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凛とした仕草に心から ハッとする邦画らしい邦画「四月の永い夢」


今回は比較的、新し目の邦画。
中川龍太郎監督「四月の永い夢」について。



あらすじ

春にして死を夢みたあなたが、ずっと嫌いでした。3年前に恋人を亡くした27歳の滝本初海。音楽教師を辞めたままの穏やかな日常は、亡くなった彼からの手紙で動き出す。元教え子との遭遇、染物工場で働く青年からの思いがけない告白。そして心の奥の小さな秘密。喪失感から穏やかに解放されていく初海の日々が紡がれるーー。


友達に勧められていたのに、なかなか観られてなかったんだれど、以前FODに入会したときに鑑賞。93分の映画なので、気張らずサクッと。

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劇中の風景、音楽、言葉の美しさ

オープニングは、喪服姿で桜や菜の花に囲まれた、主人公 初海。


この映画の素敵なところは、とても繊細で、丁寧なところ。

彼女の時間は3年前から止まってしまっていて、彼女の周りの時間だけがゆったりと流れている。

人の心の動きを表現する、起承転結が緩やかで、穏やかな映画。


国立市がロケ地だそうですが、とってもロケーションが美しいのです。

お蕎麦屋、一人暮らしのアパート、学校、映画館、食堂…

そして花火が見られる屋上

浴衣で花火は、夏限定の 希少価値の高い特別な行事ですね………


ん!!最高です!!!!

(花火大会シチュエーションに弱いのです)


初海の凛とした、女性らしさ

私の中で一番響いたのは、これでした。

ゆったりとした仕草。話し方やトーンも、まとう雰囲気も、とっても落ち着いていて。

「あれっ・・。私、普段 初海のように 過ごせているかな・・・」

日本語って本来、とても美しいものだし、それを普段から当たり前に表現できる人は素敵だなあ と改めて思いました。

凛とした女性は芯があって強い。

最高にかっこいい女性像。


まとめ

物語的には正直、スパイスを求めて観るような映画ではないと思います。

ただ、日常の中にある小さくて美しい発見だとか、ちょっとしたトラブルとか、トキメキとか、

そういうのが丁寧に繊細に描かれているこの映画をみて私は

「あ〜、やっぱり邦画が好きだ〜。」と改めて実感しました。


邦画のエンディングって「あれ、ラストどうなったっけ?」と忘れちゃうような映画も多いのだけれど。。

この映画のラストはとてもよかった。何気ない日々の出来事の「偶然」を大切にしたくなる ような。

良い映画を観たな!と余韻が持てるような、ね。


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現代の喧騒の中で生きていると、日本語の綺麗さ、品のある仕草やトーンの大切さ、凛とした女性のかっこよさ、をつい 忘れてしまう。

そんな大切なものを思い出させてくれる、とっても観る価値のある映画だと思います。


大切にしている、思い入れのある曲がラジオから流れてくるのって、わたしも体験したことあるけれど…

自分だけがグッと感じる、とってもハッピーな瞬間だよね。

初海が好きな曲としてあげている、劇中歌。素敵な曲です。

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