ALTER EGO 感想
ALTER EGOというアプリゲームをした。
公式サイト : http://alterego.caracolu.com/
■きっかけ
出てくるキャラクターの、エスという人物を描いた方の描く女性の絵が大変好きだから
■ネタバレあり、感想
プレイ時間は丸一日あったら3種類のエンディングがまわれると思います。(広告を大量に見ました)
基本的にストーリーを追う形式なので、ストーリーを早く進めたい人はポイントを溜める作業ゲーになります。(※プレイしていなくても毎秒のポイントがちゃんとふところにはいってくるのでゆっくり進めたい人はそうしたら良いと思う)
自分を見つめ直す・あなたを分析、ということで性格診断が時折出てくるがこれはエスの物語であって、性格診断は世界観に慣れるまでの最初の客引き要素的なもので、(結果精度の話ではなく、コンテンツ内の比重として。)
エスを(ストーリーを)通してはじめて自分を見つめ直すことができる。
そういうコンテンツなので、性格診断をメインとしてプレイした場合たいして満足感は得られないだろうとは思った次第です。
エスを触って罵倒してもらうというおまけ(本編???)があるけれど、プレイ時に精神が弱っていたので結構ダメージがきたので注意してください。
さて、登場するのは壁男と呼ばれる壁と、エスと、プレイヤーのみです。
壁男は「規範」を重視し エスは「衝動」に偏りがちな思想を持っています。
エスを正しく導くのがプレイヤーの役目ですが、私は思想に偏りがあるので規範エンド、衝動エンド、トゥルーエンドの順でクリアしました。
最初にクリアした際は、エスの質問に回答した結果エスの解釈が私の考えている事とずれていて、やきもきしてしまったこともありますがゲームなので仕方なし。
両者の思想がはっきりと区別されていることで、彼ら彼女らの思想の偏りが激しい!!!!!!!と馬鹿な私でもよくわかりよかったです。そして、他者の決めた何かに沿って考えることや、自分の欲求の赴くままに動くことは比較的容易で、しかしながら偏った思想を突き進んで得たエンディングはどちらも辛い結果になってしまう。
思想の偏りは誰もが持っていることだとは思うけれど、それを続けて「これが一番正しい」と思い続けると、違う思想を罰しがちでそれはよくないよね~ということがふんわりと内包されていて、うんうん、そうだねという気持ちになりながらすすめていました。
トゥルーエンドは、エスがどちらかの思想に偏ることなく考えて生きることを続けていくと決めたようなエンディングだったと思います。
ただ、そのエンディングに向かう途中、壁男は「その道、険しいよ!?頭疲れるよ!?大丈夫!?えらいけど!!!」みたいな感覚で接してきていて、とても違和感を覚えましたが、お前は規範を尊重し続けるタイプの奴ではなく、大変だから規範を守るようになったタイプのキャラクターだったんだね……お疲れ……と同情しました……。(エスの親のようなポジションだったのかもしれない。)
ストーリーを進めていく最中で人々の思想の偏りを感じたりして、自分はそういえば最近生き方やおのれの人生について考えられていないなあ、とか、そういうことに気付くことができた点で良いゲームです。
そして、このゲームの中ではいくつかの本が紹介されています。
個人的にはそれに出会えたことが一番の収穫でした。
引用された文章ひとつひとつは、本をちゃんと読み進まないとどういうニュアンスで言ったのかわからないのでそこまで信用はしていないのですが
「人間失格」「山月記」「変身」など結構すきな本が並んでいて、アルベール・カミュ(異邦人を読んだことがあり、好き)がそこに居たことにより、私はこれらの参考文献を読み漁ったらいいかもしれない………と真剣に思いました。
色々な本を買う癖があるのですが、何だかんだいってそういった書籍が一番思い入れが深く、好きなのだなあと感じているので。
そして、小学校の時ぶりに人間失格を読み直し、
人々の曖昧でまどろっこしい言い方が全然分からず、遠慮して進む選択が狭まったり、あるいは内と外とを分けて生活する人々を見てとんでもない気持ちになったりする、そういったひとつひとつの体験が昔と比にならないくらいに、痛みを感じ、生きることに絶望しています。
終
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