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思い出の金魚

夏になると 思い出すことがある
昔 飼っていた 金魚だ

お祭りの 金魚すくいで 我が子が
2歳の時に 一匹 3歳の時に 一匹 すくった

名前は 一匹目は ポニョ 
ご想像の通り あの名前である

二匹目は チビ
ポニョより 小さいから

まぁ どちらも 安易につけた 

この二匹は かなり長生きしたので
それなりに 大きくなった

金魚は 結構 人に馴れる
だから 水槽の近くに行くと
必ず 近寄ってきた 可愛かった

餌を 欲しかった だけかもしれないが・・・

数年がたち ポニョが 沈んだまま 死んでいた
その時 チビは しばらく ポニョの隣で寄り添っていた

まるで 見送っているようだった
いや 見送っていたのだろう・・・

我が子は いつも 水槽の前で 行ったり来たり 走っていた
それに合わせて チビも 行ったり来たり 泳いでいた
まるで 一緒に遊んでいるようだった
いや 一緒に遊んでいたのかもしれない・・・

家族旅行で しばらくチビに お留守番をさせた
家に帰ると あんなに すぐ近寄ってきたのに
しばらく 見向きもしてくれなかった
まるで 拗ねているようだった
いや 拗ねていたのだろう・・・

よっぽど 淋しかったのか
何日か 続いた


金魚から 時々 鳴き声?のような 
音が聞こえたような気がする
あれは 何だったのか? 今でも分からない
あまり きれいな音でもない

ただ その音に 心が救われたことがあった

我が子が 幼稚園の時 
そこで 役員やサークル活動をしていた

何か 行事があるごとに
無記名の アンケートをとった

無記名となると 人は 結構 酷いことを書く

少人数の小さい幼稚園なのに
役員やサークル活動で頑張っている人への
誹謗中傷は 酷かった

自分も 例外なく 
酷いことを 書かれた
誰が 書いたのか・・・

一生懸命 頑張っていただけに
落ち込んで 夜も眠れなかった

夜中 ソファーに座り ボーっと していたら
あの音が 聞こえてきた 
すぐ後ろに 水槽があったので 振り向くと
チビが ジーっと 自分を見ていた
まるで 慰められているようだった
いや 慰めてくれていたのだろう・・・


そんなチビとも お別れの時が来た
沈んだまま 動かなくなった
様子を 見ていたら 今度は 水槽中を暴れ回った
止まっては 暴れる・・・苦しんでいるようだった
いや 本当に苦しそう 見ていて辛かった

何日も そんな日が続いた
『早く 楽にさせてあげたい』 と思った

家族で 死に向き合った 夏の終わりの出来事だった



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