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しゃべりたいふたり~第16回『ゴーストアンドレディ』とナイチンゲールを語る

花:私、この間母が記事を書いてた「ゴーストアンドレディ」にすっかりハマっちゃって、千秋楽の配信申し込んだんですよ。よかったら一緒に観ますか?

かおり:観たい! 

というわけで、3人で配信を鑑賞


やすこ:どうだった〜?私、舞台で観たとき、かなり後ろの席だったから位置的に今ひとつよく見えないシーンがあってさ。今回、配信でよく見えてよかったわ。逆に、配信だと奥行き感はもう一歩という感じもしたけどね。

かおり:面白かった!実は私、ミュージカルって初めて観たの。こんな感じなんだね!

やすこ:え?!そうなんだ。かおりさん好きそうなイメージなんだけど。

かおり:映画ならあるけど、舞台は縁がなくて。だから今回観られてよかったよ。前半、情報量多くてびっくりしたけど。

やすこ:時代背景とか、説明しないといけない部分が多いから仕方ないよね。マンガでも最初の方は色々と説明が多かったよ。

かおり:原作とミュージカルを比較してどっちがどうとか、思うところある?

やすこ:そうだなあ・・・

花:結構原作に忠実に作られてるよね?

やすこ:そうだ!せっかくだから、原作も読んでみる?それで後日ミュージカルと合わせての感想を話し合おうよ。

かおり:読む読む!あ、上下巻2冊で完結なんだね。壮大な話なのに意外にコンパクト。

花:その分、ギュッと情報量詰まってますよ。

かおり:それは読み応えありそう。楽しみ♪


後日、近所の喫茶店にて

かおり:いやあ、『ゴーストアンドレディー』おもしろくて一気読みしちゃった。マンガの方がフローのある種狂気じみた強さがより際立っていた気がする。

やすこ:そうだね。エキセントリックっていうか。原作のフローは人に憑いてる化け物(生霊)が見えるじゃない?舞台ではその辺はまるっと省略してるよね。

花:うーん、そこを舞台で盛り込んじゃうとわけがわかんなくなっちゃうからじゃない?ゴーストに神経を麻痺させられるってところを描けば意味は通じるし。

かおり:生霊まで出してたら舞台上ごちゃごちゃするしね。

やすこ:それにしても西洋って若い女子が神の啓示を受けがちだよね。

花:そうそう。なんなんだろうね。あっちでもこっちでも神のお告げを聞く人がいる。精神が不安定な若い女性が「神の啓示」つっておかしなこと言いがちだったんじゃないかって、昔、高校の先生が言ってた気がするけど。

かおり:舞台でグレイも言ってたね。神はジャンヌダルクとか若い女にばっかり啓示さずけるって(笑)。あとさあ、神の啓示って戦争をやめろとは言わないのね。神様ならむしろ無益な争いをやめろと為政者に言って欲しいよ。

花:そう言えばそうだ。

やすこ:あと気になったのは、フローは「白衣の天使」とか言われて、清純で理想に燃えた神格化された存在って思ってたけどさ、そうでもなかったよね。

かおり:日本だと特に「献身的で清純」ってイメージが強調されてる気がして、女性への役割期待の反映かと思うとちょっとイラっとする。でも実際は、お金や物資を潤沢に持ってて戦時大臣にも話ができる立場だったことが基盤として大きかったわけじゃない?伝記でもそういう話を教えて欲しかったよ。力とは財力と政治力…

花:病院建て直しの資金を「半分は私が出します」って言えちゃうのは確かにすごい。

やすこ:統計学者でもあるんだよね。戦死者のデータを分析して、負傷そのものよりもその後のケアや衛生状態が致死率に影響していることをわかりやすく訴えるとか。頭のいい人でもある。

花:実際に白衣を着て看護師として働いていたのって、2−3年だったらしいですね。90歳くらいまで生きたけど、クリミア戦争から帰ってきてからは、病気がちでほぼ寝たきりのような状況だったみたい。

かおり:知らなかった!伝染病が流行する中でもガンガン働いてたから、恐ろしく丈夫なんだと思ってたよ。クリミア戦争後ってことは、つまり50年くらい寝たきり?辛い…

花:それでも、力のある人に手紙を書き続けたり、本を執筆したり、看護学校を設立したりと精力的に働いていたみたい。看護師時代の働き以上に、その後も医療の発展に尽くし続けた功績が高く評価されてる。

やすこ:ググってみると、そんな感じだね。マンガにもあったけど、ワーカーホリックで、自分がガンガン働くことで、周りの人に圧かけてたというか。理想に燃える人ってかっこいいけどさ、そばにいたらキツイかもね。

花:劇団四季オリジナルキャラクターのエイミーは、偉人のそばにいる「普通の人」として書かれてる気がするんですよね。SNSなんか見てると、エイミーに共感したって人はちらほら見かけたよ。

かおり:なるほど。エイミーが、いわば観ている私たちと同じ立場で「あなたのことは尊敬するし憧れもするけど、同じようにはできない」と言ってくれてるんだね。確かに現代の我々からしたら「働き方改革~!」って言いたくなるような仕事ぶりだもんね。

やすこ:ねえねえ、もっと面白いエピソード出てきた。将校用の備蓄薬を一般患者用に貰うために、斧で薬箱を叩き割った…だって。

かおり:何それ、かっこいい!『ランプを持った淑女』は実は『斧を持った看護師長』!断然魅力的だね、伝記に載せてほしい。

花:斧じゃなくて拳で叩き割った説もあるみたい(笑)

かおり:ゴリラ?完全にキャラ変わっちゃう!(笑)。キャラと言えば、私はマンガに出てくるキュレーターさんが好きだわ。これ、『黒博物館シリーズ』なんだね?

やすこ:そうそう。ほかのマンガも読んでみたいよね〜。私はマンガの方は結構文学的だなと思ったんだけど、かおりさんはどう思った?

かおり:そうだね。シェイクスピアの引用がちょっと多すぎる気がしたけど、あれは、シアターゴーストが100年もの間たくさんの舞台を見続けていたから、自然とセリフが出てくるという設定なのかもね。

やすこ:そうか、そうかもしれない。最後の終わり方は、私はマンガの方が好きだったな。

かおり:私も〜。でも、舞台はハッピーエンドにしたかったのかも。

花:劇団四季的には、そこはこだわっているのかもしれないと思う。ああ、観てよかったという気持ちで帰ってもらいたいというか。

やすこ:そうね。まあ、マンガの最後も納得いかない感じはなかったと思うけど。

かおり:そう思うよ。でもどっちも満足できるラストでした。

やすこ:3人で配信見て、マンガを読んで話し合うの楽しかったね!

かおり:そうだね。また是非やりましょう。


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