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【映画レビュー】生涯のベスト『ダークナイト』

クリストファー・ノーラン/ダークナイト

最初観た時はあらゆる意味で衝撃的でした。
アメリカンコミックの映画化という枠をはるかに超越した、シリアスでダークな大人向けバットマン。

『ダークナイト』は、クリストファー・ノーラン監督による「ダークナイト・トリロジー」の第2作目で、ブルース・ウェイン/バットマンにはクリスチャン・ベイルが再登場します。本作最大の特徴は、ゴッサム・シティに現れた凶悪な犯罪者ジョーカー(ヒース・レジャー)の、これまでの悪役とは一線を画す、奥行きの感じられる《悪》を体現するような強烈な存在感です。彼は次々と冷酷で残虐な犯罪を繰り広げ、街に大混乱をもたらします。

バットマンは、新任検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)と共に、ジョーカーの計画を阻止し、ゴッサムの平和を取り戻そうと奮闘しますが、彼の巧妙な策略に翻弄され、次第にジョーカーの存在が彼らの信念や道徳観を揺さぶっていきます。

本作の最大の見どころは、やはりヒース・レジャーの演じるジョーカーです。彼はこれまでのジョーカー像を覆し、リアルでカリスマ的な悪役を表現。善悪を超越した彼の魅力は観客を惹きつけ、緊張感あふれるストーリー展開を生み出します。その演技は高く評価され、第81回アカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。彼は授賞式直前に28歳の若さでこの世を去っており、その事実も相まってこの映画を特別なものにしています。

『ダークナイト』は、複雑な人間ドラマや道徳的ジレンマを描くことで、観る者を正義と悪、秩序と混沌の狭間に否応なく引きずり込みます。

深い余韻の残るラストは、『ダークナイト』の意味を明らかにすると共に、いわゆるヒーローものの中でも格段のカッコ良さです。

映画史に残る《奥行きのある》悪役。

※stand.fmでも映画や音楽の話をしています。よかったら聴いてみてください。https://stand.fm/channels/6655ca62316143a771ce9aa6



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