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KYOTO OPEN ATELIER2023/スタジオ紹介⑤/スタジオハイデンバン

こんにちは、YOMAFIG.です!

KYOTO OPEN ATELIER2023が、京都の5つのスタジオを舞台として10月28日(土)・29日(日)に開催されます。

アーティストの日常の制作風景を見学でき、時間によってはアーティスト本人から直接作品の素材や技法等を解説頂ける交流型イベントとなり、昨年度に続く2回目の開催です。

本日は、会場の一つであるスタジオハイデンバンにスタジオの特徴や注目してほしいポイントをインタビューしてみました!

今回お話を伺ったのは、ハイデンバン立ち上げ時からのメンバーである西垣 肇也樹さん!


スタジオハイデンバンについて

スタジオハイデンバンは、京都伏見にある共同スタジオです。2015年に若手アーティストの制作場所としてスタートしたスタジオ。
「アート、場所、人へコネクトする」
現在は、個々で制作活動を行うだけでなく、その創作がどのように社会との接続機能を果たせるかを探ってきました。
そのために、スタジオ単位で交流やオープンスタジオを行い、積極的に外部との接点を増やす機会を創出しています。
また、アーティストやアートディレクター、コレクター、ギャラリストなどジャンルを超えた人たちと交流できる場として提供しています。

8年前に見つけた理想的なアトリエ!最大10作家が入居可能。
元々は工場兼住居としてご利用されていた建物だそう。

1人4万円以下で住居も兼用。常に誰かいる賑やかなスタジオ!


ースタジオの成り立ちについて教えてください。

(西垣)
ハイデンバンは、2015年に作家5人でスタートしたスタジオです。当時は今ほどシェアアトリエも盛んではなかったので、それぞれ制作場所などに困っていた仲間が集まり自分たちで立ち上げました。
最近の学生のような、在学中から既に作品が売れているケースも当時はなかなかなかったので、経済的な条件を重要視した物件探しをしました。

具体的には、
①1人4万円以下の負担で住居機能も付いていること
②一人あたり5m×5mの個別スペースを設けられること
③倉庫があること

を条件にやっと見つかったのがこのスタジオです。

立ち上げから8年経って、初期のメンバーで残っているのは私と竹内義博さんの2人。平面作家を中心としたメンバー構成であることには当初と変わりありませんが、今は世代も出身校もジャンルも色々のメンバー9名でシェアしています。

ちなみにハイデンバンは住居機能もあるので、そのうち3名は住居としてもハイデンバンを使っています!
スタジオには朝から夜まで常に誰かがいて、賑やかなスタジオだと思いますよ。私を筆頭にお酒好きも多いですし、どこか部活風の雰囲気も感じます。

京都だけでなく、大阪や東北の芸大美大出身の方や、制作系でなく論述系のアート関係者など、様々なスタイルの入居者で常に賑わうハイデンバン。
部活風の雰囲気を醸し出しているのは間違いなく西垣さんでしょうね!

入居時は「売る」宣言とお互いの波長を最重視

ー最大10名が入居できるとのことで、大きなスタジオですよね。入居者はどのように決まるのでしょうか?

(西垣)
空室が出た時はいつもSNSで告知をしています。とはいえ、SNSを見てというよりは、アトリエ探しをしている学生が誰かの縁で入ってくれることの方が多いですね。

入居にあたってはポートフォリオも見せて頂きますが、我々作家が審査をするというのも烏滸がましい話なので、それよりも「お互いが合うか合わないか」を大事にしています。やはり共同生活ですので、波長や気にするポイントが合うかは大切だと思います。

もうひとつ、ハイデンバン入居者には、入居時に「売ること」を目標として掲げてもらっています。というも、作家は作品が売れない時期があると思い悩んで、「作品を発表するスタイルじゃなくてもいいのかも」などと若くして社会から隔絶されて閉じこもってしまうケースを多く見てきたんです。

「売る」と言っても必ずしもマーケットで作品を売るという意味だけでなく、レジデンスへの積極的な参加などで自分を売るという意味でもいいです。「社会とどう接続するか」ということを常に考えてもらい、僕たち先輩も「誰も見捨てない」ということを意識し、スタジオ単位での展示機会を得た際には積極的に若手に出てもらったりと、機会創出に努めています。

ハイデンバンで一緒に頑張る以上は、横の繋がりでみんなで売れるようになっていきたいですよね。

今はあと1部屋だけ空きがあるとのこと!波長が合うかは飲み会で判断しているとのことですので、ご参考まで。
ちなみに、去年のKYOTO OPEN ATELIERにご来場くださった方々からお仕事・展示につながった案件もあるとのこと、とても嬉しいです!

改装時、某酒造メーカーの看板が出てきたことから「ゲッケイカン」というスタジオ名になる寸前で「ハイデンバン」に変わったのだとか。
お庭があるのもハイデンバンの特徴。去年はKYOTO OPEN ATELIERメンバーでBBQしました!

スタジオ運営のコツは、明白なインセンティブが働く制度設計

ーKYOTO OPEN ATELIERは、純粋なスタジオビジット以外にも「持続的なアーティストコミュニティの在り方を探る」ことも目指してきました。8年ほどスタジオを運営されてきた中で、「こうしたらスタジオ運営は失敗しない!」という気づきやコツはございますでしょうか?

(西垣)
そうですね、失敗して解散してしまうスタジオも多く見てきましたが、ハイデンバンにおいては、
・とにかく「安くて、広い」が大切
・管理する共用部を極力少なくする
・電気代含めお金は厳密に管理・徴収
・掃除・ゴミ捨てなどは当番制にせず、給料制とする
・馴れ合いにならないよう、緊張感を維持できる関係を築く

といったあたりを強く意識してきました。

掃除やゴミ出しなどは、善意や自発性、当番性にすると、誰かがサボったり、親切な誰かが負担を極端に負うことなるので、「やってくれた人に給与を支払う」といった明白かつインセンティブが働く制度にしています。誰かに負担が皺寄せしてトラブルになることを防ぎ、まだ売れづらい作家などは、スタジオの管理業務をすることで生活費の足しになります。

また、賃料支払いなどもハイデンバンでは期日厳守を徹底しております。これは、共同生活を円滑に行うために重要ですし、卒業したての若い子たちには「どこまでが社会で許されるのか」というラインも身につけてほしいなと思っている背景もあります。

スタジオ運営は軌道に乗るまでが大変ですが、最初にしっかりと「細かい」と思うところまでルールを設定してしまう方が良いですね。

8年間中心となってスタジオを運営してきた西垣さん。数々の課題やトラブルも都度克服しながら、現在のルールに至ったようです。
入居者も徐々に年齢差のある後輩たちが増えている背景もあり、もはや教育者のようなお考えを多く伺えました!

ーでは、今後スタジオ単位で取り組みたいと考えている構想はありますか?

(西垣)
現状のハイデンバンは5m四方と超大型作品は作りづらいので、ハイデンバン卒業生が進むネクストステージとして、賃料負担力も高くなった作家たちが一人当たり10m四方のアトリエ空間を持てるようなスタジオを作りたいです。ネーミングは「スタジオハイデンバンPRO」なんてどうでしょうか!

あとは、個人として運送業をしているので、ストレージ機能・運送業・アトリエがMIXされた施設を作れたら嬉しいです。作家のストレージのみではなく、コレクターの作品も預かることができるイメージです。
入居作家が、1つの建物内に「制作・保管・配送」機能を持てたらとても便利だと思うんです!

「ハイデンバンPRO」面白いですね。一緒に物件探ししたいです!
そして作品搬送のご相談は西垣さんまで!我々も去年の京都両足院さんでの展示の搬出は西垣さんにご協力を仰ぎました。

右から二人目が搬出の際に集合写真に参加した西垣さん。お気軽にお問い合わせください。

住居付きスタジオならではの、リアルなアーティストたちの生活感を体感して

ー最後に、来場者に伝えたいメッセージやスタジオの見どころがあれば教えてください!

(西垣)
ハイデンバンは「住めるスタジオ」なので、20-30代アーティストたちの生活感を感じやすいと思います。スタジオビジットの際は、是非リアルなアーティストたちの生活を体感して頂きたいなと思います!

ビジットの際のオススメのランチはセブンイレブンですね。ハイデンバンから徒歩2分で、作家も大変愛用しております。

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KYOTO OPEN ATELIER2023は10/28(土)・29(土)の2日間開催されますので、ご関心を持ってくださった方はぜひ、下記バナーから詳細チェックしてみてください!

※各スタジオ周辺のおすすめランチ情報もこちらのMAPにまとめていますので、是非参考になさってください(ハイデンバン周辺のレストランももちろん纏めています!ご安心ください)

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