1人3役の独り言:テンプレート
妹「おにいちゃん!そのいろえんぴつかしてよ」
兄「ダメダメ。これは私のものだからね。」
妹「え〜。そんなのずるいよ〜。」
兄「そうだ...これは完全に私のものなのだ...!」
妹「ケチ!おにいちゃんの共産主義者!!」
兄「いいや、私は完全なる資本主義者だ。ママという名の『神の見えざる手』の恩恵を受けた資本主義社会の勝者なのだ!!」
妹「そんなの『神の見えざる手』じゃないよ!おめえアダム・スミスの『国富論』読んでねえだろ!カス!」
兄「お前もどうせ読んでないだろ!クズ!」
妹「うるせえ!ソ連の使いめが!このアカ!」
兄「おっと、この令和の世の中に生きていてまだ小学生1年生のお前が『ソ連』やら『アカ』といった単語を知ってるはずないだろ...?」
妹「おっと、こいつはいけねえ。私が予想に反して早熟で飛び級できるくらいの賢さだということがバレちまったか...しょうがねえ...いっけえ!!私が開発した最新型ミサイル『いろえんぴつ号』発射ァーー!!」
兄「ふっ...兄を見くびるんじゃないぞ」
妹「なにィ!?」
兄「食らえ!!ミサイル返し!!『反共防衛戦線』!!」
妹「ウソだろぉぉぉ!?!?」
ドカーン!!
兄「ミサイル『いろえんぴつ号』は私が開発した飛翔体方向反転技術『反共防衛戦線』によって跳ね返され、お前の元にブーメランのごとく返って、お前自身がその攻撃を被ることになった...妹が早熟で飛び級できる賢さなら、兄はさらにその上を行く...私は小学4年生で既に国家防衛兵器の開発に携わっている!!結局兄に勝てる妹などいないのだよ!!ハッハッハッハッハ!!!」
妹「ふっ...甘いな...」
兄「なにィ!?生きてただと!?」
妹「私は普通に...前から飛んでくる物を避けるのが上手い...!!!」
兄「なにィ!?追跡機能もあるのにどうやって!?」
妹「ふっふっふ...兄は自分の力に自惚れすぎていてこんな簡単なことも分からないのだな...追跡機能が搭載されていたところで、こんな近距離で身軽な女の子がサッと避けられたならミサイルが小回り効かせて追跡できる訳があるまい!!!私がどれだけドッジボールに耽っていたか...お前が知る由もあるまい!!!ハッハッハッハッハ!!!」
ママ「あんたたち何やってんの!あんたお兄ちゃんなんだから妹に色鉛筆くらいさっさと貸してあげなさい!あんたもミサイルなんか発射したりしてお兄ちゃんをいじめないの!仲直りしなさい!」
兄、妹「は...はぁい...。ごめんなさい...。」
と言い、家事の面倒臭さと葛藤していた一人暮らしの私、決意と諦観の表情を浮かべ、家事に取り掛かる。
~完~