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光本勇介著『実験思考』

 ホリエモンがYouTubeで話していたので手に取った。
 写真を撮るだけで物を現金化するアプリ「CASH」や、誰でもネットショップが開ける「STORES.jp」など、先進的なウェブサービスを展開する光本勇介氏の書籍である。

 まず特筆すべきは本書の価格。なんと0円(※Kindleの場合)である。本の価値を読者が決め、末尾のQRコードから思い通りの金額を振り込むことができる「価格自由」システムになっているのだ。
 この前衛的な発想からもわかるように、著者はビジネスを壮大な実験と捉えている。仮説を立て、実験し、立証する。その過程が刺激的なのだという。その発想はなかった。

 本書のなかで興味深かったのは、ユヴァル・ノア・ハラリ著『ホモ・デウス』にも同じような表現があったが、著者はこれからは「思考停止の時代」になっていくという。ゾンビ的に自分の頭で考えなくなった人々を、いかに誘導していけるかがビジネスの肝になるのだ。恐ろしい発想だが、真実に違いないと思う。

 また、サービスの明暗を分けるのは、世界観、体験、表現だという。たとえば、前出のCASHというアプリは言ってしまえばただの「買取アプリ」である。しかし、これを「目の前のアイテムが瞬間的にキャッシュに変わるアプリ」と表現すると、たちまち新鮮味が増す。もちろんCASHが話題になった理由はこれだけではないが、同じく「形のない商品」を取り扱っている身としては参考にしていきたい。

 氏の発想すべてを真似るのは容易ではないが、もっと実験的に物事を見る目を養っていきたいと思う。

実験思考 世の中、すべては実験 (NewsPicks Book)

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