見出し画像

昭和初期のレトロ感と、独特すぎる地獄絵図「地下幻燈劇画 少女椿」


こんにちは。


先日、ついにガロ系デビューを果たしました!!!


気になっていたけど、なかなか踏み入れることができなかった領域・・・怯えながら浸ってみたら、感じたことない世界に、しっかり魅了されました。


今回は、80年代のガロを支えたといわれる、ガロ系作家 丸尾末広 原作のアニメ映画「地下幻燈劇画 少女椿」について




ガロ系とは

ガロ系作家は、個性的で独自の表現手法を用いるため、作者の独自世界が強く一般的な商業雑誌の漫画とは明らかに一線を画したオルタナティブ志向の漫画は「ガロ系」と呼ばれる。語源は、1964年から2002年頃まで青林堂が刊行していた『月刊漫画ガロ』に掲載されるようなカルト的な漫画作品を総称して「ガロ系」と1970年代初頭から呼称され始めたのが由来。(ピクシブ百科事典引用)


つまり、日本のサブカルチャーとかアングラを代表する伝説的漫画!!!


有名な、静岡にある少年少女博物館が浮かびますね。そんな感じです。


80年代のガロ系といえば、みうらじゅんさんや蛭子能収さんのヘタウマ全盛時代。そのヘタウマとは真逆の、レトロで美しい絵を描くのが丸尾末広さん。


その作り出された世界観には、濃厚でアンダーグラウンドな美意識が集約されていました。



「地下幻燈劇画 少女椿」あらすじ

時は昭和13年、3年前に父が家出し、母を病気で亡くした12歳の少女みどりは見世物小屋「赤猫座」の主人の甘い誘いに乗ってしまい、そこの下働きとして使われてしまいます。異形だらけの芸人達にいじめられ、毎日つらい思いをしていたある日、ワンダー正光を名乗る手品師の男が雇われます。瞬く間に売り上げを伸ばした彼に気に入られ、いじめられることもなくなりやっと幸せをつかみ始めたかと思われたみどりは…



不幸の星に生まれてしまった、主人公みどりちゃんの可憐さ

主人公は、12歳にしてとんでもない不幸な人生を歩んでいる、少女みどりちゃん。周りのグロテスクなキャラクターたちの中でとても可愛らしい存在。


両親をなくし、身寄りがなくなったみどりちゃんは、見世物小屋の芸人たちと暮らすようになるんですが…これまた不幸なことに


奴らが全員、もれなく狂っているんです。。




まさに、地獄絵図

(みどりちゃんに幸あれ…!)


エログロ救いようのない胸糞映画の中の垣間見える美意識


極めて観る人を選ぶ映画ですが、どうしようもない、謎の中毒性。江戸川乱歩(芋虫などの作者)や夢野久作(ドグラ・マグラ 作者)のエキスがぎゅっと閉じ込められていて、幻想・血しぶき・エログロ・少女、SM、耽美、残酷、ユーモア、異形への愛。などの、独自の美学がふんだんに詰まっています。


わたしも、観終わったあとはドッと体力使った感覚に陥って、当分観る予定はないな~と思っていたのにもかかわらず・・翌日、頭に残ったシーンをもう一度見返してしまっていました。

正直、とてもとても、よい映画とは言えないし、不快だし、おぞましいし。


人によってはトラウマになるような内容。それらは圧倒的芸術作品でした…



2012年まで上映が禁止されていた映像作品で、DVDも制作されていない映画ですが、

上映にあたっては紙吹雪や発煙筒、スモークなどの仕掛けによる特殊な演出が施され、神社境内や地下室でゲリラ興行された

ということで。何とも楽しそう。
まさに映画自体が、見世物小屋!



まとめ

エログロナンセンスな作品という予備知識だけあったので、いたずらにグロテスクな描写などをみせつけてくるのかしらと怯えていたんですが。


耽美で猟奇的で幻想的で儚い芸術作品
って感じでした。超、狂ってるけどね。


もちろん、気持ち良い表現ではないので、人によっては不快になったりすると思います。だけど、この映画を通して、自分が普段出会うことのない美しさをすくうことが出来たので、観て良かったかな、と思えました。


現在、YouTubeに全編公開されてるみたいなので、是非メンタルが元気なときに、興味本位で観てみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?