「9月1日 母からのバトン」感想文
「死なないで、ね・・・・・どうか、生きてください・・・・・」亡くなる2週間前、樹木希林さんは病室の窓の外に向かって繰り返していたそうです。
それを見た娘の内田也哉子さんは、お母さんがおかしくなってしまったと思ったそうです。
その日は9月1日。一年の中で一番(ダントツ)子供の自殺が多い日。それを知っていた樹木希林さんは、命がもったいないと一生懸命祈っていたそうです。
本書は、生前の樹木希林さんのインタビューと内田也哉子さんと4人のかたとの対談が綴られています。
特に不登校について、その当事者やその親の体験談はとてもリアル。
学校に行けない子供は、普通に行ける子に比べて劣っていて普通ではないと、そんな見方を私もしていたかもしれない。いや、していた。
様々な理由で学校に行けない。そんなことだけで自分の命を絶ってしまう。
そんなことだけで。大人はそんな風に言ってしまうけど(私も)、子供達にとってはそれが全てだと感じてしまっている。
自殺するくらいなら、学校を辞めればいい。当事者でなければ、簡単に言ってしまう。でも、もし私の息子が学校を辞めたいって言ってきたら、高校は出てた方がいいぞとか、もうちょっとがんばればとか、言うに決まってる。現にずっと続けていたサッカー部を辞めたいと言われたときは、必死で止めた。あとちょっとじゃないかとか、なんでも好きなものを買ってあげるとかまで言った。結局は辞めてしまったけど。
学校は行くべき。一度始めたものは続けるべき。そんな日本人の大多数の意識を子供達も持っている。だからそれが出来ないと子供達は苦しんでしまう。
樹木希林さんは、日本の学校に転校しいじめにあって苦しんでいる内田也哉子さんを見て、相談される前に、「そんなに苦しいんだったら辞めれば。」とサラッと言ったそうです。凄っ。
夏休みが終わり、明日から学校。でもどうしても行きたくない。行けない。もう死ぬしかない。そういう理由で9月1日に子供の自殺が増えるそうです。まずはその現状を広く知って欲しい。