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いち同人絵描きが買ってよかった本など

今時絵の描き方なんてYouTubeを見ればいくらでもイラストレーターの添削やら講座やら出て来るが、そんな偉大な先人達の技術の源流は?
その一つは数々の技法書でしょう。
特に私は美大に行かなかった独学者なので、タダで閲覧できるネットだけでなくお金を払って手に入れた本から得た物もかなり多い。

というわけで、しがない同人作家(と言えるほど最近本は出してない)が個人的にこれは買ってよかったなと思える本を紹介する。

これ書いてる人のざっくりスペック
 ・美大にも画塾にも美術部にも所属してなかった完全独学絵描き
 ・実力は中堅程度と思われる



・カラー&ライト~リアリズムのための色彩と光の描き方~

有名イラストレーターがこぞっておすすめしててどんなもんじゃいと買ったら確かに凄く良かった。
今まで「上手い人はよくこうしてる気がする…」と感覚で掴んでいた技術に名前が付いて「これかーーーー!!」と膝をへぇボタンにした。

油絵前提で話が進んでいるがデジタル作画にも役立つし、なんならグラフィックに関わる人みんな読んでみたらいいと思う。
モデリングでも動画でも写真でもデザインでも。
難点は値段も難易度も高い事。
私自身が実力をつけてから読んだからこそ感動したので、初心者には響かないかもしれない。名著である事は間違いない。


・モルフォ人体デッサンシリーズ

みんな大好き(私調べ)モルフォ人体デッサンシリーズ。
本書はデカいけどミニシリーズは小さくて持ち運びやすい。
パタンと水平に開くのも地味な推しポイント。抑えなくてもページが勝手に捲れない!

特に使いやすいのはこれ

ほどよくデフォルメされていて形が掴みやすい。初心者にもおすすめ出来ると思う(たぶん)
というかコミックイラストならこれで十分かもしれない。
文章は少なめで「考えるな!感じろ!」といった内容なので、論理の説明が欲しい人は次の本がおすすめ。


・ソッカの美術解剖学ノート

高ェ~!デケェ~!
絵の技法書というより「人体そのもの」を学習するための本、という印象。
進化の過程とか書いてる。画力向上だけを期待して読むと面食らうけど(食らった)、普通に読み物として楽しめる。医学生なんかにも読まれてるらしい。
原書が韓国語なので、翻訳の雰囲気とか独特のノリとか受け付けない人にはキツいかも。

情報量が多岐に渡り過ぎてるのでこの本の上手い使い方がイマイチ分からなかったけど、これをフムフムと読んで知識を付けから他の本を併用して応用するのが良さそう。
あとは「ここどうなってたっけ」と辞書的に使うとか。


・やさしい人物画

全然やさしくない事でおなじみ。タイトル詐欺乙
でもこれをちゃんとやると全然違う…と言いつつさわりしか出来てないのが私です。やります。ハイ。年末年始休でやろうかな。
自分でも描けそうな所を取っ掛かりにして描いてみればいいと思う。
骨人形の所とか、ここだけでもちゃんとやればだいたいのポーズは描けるようになります。


・なるほどデザイン

同人誌の表紙デザインをどうしたらいいか本当に分からなくて「一からデザインを勉強しなきゃ…」と縋り付いたのがこの本。
何事もそうだと思うが、デザインはある程度の水準までならセンスではなく理論で上げられる。
一枚絵の画面作りにも活かされてる実感があるので、本当に読んでよかった。「なんとなくダサい」がだいぶ無くなった。


・魅せる! 同人誌のデザイン講座

同人誌特化のデザイン本。フォントの使い方や配置など「それっぽい表紙」を付け焼刃で作るのに役立った。

そう、「付け焼刃」で作れるのがポイント。同人誌にはたいがい締切というものが存在するので、短時間でそれっぽくでっち上げる必要があったのだ。
本で紹介されている複数の「型」から抜粋し、気合いで装丁に落とし込んだ。結構好評だったので成功だったと思いたい。

それっぽい表紙とはなんぞ?

←日常ほのぼの風 工ロ漫画風→

例として、先日のnoteの見出しだったオムぬいの写真に「同じ文章量」で「全く違うテイストの表紙っぽいもの」をさくっと作ってみた。
推敲ナシなので粗だらけだが、こういうのを型で学べて作れる本です。


・SAVE THE CATの法則

同人作家の友達におすすめされて買った。
これは絵ではなく映画脚本の本だが、小説やシナリオライティングなど物語作りをしたい人全般におすすめ出来る。もちろん私のような漫画を描く人間も。
これも一言で言えば「型」の本だ。映画の王道ストーリーの型や、二時間半の作品の中での時間配分の型など。専門用語はほとんど使われていないので読みやすい。

この本を軸に初めて64ページの漫画本を作ったのだが凄く好評だった。(当社比)
絵よりも物語の主題や構成について感想を頂く事が多くて、描きたい物をちゃんと描けたんだなぁと大きな自信に繋がった思い出。


・その他さまざまな写真集、資料集など

なんぼでもある

人間結局は見た物しか描けないし見た物からしかインスピレーションを得られない。美しい物を手元に置いていつでも見られるようにしておく事は重要。
…という名目で興味の赴くままに資料を買い漁っている。
何に作用しているかは分からないが心は潤ってるので、良い。
実際、カクテルの本は少し前に酒瓶を死ぬほど描く機会があったので大いに役立った。



おまけ

・欲しいなと思ってる本

かっこいいポーズを描けるようになるぜ!という触れ込みが多い。
私もかっこいいポーズ描きたい!高い!高い!!


・なんやかんや一番使うツール

ひたすら人体のポーズを流してくれるクロッキー向けのサイト。
秒数指定が可能で、10~300秒間隔で素体を次々と流してくれる(デフォルト30秒)。主に一枚絵に取り掛かる前の筆慣らしとして10分ほど流したりする。

私の実力じゃたった30秒では棒人間が関の山なので60秒でやってる。どうせ消しゴムを使う余裕もないのでボールペンでオラァ!と一発書きだ。


結局は反復練習が大事だよ

絵の事になるとどうしても脳筋パワー型思考になってしまうのだが、結局これに尽きる。
いくら知識武装しても頭でっかちになるだけで経験は身に付かない。
でも思考停止で手を動かすより何かを掴もうと考えながら描いた方がずっと上達が早い。

知識とパワーの合わせ技が最強ということです。
みんなもお絵描きマッチョになろう!私もなりてぇ!


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