LGBT理解増進法成立までの経緯(萩生田光一・自民党政調会長)R5.5.20
【櫻LIVE】第552回 - 萩生田光一・自民党政調会長/石橋文登・政治ジャーナリスト、千葉工大特別教授 × 櫻井よしこ(プレビュー版)
上記動画のLGBT理解増進法成立までの経緯部分を、ねこZ3さんが抜き出して動画にして下さったものを、文字にしました(聞き直して一部修正などしました)。
※櫻LIVE公開日2023/05/20、LGBT理解増進法交付・施行日2023/6/23
櫻田「あの法案の正式名は性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案ということですが、これは萩生田さん、最初に政調会長としてですね、そんなに急いでこのG7に間に合わせて国会に提出する必要ないと、ちゃんと時間をかけてゆっくり審議すべきだということをおっしゃっていたと思うんですが、どうしてこんなにバタバタバタとですね、ものすごく批判を浴びる中であの法案にして」
萩生田「私はね、その提出をする必要はないとは言ってないんですね。要するにG7は関係ないと。G7に合わせて何かをやるっていうのは筋違いだということを党内で申し上げてきましたし、今でもそう思ってます。たまたまG7の前に提出まで行きましたけど、これは議論がしつくされて、残りの国会日程を考えて、現場の皆さんがそういう判断をしたということなので、別にエマニュエルに言われたからやったわけでもなければ、G7に間に合わせなきゃいけなくて我々党が慌てたわけではないです」
櫻田「いろんな方々から聞くことによると、部会での議論がですね、ちゃんと手続きを踏んでないと。なぜならば、賛成反対色々こう議論をする中で反対を唱えた人が18人もいて、賛成を唱えた人が11人いた。それなのに委員長一括で取られてしまったと。これはすごく、今までなかったことではないかという不満を聞けばですね、どうしてこんなことを自民党がするんだというふうに当然やっぱり怒りがわきますね。そもそもこの法案そのものが私はいらないと思ってますので。その辺はいかがですか?」
萩生田「一部ですね、ネットなどに党内手続きに瑕疵があったと、こう言ってる人がいるんですけれど、私は党の政調会長として現場の皆さんの判断を尊重したいと思います、というのは、その『何対何』って言うんですけど」
櫻田「18対11」
萩生田「いやいや、当のあらゆる会議で意見が分かれたからといって、何対何なんていうこと今まで一度もやったことないです。10何対何とかだから、賛成が多かったとか反対が多かったっていうのは、その議論の中での発言者の数を執行部側は確認をしながらやってますから、これはまだ議論が成熟してないなと思えば続けてやるわけです。
だけどいくらその反対でも、ただ感情論で反対だけ言われてて堂々巡りになっちゃったら、これどっかでやっぱ議論は終わらなきゃならないんで、現場としてはこれ以上やっても新しいことは出てこないってことで判断をしたんだと思うんです。
で、拙速なって言うんですけれど、まずその事実関係としてね、この法案は二年前に一度、党としては一回決定してるわけですよ。で、私が”二度の選挙があったんで新しい議員も入ってきたから、本来はもう政審は終わってる内容ですけれど、もう一回平場でみんなで話し合ってくれ”と言って、まあ20時間議論を続けてもらったんですね。
で、もっと言えば、その前に二年間、高階さんを委員長にする特命委員会でこの中身についてもずっとやってきましたんで、何かその一部の報道ではね、急に慌ててバタバタとやって決めたっていうふうに言われるんですけど、それはあのそれぞれ携わった皆さんのご苦労を考えたら、決してそういう事実ではないということを申し上げたいし、仮にその会議の中でね、それは声の大きい人がいたりして印象はいろいろ皆さん持ち方は違うかもしれないけど、もし本当に手続きに瑕疵があったんだったら、これはもう差し戻しでもやり直しをしましょうってことになりますよ。私政審の主催をし、総務会にもかけましたけども、ここで全く手続きに対しての異論というのはなかったですから。それは一部腹立たしいと思った人たちが、自分たちの感情を映像とともに外に出したことに皆さんが同調されてるんだと思うんで。それはもう明確に違うということを申し上げたいと思います。
櫻田「今のお話、私、あんまり納得がいかないんですけども、例えばねあの、反対意見が圧倒的に多いときに、これをこの議長なり委員長の一任にするということ自体が部会でどうなのかということと、それを政審、まあ政調会長のところに上げたときに、その瑕疵が無いというのはどういう風にこれつながっていくんですか?」
石橋「それは自民党のルールでね。部会って決を取るとかじゃないんですよね。確かにその言葉、最後そこで、二年前と決定的に違うのは、二年前、もともと古屋さんたちが作った理解増進法。これを稲田朋美さんが超党派議連に持ち込んで差別を許さないっていう文言、それから性同一性という言葉を性自認に帰ると大幅に修正して戻って認めてくれって言うから、ちょっと待てってなったのが二年前。
今回は、僕はもう、そもそもあの法案そのものに反対だからあれだけど一応ね、その古屋さんたちがもともと作ってた案に近いとこまで修正はしてるんですよ。
櫻田「性自認を性同一性に戻して」
石橋「戻して、不当な差別はあってはならないっていうのも全部削除した方がいいと僕は思うんだけど。それもかなり修正して、まあ正直言って、もし政調会長が政審でどうしろって言ったら、たぶん差し戻してもうちょっと議論するっていうね。差し戻ししかできないんだけど」
櫻田「ごめんなさい、今、大事なことをおっしゃった。政調会長は差し戻すことしかできないんですか?」
石橋「まあ政審っていうのは、この自民党の部会が了承したやつは手続き的にOKなのか云々って言って、総務会に上げて。で総務会っていうのは、実は絶大な権限を持ってますから。あそこが党議拘束が伴う党の意見として了承するかって決まるんですよ。で政審でまずその前段で、これもうちょっと差し戻しっていうのはできるんだけど、差し戻しても、たぶん反対してる人は、僕も同じ意見なんだけど、絶対こんな法案出しちゃダメだと。通しちゃダメなんだという人と、だからずーっと平行線で、多分議論あれからもう20時間くらいやってるけど、30時間やってようが40時間やろうが結論一緒」
萩生田「だからこの論法でいくとね、じゃあもう一回会議やりましょうと言ったとしますよね。じゃ賛成の人の意見の方が多かったらそれでいいんですか?反対の人たちは?」
櫻田「よくないですね」
萩生田「ということになるじゃないですか。だから、そもそも身内の---国民の皆さんは分からない---党内のね、民主主義ルールを自分たちの都合のいいことだけ外に発信するからこういうことになるんですよ。じゃ、今日までの間に私のところにその反対だと、民主主義に瑕疵があるって言った人たちが誰かひとり説明に来ましたか?政調会長、これおかしいですよっていう人は誰もいない」
櫻田「だれもいない?」
萩生田「自分の支援者向けのパフォーマンスは僕はやめてもらいたいと思いますよね」
櫻田「政調会長のところには誰もいない」
萩生田「誰もいないですよ」
櫻田「うん、なるほど」
萩生田「だからネットではいろいろ書いてありますけど、で、それに誘導されて私のとこなんかすごい非難のメールとかね、抗議が来てますけれど、手続きに何の瑕疵もないです。
それから二つ目は、安倍さんが生きてたらこんなことにならなかったって言うんですけど、すみませんけど二年前、安倍さん生きてました。で、安倍さんのもとでこのLGBT法案は一度党としてオーソライズされているんです」
櫻田「安倍さんが止めたっていう」
萩生田「唯一安倍さんが言ったのは、今石橋さんが言った、差別は許されないっていうワードはですね、我々は不当な差別はあってはならないっていう安倍総理・菅総理の答弁の内容に沿ってやるべきだっていうのがどっかで変わっちゃったんで。これに対しては、これよくないよねということを言ってました。ですから、今回の法案っていうのはまさにあの時安倍元総理がね、危惧された内容は修正された内容だというふうに私も思ってますし」
櫻田「安倍さんが修正したのはここに言うと、稲田さんの5月15日、国会内でのLGBT議員役員会の絵なんですが。これ岩屋毅さん、こちらが立憲民主の西村ちなみさんで、稲田さんですけども。二年前に、そもそも不当な差別はあってはならないというのを」
石橋「いや、あってはならないつーか、差別事項確か入ってなかった。最初のやつは。ですよね」
萩生田「もともとの古屋案にはなかった」
石橋「そう、古屋案はなかった」
櫻田「なるほどね。性同一性を性自認と言う風に、稲田さんが西村ちなみさん立憲民主の方と話をした結果、それを変えてこれを自民党に持って帰って」
萩生田「よく世の中で言われている、安倍さんが稲田さんに怒った怒らないっていうのはその話なんですよ。法律がけしからんと、こんなものを作っちゃいけないんだと、こんなもん出しちゃいけないんだってことを安倍総理は一切言ってません。逆です。
2017年、これ我が党の選挙公約です。安倍総理のもとで戦った衆議院選挙の中できちんとその選挙公約でですね、性的指向性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指すって書いてあるんですよ。
だからみんなそのなんかね、安倍側近を称する人たちの、その安倍さんがいればと、安倍さんはこうだったっていう、そういうそのデタラメで混乱をさせてね、まあ、本来仲間内の人たちが今分断されようとしている。これもっと違う力が私はあるんじゃないかなって思うぐらいに、ここはちょっと冷静に考えてほしいと思うんです。
そこで、とはいうものの、とはいうものの、国民の皆さんがこんな法律ができたら、こんな世の中になるんじゃないかって心配している項目があると思うんで、これはキチンとこの法律が仮にですよ、仮に上程をされて、今上程はしましたけど、審査が始まって、そしてその中でまず質疑で明確に確認します。これってどういう時どうするのっていうのを、どっちっていうのをちゃんとその後は今ちゃんとええ70項目きちんと用意してありますので、これをきちんと確認して議事録に残します。なおかつ政府側はこれ法案が仮に成立したとすると、基本計画を作ります。基本計画を作るときに、それに沿ったガイドラインをきちんと党としても作って、で、我々の反省はやっぱ男女共同参画基本法を作って、これがまあムーブメントになったときに、まあ、法律作るまではいろんな懸念を言ったけど、結局その先はチェックをしないまま役人の皆さんにお任せしてしまったっていう反省があります。で、それが結果として今皆さんが心配している、まあ言うなら公金がですね、特定の活動家だとか団体に入って、そしてそれがまたその資金源になってね、そういう活動がどんどん横展開されているということにつながっているんだと思うんで、少なくとも私が最後責任者としてこれ引き取ったわけですから、皆さんが、国民の皆さんが心配しているようなことは、きちんと整理をして。そしてまあ言うならば元々の法律の目的である理念法、そういう人も世の中にはいますよね、お互いにその尊重しあって、いたわりあって、生活しやすいようにしましょうねっていう、寛容な世の中を作ろうっていう、この法律に徹したいと思いますので、そこはご信頼いただきたいと思います。