無いな」って納得させられてしまった。
ただ寂しさと暖かさを残すだけでは終わらない。その相反する2つを手に入れた彼は何をしにどこへ向かうのか?次目指す場所はどこなのか、この街をいつしか通り抜ける彼の道を示すかのような、次々と高揚していくメロディ。そしてアウトローにもう一度重ねる。彼が何を思いその表情で先を見据えるのか、色々なことを考えてしまう。でも何かを求めて先へ進まなきゃいけない。過去にもう一度浸りたい気持ちをそっと落ち着けながら、確かな一歩を踏み出していく。よくわからないかもしれないけど私もよくわかっているわけではない。感じて欲しい。

*02:34~02:38 まだループはしないんだなぁこれが。アウトロー
そのまんまさくっとループする……しない!!!!!!しないんだ!!!!!!!
鐘のような音とともに、しっかりと見送る。そんなイメージを受けた。
確かにそうだった、この街(曲)は一度たりとも彼とそれを取り巻くものに対してあまりにも優しく、丁寧に接してくれていた。それならば、そりゃあ最後だって送りっぱなしにせず、彼が道を進む最後の瞬間まで見守ってくれるに決まっている。温かい街だったのだから。


以上です。ここでこの曲はループします。
この曲をもう一度改めて聴いたのは、先述した2週間ほど前だったのですが、もうその時からずっと雪が恋しくて仕方がない。
はやくちらりちらりと降る雪を、下から見上げながらこの曲を聞きたい。最近はずっとその欲求で心がいっぱいです。

ということで、「北のホワイトストリート」に対するクソデカ感情を書き綴ったわけですが……まぁとんでもない自分語りだとは思います。こんなこと考えながら曲聞くほうが少ないんじゃないかとも思いますし、普段からこういう事しているわけではありません。

ですが、今回は本当に刺さってしまった。今年の冬は特別。そう感じたことを、Vtuberとして色んな人に見てもらえるチャンスがあるのなら、少し私の感じた視点からこの曲を聴いてもらって欲しいと思ったのはあります。
なぜなら私がこう感じながら聴いて、最高の体験となったから。

もちろん人によって差があるかもしれない。
でも個人を伝えることを生きがいにしている私なのだから、せっかくなら赤裸々に見てもらおう。そう思ったのでしょう。

ということで、以上になります。1万文字くらい綴ろうかとも思ってたのですが、案外仕事の疲れが残っているので本日はこのへんで。また自分語りがしたくなったらここへ来ます。では。


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