夢のような場所

いまNetflixでは空前のバカリズム祭りだが、実はおそ松さんには、17話に「十四松祭り」という回がある。とつぜんのおそ松さんで恐縮だが、今回はその中の小話で忘れられない、「十四松パン」を紹介したい。
ティンカーベルに扮する十四松がトト子ちゃんを夢のような場所に連れていく。ネバーランドかと期待するトト子ちゃんを、十四松パンは藤井寺球場跡地、岡山県日本原、ドミニカのカープアカデミーに連れていく。
野球好きな十四松にはたまらない場所という意味の夢の国。(笑)
 
この時に十四松が目をキラキラさせながら呟く「夢のような場所!」という声が私の頭の中で響く場所がある。
東京都霞が関に位置する国会図書館である。

カウンターで受付すれば、30分足らずで蔵書約450万冊の中から、読みたい本を手渡してくれる。私にとっては、将来の墓場にしたいほどの夢のような場所だ。あそこで本に生き埋めにされたい。幽霊になったあと端っこから端っこまで本を読みふけりたい。一生かけても読みつくせないあの本達を読破したい。
 
そう。この国会図書館ではその圧倒的な蔵書数から、普段本屋には置いていない本達に巡り合えるのである。TRICKの脚本を借りて、セリフやト書きがびっしり書かれたページをぱらぱらと捲り、やっぱりこの文字をあの独特な世界観に書き換えて表現していった堤監督は凄いな~と感動したり、はたまた何も考えずに、検索ボックスに頭の中に浮かんだ言葉を適当に打ち込んで、普段全く読んだことのないジャンルの本を借りて読んでみたりするのも面白い。
 
そしてあの静寂もたまらない。沈黙は人を癒すという言葉があるように、ページを捲る音だけが響いている空間に、ああ、ここは天国なのだろうかと錯覚することがある。最近のマイブームはイヤホンをつけてディズニーシーのパークミュージック(特にアクアトピア)を流しながら、闇金ウシジマくんを貪るように読むことだ。もし姿勢を崩して片腕に頭をもたげ、だら~っと漫画読んでいる人がいれば、それは私だ。
 
日本で、いや世界で一番好きな場所だと言っても過言ではない。ああ、良いなあ。どんなホテル暮らしより、どんな飛行機のファーストクラスより、私は国会図書館が良いなあ。広いので、ただ探検するだけでも季節ごとに展示が変わっていたりして楽しいし、食堂や売店もあってお腹が空いたら何か食べることもできる。本当に夢のような場所だ。

ちなみに。たいてい国会図書館ではいつも背筋の良い紳士なおじいちゃんに囲まれている。きっとどこかの大学教授だったり、学者さんなんだろう。そんな高貴な人たちに混ざってだら~っと漫画読むのもまた、贅沢を感じるのである。


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