もし私が教師になるなら、職員室にシュークリームを置く
たぶん私は、めちゃくちゃ長女体質の長女だ。
基本的にがっかりさせたくないし、条件反射で「大丈夫です」と返してしまうところがある。
体調が悪くても誰にも言えなくて、幼稚園の時、クリスマス会の練習中高熱で朦朧としながらウィーウィッシュアメリクリスマスを踊ってそのまま倒れた。(社会人になってから痛感してるけどこれ悪癖だわ)
「大丈夫です」と言うことを求められてると思い込んでいた気がする。心配してくれてたのかもしれない言葉も、私にとっては誘導尋問だった。
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高校生の時、合唱委員を務めた。
動物園のようなクラスだったので、さっっぱりまとまらなかったが、想定内だったので別に良かった。
音楽は好きだが野心はあまり無かったのでこのままでも良かったのだが、あまりのまとまらなさに担任から職員室へ呼び出された。
たぶん、
「最近どう?合唱難航してるよね〜、どうやってまとめようかね」
このあたりだな〜。と察し、放課後職員室へ向かった。
「失礼します」
「あぁようこそ。まあまあこれでも食べて」
意外な第一声だった。
職員室に入っていきなりシュークリームを渡された。
他の先生は誰もいなかった。
職員室ってシュークリーム置いててもいいんだ…。
いつもコーヒーの匂いはしてるけど、
お菓子は大々的に見せちゃいけないのかと思ってた。
そう思ってシュークリームを食べると、何故か自分でも分からないくらい号泣した。
本当は思っているような合唱にならなくてどうしようもなかったこと、中学での合唱の方が上手くて劣化してる自分の人生に焦っていたこと、クラスメイトから指導者のように思われるのも苦痛だった、そんなこと全部教師の前で言うつもりもなかったのに、いや確か言わなかったけど、その分大泣きした。
きっとあの先生は私の性格を全部分かってた。
私にとって、言葉の無力さと、届く伝え方について考えるきっかけとなった瞬間だった。
「あなたの味方だよ」とまず伝えなきゃ他人は私の話を受け入れないし、でもそれを分かってもらうのがどんなに難しいことか。
言葉系の大学、学部、ゼミを卒業したけど、あのシュークリームにはなにも太刀打ちできないと思っている。
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シュークリーム、クッキーシューの方が絶対おいしいと思うんだけど、通常シューの方が好きな人なんているのかな。
セブンのパンプキンシュー?食べてないな、うっかりしてた。