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【音楽レビュー】生涯のベスト『レイン・ドッグ』
Tom Waits/Rain dogs
1985年当時、こんなレコードが世に出てくることを誰も予想できなかったのではないでしょうか?
ジャンルを問われても答えようもない、古いような新しいような、時代を全く無視した無国籍な音。
混沌としているようで、一度聴いたら耳から離れない印象的なメロディとあの形容し難い声。
ジャケットも印象的です。
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トムによれば、「酔った水兵が売春婦の胸に抱かれている。女は笑っているが、男はすっかり酔いがさめている。この写真を初めて見た時、釘付けになった」とのこと。
ピアノ弾き語り《酔いどれ詩人》スタイルの「土曜日の夜」も大好きですが、ギターサウンドを全面に押し出した今作のアレンジは本当に素晴らしいです。
クレジットを見ると、一連のトム・ウェイツ作品の常連マーク・リボーを筆頭に、腕利きのギター職人が名を連ねていて、なんと言ってもローリング・ストーンズからキース・リチャーズが参加したことが大きな話題となりました。実際キースは、正直本家よりも素晴らしいプレイを数曲で披露しています。
アナログ盤で所有していますが、《ダウンタウン・トレイン》《タイム》を始め名曲名演のオンパレードで、何度聴いても新しい発見があります。
一旦はまったら抜け出せない、深い味わいのある永遠の名盤です。
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