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104分間 なんでもない日常を追った人だけが感じられる 壮大な物語「キッズ•リターン」
今回は、大好きな北野武監督作品の一つ「キッズ・リターン」について。
あらすじ
いつもつるんで、学校に行っては問題を起こしていた18歳のマサルとシンジ。ある日、カツアゲした高校生の助っ人にノックアウトされてしまったマサルは、ボクシングに目覚め、ジム通いをはじめる。付き合いでシンジもジムに入門し、ふたりはボクシングの練習に没頭する。ある夜、ヤクザに絡まれたふたりは、若頭に助けられるが、その迫力にマサルは感動する。高校生活も終わり、いつの間にかシンジはボクシング界の逸材に成長していた。だが、ジムにはマサルの姿はなかった......。
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1996年、この時代の空気感が詰まった、痛いくらいのド青春映画。北野武監督映画の中でカナリ暴力描写は大人しめ。波の緩やかな邦画です。
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生々しいほど純粋な青春物語
ストーリーとしては、バカな若者が、ボクシングにハマりながらやりたい放題やっている日常を垂れ流している、なんとなくダラダラした雰囲気。
正直 引きがある物語ではありませんでした。
映画108分のうち、序盤だけ観て、やめてしまう人もいるのではないかと思うほど、物語は普通です。
その物語の中に散りばめられた北野武映画らしさ
タケシ映画らしい暴力とユーモア、そして瞬間の切り取りの美しさ、キタノブルーはもちろん、空虚な音、絶妙な間は思春期特有の心のもやもやを表すような、もはや感覚で受け取るような映画。
そして物語の邪魔にならないのに、圧倒的存在感な久石譲の曲
この曲が劇中で何度か繰り返される。この曲は、この映画の良さを引き立てるどころか、
この曲じゃなかったら、まったく別の作品になっていたんだろうな。。
「良い映画を観たな」と思える104分 を過ぎたその後の衝撃
108分の映画が始まってから、終盤で感じる
「ああ~良い映画だったな。」
緩やかな起承転結で、穏やかな感情のまま観終わることも安易に想像できるし、このまま終わってもじっくり浸ることだってできる。
でも、その後の残りの4分で気付く、
なんというか、今まで中心にあった物語、その出来事全て!感覚的には 無効化。
わ〜これは…すっごく壮大な物語だ…。。
まとめ
1996年の若者の 衝動・青春の輝きが、ドラマチック…というより、リアルに描かれすぎていて、生々しささえある前半の物語は、賛否両論があるのはなんとなくわかります。
でも、エンドロールに流れる「安藤政信(新人)」の圧倒的存在感とポテンシャルはとんでもないな、と思ったし、ずっと名作として残り続けるものなんだろうと思います。
最初から最後までみて、面白い映画、と正直に言えるかどうかは微妙なところですが。
とても心動かされる、大好きな映画なので、是非観てみてほしい作品でした。