フランスちっくなアンニュイ空気感で進む、絵、物語「赤い風船」
こんにちは。
突然ですが、小さい頃って
手を離すと飛んでいく ヘリウム風船、憧れませんでした?
わたしは小さいころ、めちゃくちゃ憧れていました。床に落ちるタイプの風船じゃイヤ!!あんなの、ただのオモチャじゃん!!(子供らしく ませている)
そして、ついに念願のヘリウム風船と、テーマパークにて初対面。なんとも緊張したな・・。自分だけのお友達のような感覚で ヒモを握りしめて、連れまわして、
・・・気づいたら、居なくなってました。ぴえん・・・・悲しくて悲しくて・・子供だからか?なんなのか、、とっても情がうつってたんです・・・・・。可愛いやつでした・・。
子供の特権、風船。今でもちょっと憧れ。
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今回は、小さい頃読んだ絵本 のようなフランス映画 アルベール・ラモリス「赤い風船」について
※予告編は2本立てになっていますが、今回は前編の「赤い風船」についてです。
「赤い風船」あらすじ
パスカルが学校へ行く途中、街灯に赤い風船が引っかかっているのを見つける。その後、風船は彼についてくるようになり……。少年と風船との友情を描く。
30分の短編の中で何度も心躍る、不思議!な風船
まず驚くのが、この映画が60年以上前に撮られた作品ってこと。
ん・・?魔法・・?
CGなんて、もちろんない時代に撮られた作品とは思えないほどに、映画の魔法が散りばめられていました・・
真っ赤な風船が活き活きと、生命を持ったように、当たり前に動いている。それが戦後パリの、少し物悲しい街並みの中、無造作に撮られていて、日常の中に馴染む非日常が不思議と、リアリティーがあって。
パリの街並みとパスカル少年の服装の色味を落としているせいもあって、そこに映える色鮮やかな風船が絵画の様で、とても際立って美しいんです。
ほぼセリフのない作品だからこそ。自分で風船に物語を描いちゃう。イマジネーションの塊
ほぼパントマイムなこの映画は、起承転結がとてもわかりやすくて、絵本のページを一枚一枚めくっているようなわくわく。
少年が階段を下り、何かを見つけて、街灯をよじ登っていく
少年の頭上へ徐々に画面が動いていく
少しよどんだ彩度の低い空間に映える、ふわふわ浮かんだ赤い風船
最初のシーンだけでわたしの中の名作決定です・・ん~ステキ
セリフがない分、その空気感を感じさせるのはなんとも言えないBGM
パントマイムならではの、想像してしまえば、何通りにもなるようなこのストーリーの解釈は、この映画を観たタイミングだったり、その人のバッグボーンによって感じ方は違うんだろうな。
もちろん、『風船』の存在とはなんなのかっていうのも、自分次第。
人間の、優しさと、残酷さ
そして、決してハッピーエンドではないラスト
ん~いや・・・この解釈も、人それぞれなのかな?
まとめ
30分ほどの短編の中で、わたしが受けた感覚・感情・絵の美しさ・・すべてが今の映画にはないほど斬新で特別。
お話的にはとても優しくて、温まるんだけれど、流れる空気感やラストを含めて全体を観てみると「温かい」だけでは終わらない、アンニュイでとてもフランスらしい映画。
シンプルなお話だけど、大人になった今でしか感じることのできない部分はとっても深い。むしろ1度じゃ受け取り切れないのかも。
是非観たことない方は、ゆったりした心で出会ってほしい作品です。