しゃべりたいふたり〜第14回 BUNDANと日本近代文学館を楽しむ〜
かおり:この間久々にふたりでお出かけしたんだよね〜。今回は前々から興味があったカフェBUNDANと、日本近代文学館に。あ、あとついでに旧前田家本邸も堪能。これらはぜーんぶ駒場公園の中にあるのよね。
やすこ:うん。楽しかった。旧前田家本邸は、せっかく隣にあるならって感じで行ったけど、素敵だったねえ。建物はもちろんカーテンや絨毯、細部まで可愛らしくて夢のようだった。あれで、無料な上に、ガイドまでしてくれるんだから、たまらない。
かおり:レトロ建築好きにはおすすめ。やすこさんはあまり興味ないかもって思ったんだけど、めっちゃハマってたね。
やすこ:楽しかったわ〜。ガイドツアーで回ってたらお昼の時間になっちゃって、あわてて日本近代文学館内のカフェBUNDANに向かったのよね。
かおり:BUNDAN、私はもっと『文壇』っぽい重厚な雰囲気をイメージしていたんだけど、意外にライトな雰囲気のこじんまりしたカフェだった。
やすこ:ここはメニューの料理名が『文壇』っぽく凝ってるんだよね。
かおり:私が頼んだ宇野千代のそぼろカレーは、宇野千代が同棲していた東郷青児のために作ったカレーをモチーフにしているんだって。意外に野菜が大きくて、パプリカなんかも入っていて、優しい味で美味しかった。
やすこ:私が頼んだシャーロックホームズのサーモンパイ&ビールのスープもおいしかったよ。チーズたっぷりで、サーモンも結構大きかった。ビールのスープは甘くて少し苦い、あまり飲んだことのない味だったけど、なんだかあとを引く感じ。これも由来があるのかな?作品に出てくる?
かおり:メニューには『ハドスン婦人のアパートで共同生活をしていた名探偵シャーロックホームズと医師のワトスンを魅了した、夫人の特製料理』とあったけど、そんな場面あったかなあ?
やすこ:コーヒー<芥川>もおいしかった。ほかに、<鴎外>や<寺山>もあったね。斜め横のお姉さんはスコーン頼んでて、あれも美味しそうだったな。
かおり:壁一面が本棚になっていて、そこも『文壇』らしさなのかなと思ったけど、あれは一体どういう来歴の本なのかな?雰囲気がバラバラなんだよね。漫画も置いてあるし、でも巻数揃ってないし、なぜその選書なの?という感じの不思議な棚だったね。
やすこ:ねー。でもひとりで来たら、ついつい本気で読んじゃって、長居しちゃいそうな感じ。落ち着いた空間なんだよね〜。
かおり:うん。想像とは違ってたけど、いい感じのカフェだったね。
ランチのあとは2階の日本近代文学館展示室へ。こっちはカフェと違って人が少なく…ゆったり見られたね。
やすこ:入館料が300円で、入場券代わりに素敵な絵葉書くれたよね。気が利いてる!
かおり:無料のコインロッカーもあって。やすこさん、荷物が多かったからよかったよね。
やすこ:うん。助かった〜。
私たちが行った時は、「編集者かく戦へり」という企画展をやっていたんだよね。すごく期待していたわけじゃなかったんだけど、おもしろかったなあ。編集者と作家のお手紙のやりとりが展示されているんだけど、どっちも必死だよね。
かおり:そうそう。でも手紙って人柄が出るというか…。菊池寛なんか、面識のない作家に原稿依頼するのに「ちょっと書いてもらえませんか?」なんて感じで超ラフだし。原稿が書けないって手紙も人それぞれ。「助けてください」なんて何回も書いてる作家さんもいたし、編集者の修正にご立腹な人もいたしね。
やすこ:文字にも人柄や感情が出るよね。小さな文字でびっしり書き込まれた手紙とか、必死さがものすごく伝わってきた。手書き文字ならではの温度感ってあるよね。
しかし手紙でやりとりなんて、本当に大変だっただろうな。
かおり:うん。今はメールでパパッとやり取りできるし、原稿も書き終わればあっという間に送れるけど。昔のやりとりは基本、手紙でしょ。時間もかかるし、「もう様子がわかんないから行ってこーい!」なんて言われて、作家さんのところに通ったんだろうね。
やすこ:人間らしい感じがするね。せっかくもらった原稿も恐ろしいほどのくせ字で読めなかったりしてね。くせ字を読み慣れた人が清書したものを活字にしたりしてたかも。
かおり:本を作るって大変だったんだろうなと思うよね。今だって、作家と編集者の間にはいろいろなやりとりがあると思うけどさ。
やすこ:昔の方が関係性が濃かったかもね。編集者が定年で辞める時のお手紙のやりとりなんか、ちょっと感動したもん。
かおり:そう思った〜。あ、あとさ、編集者の坂本一亀さん、坂本龍一さんのお父さんだったんだね。解説読むまで気付かなかったけど、言われてみれば顔そっくり。編集の鬼って感じだったみたいで、プロ根性が親子だなあって思っちゃった。
やすこ:うん。おもしろかったな。みんなカフェだけじゃなくて展示ももっと見ればいいのにね。駒場公園、近代文学館もカフェも旧前田家本邸もあって、一日楽しめるね。
かおり:旧前田邸は、洋館と和館があるしね
やすこ:和館はガイドツアーがないと2階や茶室が見られないから、ガイドツアー必須だね。和館も楽しい。洋館ほどではないけど。
かおり:駒場公園を堪能したあと、もうひとつのお目当てのために池袋に向かったんだよね〜。
やすこ:そうそう。というわけで、続きはまた次回へ…。