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夏の昆虫【セミ】昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんが解説!

夏を代表する昆虫”セミ”。
 
セミの鳴き声を聞くと、ついに夏がやってきた!と思う方も多いのではないでしょうか?
 
そこで今回は、昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんに、鳴き声の聞き分け方や捕まえ方など、セミについてさまざまな事をおうかがいしました!

セミってどんな昆虫?

 夏になると、自然豊かな場所だけではなく、都会の街路樹や公園でも大きな声で鳴いているセミ。
 
 セミとは、カメムシ目セミ科(正確にはセミ上科)に属する昆虫のなかまのことを指します。

「カメムシのなかま!?」と驚かれるかもしれませんが、カメムシ目というのはとても広いグループで、カメムシやセミだけではなく、水生昆虫のタガメやミズカマキリなどもカメムシ目に含まれます。
 
 ですので、カメムシとセミをじっくり見比べてみると、似ているところがたくさんあります。特に注目すべきは口の形で、カメムシと同じく針のような口をしており、セミはこれを木の幹に刺して、木の汁を吸って生活しています。

 セミは不完全変態と呼ばれる「サナギにならないグループ」の昆虫です。
木の幹に産みつけられた卵から孵った幼虫は、土の中へ潜り、木の根から汁を吸って成長します。
 
 大きくなった幼虫は土から出て、木の幹に止まって脱皮し、成虫になります。

セミの寿命は、どれくらい? 1週間ってホント?

「セミの幼虫は長い間、土の中で生活している」というのは有名な話ですが、セミの種類によって、その期間は異なります。
 
 日本では、小さなセミだと1〜2年、大型のセミだと最大で4〜5年と言われています。
 
 また「成虫になってからは1週間で死んでしまう」ともよく言われていますが、これは俗説で、アブラゼミは成虫で最大1ヶ月ほど野外で生活していることが明らかになっています。

セミの鳴き声に耳を澄ませてみよう!

 そんなセミのなかまは、山や森だけではなく、都会の公園や街路樹などにも数種類が生息しています。
 
 そしてそれぞれのセミは明確に鳴き方が違っており、人間の耳でもはっきり種類を聞き分けることができます。
 
 代表的な種類だと、クマゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、ヒグラシなどが挙げられます。
 
 彼らの鳴き方は簡単に書くと、以下のようになります。

  • クマゼミ:シャーシャーシャー

  • アブラゼミ:ジリジリジリ

  • ミンミンゼミ:ミーンミンミンミー

  • ツクツクボウシ:オーシツクツク

  • ニイニイゼミ:チー

  • ヒグラシ:カナカナカナ

 セミが鳴くのは、いずれもオスのみです。メスは鳴きません。
 
 オスは交尾相手となるメスへのアピールのために鳴き、メスを呼びます。
そのためメスは、同じ種類のオスの鳴き声を聞き分ける必要があるため、このように鳴き声が種類によって違っていると考えられています。
 
 また鳴き声だけでなく、それぞれが鳴く季節や時間帯も異なり、そういったところで種類ごとに鳴き声が被らないような工夫もされています。
 
 地域によって差はありますが、クマゼミは午前中、ツクツクボウシやアブラゼミは朝方と午後、ミンミンゼミは昼から夕方、ニイニイゼミは早朝から夕暮れの一日中、ヒグラシは朝や夕方の薄暗い時間に鳴くと言われています。
 
 季節では、ニイニイゼミはこの中だと発生が早く、6月下旬ごろから鳴き始めます。それに対してツクツクボウシは夏の中旬以降に多く発生し、秋の初め頃まで鳴き始めます。

どこで見つけられる?

 この記事に登場する6種類は、地域差はあるものの比較的身近に見られる種類です。(※クマゼミ、ミンミンゼミは関西と関東で大きく異なる)
 
 基本的には街の中の公園や森のある自然公園などの、サクラやケヤキなどの幹の太い広葉樹がたくさん生えている場所に行くと見つけることができます。

 なんといっても探す手掛かりは「鳴き声」です。
 前述した、それぞれのセミが鳴く時間帯をチェックして、公園などに声を聞きにいきます。それぞれのセミの探し方などをかんたんに記載します。

  • クマゼミ

関西ではもっとも多く見かけるセミ。木のある公園などで普通に見つけられる。関東ではまだ少なく、午前中に鳴き声を手がかりに探す必要がある、

  • アブラゼミ

関西、関東ともにとても多く見かけるセミ。木のある公園などで普通に見つけられる。

  • ミンミンゼミ

関東では街中の公園でも見られるセミ。関西では山の方にしか生息していない。

  • ツクツクボウシ

夏の中旬から秋まで見られる。

  • ニイニイゼミ

6月下旬から見られる。

  • ヒグラシ

木の少ない公園などには生息しておらず、背の高い木がたくさんある、日が暮れると早くに薄暗くなる自然公園や林道などで見つけることが出来る。

つかまえるコツはある?

 セミをつかまえるのはむしとり網を使うのが一般的です。
 
 
 低いところにとまっているセミは慣れれば手で捕まえることもできますが、基本的には木の高いところにとまっているため、むしとり網が必要になります。
 
 セミは音にとても敏感なため、網を振るまではとてもゆっくり静かに近づかないといけません。
 
 そしてセミの背中側からすばやく網を被せ、セミがびっくりして飛んでネットに入った瞬間に網をひねり、ネットを回転して閉じ込めると逃げられることが少なくなります。
 
 しかし大きな網を使うと、木の幹に網が当たった時に、網の枠と木の隙間から逃げられてしまうことも少なくありません。
 
 そこで、みなさんのセミ採集の勝率が遥かに向上するグッズがあります…!

それはエーワンさんが販売している「ピンポイントハンター」と呼ばれるむしとり網です。この網の特徴は2つあり、まずひとつは網の枠が小さいことです。

 そのため、セミに被せても網と幹の間に隙間が生まれず、確実にセミをネットに入れることができます。2つめは、ネットが長いことです。
 
 ネットの部分が短いと、一度ネットに入っても飛んで逃げられてしまうことがあるのですが、この商品はネットの部分が長いため、一度網に入ると、なかなか逃げ出すことができません。
  
 このように、セミを捕まえるにもコツやマル秘アイテムがありますが、とにかくたくさんのセミに挑戦して、網を振ってみることが一番です。

【セミの豆知識!】

抜け殻で見分けられる

夏になると、セミと一緒に公園で見かけるのはセミの抜け殻です。
幼虫が成虫になるために土の中から出てきて、皮を脱いだ残りの殻です。
実はこの抜け殻を見るだけで、どのセミの抜け殻かを判別することができます。
アブラゼミとミンミンゼミは非常によく似ており、触角の部分を拡大してみる必要がありますが、そのほかの種類は大きさと形で簡単に見分けることができます。

夏になったらセミの抜け殻を集めて、どのような違いがあるか調べて見ましょう。

今まで日本にはいなかったセミ

いきものの中には外来種と言って、本来その場所にいなかった昆虫が、人の手によって運ばれてきてしまい、住み着いてしまっているものがいます。
実は近年、セミの外来種が日本で確認されています。
それはタケオオツクツクと呼ばれているセミです。
 
本来は中国に生息している、大型のツクツクボウシの仲間です。
背の高い竹がたくさん生えている竹林に生息しており、幼虫も成虫も竹の汁を吸って生活していると考えられています。

夕方ごろに竹の高い場所から「ギリギリ、フィーン」と、機械のようなとても大きい音で鳴きます。
日本への侵入経路としては、中国から輸入した竹箒にタケオオツクツクの卵がついていたことによって、日本に入り込んでしまったと言われています。
侵入当初は数箇所でしか確認されていなかった本種も、徐々に分布域を拡大しています。
もしみなさんの家の近くで聞きなれないセミの鳴き声が聞こえたら、すぐに報告して調査してもらうことが大切です。

セミは観察後逃がしてあげましょう!セミは観察後逃がしてあげましょう!

セミは夏の風物詩であり、みなさんにとって一番身近な昆虫です。
 
夏休みにはたくさんのセミをむしかごに入れて、お家に連れて帰ったことがある人も少なくないでしょう。
 
しかし、そんな身近な昆虫でありながら、飼育をするのはとても難しい昆虫です。
 
特に成虫は生きた木の汁を吸うため、むしかごの中ではうまく餌を与えることが難しく、暴れて怪我をして、すぐに死んでしまいます。
 
そのため、捕まえてしばらく観察したあとは逃がしてあげましょう。
 
また夏の初めには、日が暮れてから公園に行くと、セミの羽化を観察することができます。
まだ脱皮していないセミの幼虫を家に連れて帰って、木の枝やレース状のカーテンなど、しっかりと爪がひっかかる場所にとめてあげると、セミの羽化をお家で観察することもできます。
 
少し季節をずらすだけで、羽化の観察ができる種類もかわってくるので、セミの幼虫を見分けながら、どんな種類のセミが羽化してくるかを予想するのも楽しいですよ。

【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。

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